庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

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37. 無防備な桃乃

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 酸素が足りない俺の体は大きく息を吸い込み、身体中を巡るように必死に呼吸する。

「はぁ……はぁ……」

 俺と桃乃は全力で穴の中に飛び込んだ。その結果、二人とも床に倒れ込み息をするのもやっとだ。

 もう少しジョギングが必要だと俺は再認識した。

「桃乃大丈夫か?」

「はい……」

 桃乃もその場で動けずぐったりしている。体が回復してから、またポイズンスネークに襲われそうになり、倒したら全力で走らなければいけないという散々な目に遭っているから仕方ない。

【ポイズンスネークの討伐お疲れ様でした。今回の報酬を計算します】

 恒例の脳内に直接響くアナウンスが始まった。突然のアナウンスに桃乃は驚いていたが、俺の反応を見て落ち着きを取り戻していた。

【ポイズンスネーク討伐数1体、地球人救出者1名です】

 今回は桃乃を救出したことで、救出者1名となっている。

【それでは報酬の発表です。ポイズンスネーク1体につき7万円で計7万円になります。そして、地球人1名救出したため5万円獲得。合計は12万円の報酬となります】

【マジックバックの中身は売却しますか?】

 俺はコボルト達が倒したゴブリンの素材を全て売ることにした。ホブゴブリンの素材は以前の物を残してあるので、ゴブリンの素材売却で80万円と討伐報酬と合計すると92万円となった。

【お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております】

「そっちも終わったか?」

「はい」

 アナウンスを聞き終えると俺は桃乃に声をかけた。各々聞こえているのは異なるが、どうやら同じタイミングで終わるようになっているのだろう。

「じゃあ、帰ろうか!」

 無事に桃乃を救出できたことを噛み締めながら、現実世界に戻っていく。

「あー、疲れたな」

 とりあえず桃乃を家の中に招き入れ説明することにした。

「まずは風呂から……いや、これってセクハラになるのか?」

 玄関で桃乃は立ち尽くしていた。鏡に映った自分の姿に驚いているのだろう。俺もはじめは現実だとは思わず、受け止められなかった。

 桃乃は現実だったと実感したのだろうか、少し震えていた。

「そのまま帰るには汚れ過ぎているから、風呂に入って行くか?」

「そうですね。流石にこんなに真っ黒な状態だとみんなに見られて落ち着きませんし、家族が心配しますね」

 先に温まって落ち着くようにお風呂場まで案内した。確かに今の姿を家族が見たら、誰かに襲われたと思い、警察沙汰になるかもしれない。

「ここに着替えを置いておくからな。まずはゆっくり休めよ」

 大きいとは思うが、俺のジャージを脱衣所に置いておく。

 桃乃はそのまま浴室に入って行った。

 今回ETFの配当金によって桃乃を助けることができた。解毒ポーションがなければ今頃桃乃は毒で亡くなっていたかもしれない。本当に無事に終わったと実感して俺も力が抜けてしまう。

「先輩ありがとうござました」

 お風呂から出てきた桃乃は袖と裾を折り曲げていた。いつも元気な桃乃が少し女性らしく感じた。

「ああ、全然気にするな。俺も風呂に入ってくるからちょっと待ってもらってもいいか?」

 俺はすぐに風呂に入り、桃乃が待つ居間に行くと桃乃はすでにソファーで眠っていた。

 どうやら疲れて眠ってしまったようだ。

 先輩って言っても独身男性の家で無防備な姿で寝ない方が良いだろう。それだけ安心しているのかもしれないが、それはそれで男として悲しくなる。

 桃乃に布団をかけ、おばさんから貰ったおかずをレンジで温めていく。

 さすがは隣のおばさん。俺の好物であるコロッケは毎回用意されている。サクサクで中がホクホクとしたコロッケに俺は毎回感動している。

「ん……」

「あっ、起きたか?」

「すみません、私寝てましたよね!?」

 桃乃はレンジの音で目を覚ました。もう少し寝かせるつもりだったが、俺のお腹も限界に達していたためちょうどよかった。

 俺は温めたおかずを机に並べていく。今回は、コロッケと春巻き、きんぴらごぼう、きゅうりの和物だ。

「先輩が作ったんですか?」

 沢山の料理に桃乃は驚いている。流石に料理スキルまでは持ち合わせていない。

「隣のおばさんが定期的に作ってくれるんだ。後で返しに行くから先に食べようか」

 俺と桃乃は席に着くと手を合わせて、食べ始めることにした。桃乃もお腹が空いていたのかしっかりとご飯も食べていた。

 いつもよりは若干量は多くなっていたが、成人を過ぎた俺達にはちょうど良い量だった。

 俺は食事を終えてから、異世界について詳しく説明することにした。異世界にいる時はまずは命の優先をしていたため、細かい話はしていない。

「詳しい話をするから帰ってきた時に持ってた袋を持ってきて」

 何を言われているのかわかっていなさそうだが、何かを思い出したかのように玄関に取りに行った。

「先輩、袋ってこれですか?」

 桃乃の手にも同じ麻の袋が握られていた。

「ああ、じゃあ今まであったことを説明するぞ」

 俺は桃乃にあった今までの経緯とあの謎の穴、異世界への扉の説明を始めた。
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