庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

k-ing ★書籍発売中

文字の大きさ
上 下
41 / 156
第一区画

41. 証券口座について

しおりを挟む
 桃乃の一言に俺は驚き、空いた口が塞がらなかった。

「えっ、もう一回言ってもらってもいいかな?」

 今のは俺の聞き間違いかもしれない。そう思ったから再度聞き直した。

「だから、私を異世界・・・に連れてってください!」

 今度は俺にもわかるように大声で言っていた。

 むしろ聞こえなかったわけではないが、やはりそこは真面目なのか聞こえやすいように配慮している。

 他の人が聞いてたら、頭がおかしい大人達がいると通報されただろう。

 ベンチに大人二人が座って異世界に連れてって欲しいって言ってるのだ。そして、その周りを犬が楽しそうに回っている。

 側から見たら変わった空間だ。

「おお、おう!」

 今度は伝わったとわかったからか本人も満足気な顔をしていた。

「私も克服したいんです」

「えーっと……異世界を?」

「それもありますが、過去の弱い自分を変えたいんです」

「詳しくは聞かないけど、早速だが異世界に行く前に準備はある程度しないといけないな」

 どうやら桃乃にも言えない何か事情があるのだろう。

 早速異世界に行くための準備を伝えた。本人はもう行くのですか?というような顔をしていたが、実際に行くのはだいぶ後になってからだ。

「異世界に行くのにある程度の能力をつけないといけないね」

「能力ですか?」

「ああ、簡単にいえば投資を始めることだ」

 ある程度投資しないと、異世界に行っても死ぬかもしれない。俺も桃乃を守りながら戦える自信がない。

 俺は事前に投資信託を始めていたため、異世界に行ってもどうにかなった。しかし、まだ証券口座も持っていない桃乃にとっては、また異世界に行ったら命の問題になる。

「まずは投資信託で身体能力を上げる必要性があるか」

 現在購入している投資先とそれで得られている能力を説明する。

――――――――――――――――――――

【ETF】
情報技術:思考加速、並列思考
ヘルスケア:HP自動回復、疲労軽減
通信サービス:スキル自動鑑定、自動翻訳

【投資信託】
全世界株式インデックス・ファンド: HP体力STR物理攻撃力DEF物理防御力

――――――――――――――――――――

「結構優秀で便利なスキルですね」

 基本的に必要なのはステータスの増加。その後にETFなどによるパッシブスキルの獲得だ。

 しかし、忘れていけないのは全て投資商品で手に入れるということだ。分散し過ぎても能力にはならないし、一つに絞って購入してもリスクを上げてしまう。

 そこは自分に合ったリスクマネジメントをする必要がある。

「まずは投資から始め……始めるにはどうするんでしたっけ?」 

「まずは証券口座・・・・を作るところから始めようか」

 証券口座と聞いてなんとなくは知っている程度だった。

「証券口座は証券会社を通して投資信託や株式を買うために必要な口座のことだ。これがないと投資はできないからな」

 桃乃はスマホを取り出して、証券口座について調べ始めた。さすが真面目なだけあってすぐに調べている。

 どこかの脳筋とは違って……。




「はっ、くしょん!」

「風邪ですか?」

「ああ、すみません。契約中にくしゃみをしてしまって……」

「いやいや、独特なくしゃみで面白いですね。笹寺さんイケメンですからどこかできっと噂してますよ」

「いやー、可愛い女の子だといいですね! ははは!」




「証券口座もたくさんありますね」

 証券会社が多い分、証券口座もどこで作るのかで変わってしまう。基本的にはネット証券が簡単で便利、そして手数料が少ない。

 投資を始めるにあたって手数料の比率は大事になる。

 総合証券ではいわゆる証券マンに相談ができるようになっている。しかし、その傾向として高めの取引手数料が設定されている。

 株を始めたいけど、誰かのアドバイスを参考にしたい、実店舗型に相談したいって人にはオススメだ。

 結局は投資自体が自己責任となるため無駄に手数料を払うぐらいなら、リスクが低いものに投資したいと思っているのが俺のやり方だ。

「ネット証券で使えるクレジットカードはあるか?」

「あっ、このカードなら持ってます」

 桃乃は有名なお買い物サイトのカードを使っていた。

 クレジットカードの引き落としと同時に投資信託を積み立てたり、クレジットカードを使うことでポイントがもらえるサービスがあったりなど様々な違いがある。

「あとはそもそも、証券口座で買える株式とかが違ったりするからどの投資信託や株式が欲しいか決めてからでもいいかな」

 同じような投資信託だが、会社毎で手数料が一部違いがあったりする。

 俺の話に桃乃はさらに迷っていた。それにしてもすぐに理解できるのは、どこかの誰かとは違う。

「とりあえず証券口座を作るところからスタートかな」

「わかりました。マイナンバーカードもあるのですぐに作りますね」

 ネット証券であれば、本人確認書類とマイナンバー通知書があればすぐに開設は可能だ。

 気づいたらココアはつまらなさそうに尻尾を俺に叩きつけていた。どうやら帰りたくなったのだろう。

「そろそろ帰ろうか」

「ココアも帰りたそうですしね」

 桃乃の声にココアは尻尾振っていた。さっきまで俺に構ってくれと言っていたのに現金なやつめ。

「じゃあ、また今度な」

「いや、また明日ですよ!」

 どうやら明日から職場復帰するつもりだったらしい。桃乃はココアを連れて帰って行った。

 ベンチに残された俺は改めて自身のことを考えていた。今後のこと、異世界での副業のこと、今後何が起こるかわからない世の中でどのように生活すれば幸せになれるのか俺は今日も模索するのだった。

 そしてまた明日には普段と変わらない日常が始まる。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

寝て起きたら世界がおかしくなっていた

兎屋亀吉
ファンタジー
引きこもり気味で不健康な中年システムエンジニアの山田善次郎38歳独身はある日、寝て起きたら半年経っているという意味不明な状況に直面する。乙姫とヤった記憶も無ければ玉手箱も開けてもいないのに。すぐさまネットで情報収集を始める善次郎。するととんでもないことがわかった。なんと世界中にダンジョンが出現し、モンスターが溢れ出したというのだ。そして人類にはスキルという力が備わったと。変わってしまった世界で、強スキルを手に入れたおっさんが生きていく話。※この作品はカクヨムにも投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~

波 七海
ファンタジー
※毎週土曜日更新です。よろしくお願い致します。  アウステリア王国の平民の子、レヴィンは、12才の誕生日を迎えたその日に前世の記憶を思い出した。  自分が本当は、藤堂貴正と言う名前で24歳だったという事に……。  天界で上司に結果を出す事を求められている、自称神様に出会った貴正は、異世界に革新を起こし、より進化・深化させてほしいとお願いされる事となる。  その対価はなんと、貴正の願いを叶えてくれる事!?  初めての異世界で、足掻きながらも自分の信じる道を進もうとする貴正。  最強の職業、無職(ニート)となり、混乱する世界を駆け抜ける!!  果たして、彼を待っているものは天国か、地獄か、はたまた……!?  目指すは、神様の願いを叶えて世界最強! 立身出世!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...