庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

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22. 元気なコボルト達

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 一体この遊びはいつまで続ければ良いのだろうか。俺はもう1時間近く、おもちゃを適当に投げている。

 魔物であるコボルト達が尻尾を振っておもちゃを持ってくるからだ。こいつらは本当に疲れ知らずらしい。

「ほーい、取りに行けー」

「ガウガウ!」

 投げたら取りに行くを繰り返す。疲れたら次のやつと交代で永遠と投げさせられている。

 インデックスファンドによるステータスの増加とヘルスケアセクターのHP自動回復と疲労軽減にきっと助けられているのだろう。

「ガウガウ!」

 すでにコボルト達は近くのところで、俺を中心に囲んでいる。これが新手の攻撃だったら、俺はすぐに噛まれて狂犬病で死んでしまう。

 それにしても1秒もしないうちに投げているが、特に疲労感もないところに驚きだ。並列思考で違うことを考えながら次々とおもちゃを投げる。

――30分後

「ほーい!」

「ガウガウ!」

 そろそろどうにか突破口を見つけないと、クエストをクリアしたことにならないため、俺はどうにかできないか辺りを見渡す。その時もおもちゃを投げるのを忘れていない。

「あれって……」

 そんな中、見たことあるダンボールを見つけた。

 そこには犬用のペーストタイプのおやつで、世間では魔のおやつと呼ばれている商品が描かれていた。

 レトルトパウチでスティック状に個包装されている例のあれだ。

 俺はそのおやつにかけることにした。

 少しずつバレないように移動することで、コボルト達はおもちゃと共に動き出す。

 徐々に目的のオヤツに近づいていた。

「ここぐらいなら行けそうだな!」

 俺がダンボールを横に倒すと、中身はまだ入っており、中から思っていた商品が転がってきた。

「ほーい!」

 俺はボールを投げるタイミングを狙って個包装されたおやつの封を破り、おもちゃを投げた方に投げる。

 それを何度も繰り返すと、コボルト達はおやつに気づき、一口食べると夢中になっていた。

 気づいた時にはおもちゃが返ってくることはなくなっていた。

「よし、今がチャンス!」

 俺はその隙間を狙って入口の扉に手をかけた。これで逃げられる。そう思った瞬間にチラッと俺を見るコボルトがいた。

「ガウ!」

 扉を開けようとしたタイミングでコボルト達にバレてしまった。1体吠えると他のコボルト達も吠えだす。

 おやつ作戦は見事に失敗に終わった。

 それから何度も挑戦するが、すぐに気づかれてしまう。むしろコボルト達もわざと引っ掛かるフリをして遊んでいる。

 あいつら相当頭が良いんだろう。

 コボルト達は常に尻尾を振っており、襲う危険性もなくなっていた。

 あとはカウントダウンの時間が過ぎるのを待つしかなかった。

「はぁー、副業しに来たのに犬と遊びに来ただけだな」

 初のクエスト失敗に落ち込みながらもおやつを与える。同時におもちゃで遊んでいると次第にコボルト達も遊び疲れたのか落ち着きを取り戻した。

 気づいた時には初めて会った時の可愛らしい犬の姿に戻っている。

「そろそろ帰らないといけないから行ってもいいか?」

 カウントダウンの時間は残り1時間となっていた。帰る時間も考慮するとそろそろ戻らないといけない。

 まさか初めてクエストに失敗するとは思いもしなかった。

 休日に無料で犬と遊べたなら、むしろお得だったと思うしかない。

 俺は扉に手をかけると今度は止めようともせず、なぜかお座りしてこっちを見ている。扉を開けても吠えることはない。

「お前らもついて来るか?」

「ワン!」

 俺の話を理解しているのか、尻尾を振りながら吠えていた。一匹だけ吠えればいいが、みんな一斉に吠えるから耳が痛い。

 どこから見ても魔物じゃなくて完全にお利口な犬だ。鳴き方もさっきより迫力が無くなっていた。

 せっかくだからとゴブリンを探しながら帰ると、コボルト達はゴブリンを見つけると全員で飛びかかる。二足歩行になって殴る者もいれば、噛み付くなど戦い方は様々だ。

 ゴブリンを倒すと尻尾を振りながら俺が来るのを待っている。

 どうやら魔物を倒すのを手伝ってくれるようだ。褒めて欲しいのか頭を突き出して待っている。

 頭が撫でるとコボルト達は嬉しそうに一列で待機していた。

 その後もコボルト達のおかげでホブゴブリンも数体倒し、回収した袋の中にはゴブリンの素材でいっぱいだ。

 まさかホブゴブリンが一瞬で倒されるとは思いもしなかった。

 本当に戦わなくて良かったと心の底から思う。

「そろそろ着くからお別れだな」

「クーン……」

 コボルト達もお別れと気付いているのか、穴に近づくと尻尾は徐々に垂れ下がっていた。

 俺は穴の前に立つと振り返る。

 もうお別れの時間だ。

「そんなに悲しむなよ」

「クーン……」

 コボルト達は俺の足元に集まり、自身の顔を足に擦り付けていた。戦う姿を見なければ、本当にただの犬・・・・だ。

「また今度来るからその時にでも会えるといいな」

 なんやかんやで俺もコボルト達と遊ぶのを楽しんでいた。

「じゃあ、またな」

「ワン!」

 俺はコボルト達に別れを告げ穴に潜っていく。

 あれ?

 カウントダウンも動いたままで、クエストもクリアしていないのになぜか穴の中に入ることができた。
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