12 / 156
第一区画
12. 恐るべしパッシブスキル
しおりを挟む
俺は武器がなくなったことにショックを受けていた。あれだけ買って準備もしていたのに、武器なしで魔物を倒せとか難易度が跳ね上がる。
俺はその場にしゃがみ込むと、足元に何か物が置いてあることに気づく。
「スコップ……?」
足元には前回使ったスコップが地面に刺さった状態で置いてあった。そして、視界の縁に袋マークとその下に新しく剣と盾のマークが出現していた。
俺はそのマークをタップすると、自分自身にそっくりなマネキンが出てきた。
「これって装備画面ってことか?」
武器の項目にはスコップと記載されていた。その他の装備は表示されずに俺の唯一の装備品はスコップだけだった。
「これでゴブリンを倒せってことか」
俺はスコップを担ぎ、とりあえずゴブリンを見つけるために歩くことにした。
今回も以前と街の雰囲気は同じで、どことなく日本と似ている。異世界にするならもう少し違う環境にしてもらいたいものだ。
最近流行りの異世界転生ならヨーロッパの街並みだろう。それならプチ旅行に行った感じでテンションが上がる。
そんなことを考えながら歩いていた。
「ホブゴブリンってことは、ゴブリンの強いやつってことだよな?」
一般的にゲームやRPG作品に出てくるホブゴブリンはゴブリンの上位種として扱われている。ゲームで出てくるホブゴブリンは武器を持ったり、魔法を使ったりなどゴブリンの進化形のはずだ。
「異世界ってことは魔法も存在するのか?」
魔法の存在にウキウキしながらも、周りを警戒していた。するとゴブリンが単独で何かをしているところを発見した。
「3万円いただきます!」
俺は思いっきりスコップを振りかぶって後ろから攻撃した。
ゴブリンからすれば急に襲い掛かって来る頭のおかしいやつに見えているだろう。しかも、ゴブリンではなく、金として認識しているサイコパスの人だ。
しかし、実際のゴブリンはそんなことを考える暇もなく、ゴブリンの首は宙を舞っていた。
相変わらず殺傷性の高いスコップに驚きだ。
俺は慣れた手つきでゴブリンに触れ、袋に収納しながら周りを見渡していた。ゴブリンが何かを探しているということは人がいる可能性があるからだ。
前回も生殖活動や捕食目的でゴブリンが何かを探している場面が多かった。
「あまり人の存在は感じないな」
その後も歩いていても人には会うことはなかった。
いつのまにかこの異世界にも慣れてきているのか、思考の切り返しが早くなっているように感じた。
「情報技術セクターって思ったよりも使えるな」
実際はスキルの影響で、同時に物事を考えたり意識することがしやすくなっていた。
俺はパッシブスキルの凄さを改めて感じた。
恐るべしパッシブスキル!
「あっ、あっちにもゴブリンがいるな」
俺は物陰に隠れて確認するとそこにはゴブリンが3体居た。近くには女性のように見える死屍があった。いつになったら生きている人間に会えるのだろうか。
俺は相手の視線を逸らすために、近くにあった大きめの石を手に取り投げた。
「ゴフッ!?」
視線を逸らすつもりで投げた石はコントロールできず、そのままゴブリンに当たり頭半分を飛ばしていた。
あまりの衝撃に俺は固まっていた。まさか、石を投げたら頭が半分無くなるとは思ってもいなかった。
ゴブリンの頭が豆腐のように相当柔らかいのか、いつのまにか俺が怪物並みの力を入れたのかどちらかだろう。
「ゴフゴフ!」
一瞬驚いたことで思考は停止していたが、パッシブスキルの影響で思考が加速した。
ゴブリンが気づいた時には、すぐに体は反応できていた。
俺はスコップの柄を再び強く握り、ゴブリン達の方へ向かった。
そのままスコップを土を掬う方を上に向けたまま、鋭利になっている外側を首に刺すように振りかぶった。
それと同時に反対側のゴブリンが殴ってこようとしているのが見えた。
「おっと!」
俺は手を離し一歩後ろに下がった。ゴブリンの攻撃を避けると、そのままスコップを掴み振り抜いた。
掬う方を上に向けることでゴブリンの首が上に向き、切り取りやすいことに気づいた。なぜこう思ったのかわからないが、自然と今の方法が一番効率的だと脳内が判断していた。
「3万円頂きます」
俺はそのまま回転するように残りのゴブリンにスコップを突きつけた。体の途中でスコップは止まったが、そのまま地面に叩きつけた。
「俺って最強じゃない!?」
この時の俺の思考はスキルによる補助で安心していたのだろう。
後方から聞こえる甲高い声に耳を塞ぐ。振り返るとそこにはまた小さなゴブリンが叫んでいた。
女性のお腹は無惨にも破れており、胃や腸のような内臓が飛び出ていた。どうやら女性の死体から飛び出てきたのだろう。
女性はゴブリン達によって孕まされていた。
きっともう少し早ければ助けることができたのかもしれない。
いや、ゴブリンは死体に対しても繁殖行為を行っているのかもしれない。
考えるだけでも吐き気が止まらない。
「お前ら全員殺してやる」
俺の中にあった何かが湧き出るような気がした。
俺はその場にしゃがみ込むと、足元に何か物が置いてあることに気づく。
「スコップ……?」
足元には前回使ったスコップが地面に刺さった状態で置いてあった。そして、視界の縁に袋マークとその下に新しく剣と盾のマークが出現していた。
俺はそのマークをタップすると、自分自身にそっくりなマネキンが出てきた。
「これって装備画面ってことか?」
武器の項目にはスコップと記載されていた。その他の装備は表示されずに俺の唯一の装備品はスコップだけだった。
「これでゴブリンを倒せってことか」
俺はスコップを担ぎ、とりあえずゴブリンを見つけるために歩くことにした。
今回も以前と街の雰囲気は同じで、どことなく日本と似ている。異世界にするならもう少し違う環境にしてもらいたいものだ。
最近流行りの異世界転生ならヨーロッパの街並みだろう。それならプチ旅行に行った感じでテンションが上がる。
そんなことを考えながら歩いていた。
「ホブゴブリンってことは、ゴブリンの強いやつってことだよな?」
一般的にゲームやRPG作品に出てくるホブゴブリンはゴブリンの上位種として扱われている。ゲームで出てくるホブゴブリンは武器を持ったり、魔法を使ったりなどゴブリンの進化形のはずだ。
「異世界ってことは魔法も存在するのか?」
魔法の存在にウキウキしながらも、周りを警戒していた。するとゴブリンが単独で何かをしているところを発見した。
「3万円いただきます!」
俺は思いっきりスコップを振りかぶって後ろから攻撃した。
ゴブリンからすれば急に襲い掛かって来る頭のおかしいやつに見えているだろう。しかも、ゴブリンではなく、金として認識しているサイコパスの人だ。
しかし、実際のゴブリンはそんなことを考える暇もなく、ゴブリンの首は宙を舞っていた。
相変わらず殺傷性の高いスコップに驚きだ。
俺は慣れた手つきでゴブリンに触れ、袋に収納しながら周りを見渡していた。ゴブリンが何かを探しているということは人がいる可能性があるからだ。
前回も生殖活動や捕食目的でゴブリンが何かを探している場面が多かった。
「あまり人の存在は感じないな」
その後も歩いていても人には会うことはなかった。
いつのまにかこの異世界にも慣れてきているのか、思考の切り返しが早くなっているように感じた。
「情報技術セクターって思ったよりも使えるな」
実際はスキルの影響で、同時に物事を考えたり意識することがしやすくなっていた。
俺はパッシブスキルの凄さを改めて感じた。
恐るべしパッシブスキル!
「あっ、あっちにもゴブリンがいるな」
俺は物陰に隠れて確認するとそこにはゴブリンが3体居た。近くには女性のように見える死屍があった。いつになったら生きている人間に会えるのだろうか。
俺は相手の視線を逸らすために、近くにあった大きめの石を手に取り投げた。
「ゴフッ!?」
視線を逸らすつもりで投げた石はコントロールできず、そのままゴブリンに当たり頭半分を飛ばしていた。
あまりの衝撃に俺は固まっていた。まさか、石を投げたら頭が半分無くなるとは思ってもいなかった。
ゴブリンの頭が豆腐のように相当柔らかいのか、いつのまにか俺が怪物並みの力を入れたのかどちらかだろう。
「ゴフゴフ!」
一瞬驚いたことで思考は停止していたが、パッシブスキルの影響で思考が加速した。
ゴブリンが気づいた時には、すぐに体は反応できていた。
俺はスコップの柄を再び強く握り、ゴブリン達の方へ向かった。
そのままスコップを土を掬う方を上に向けたまま、鋭利になっている外側を首に刺すように振りかぶった。
それと同時に反対側のゴブリンが殴ってこようとしているのが見えた。
「おっと!」
俺は手を離し一歩後ろに下がった。ゴブリンの攻撃を避けると、そのままスコップを掴み振り抜いた。
掬う方を上に向けることでゴブリンの首が上に向き、切り取りやすいことに気づいた。なぜこう思ったのかわからないが、自然と今の方法が一番効率的だと脳内が判断していた。
「3万円頂きます」
俺はそのまま回転するように残りのゴブリンにスコップを突きつけた。体の途中でスコップは止まったが、そのまま地面に叩きつけた。
「俺って最強じゃない!?」
この時の俺の思考はスキルによる補助で安心していたのだろう。
後方から聞こえる甲高い声に耳を塞ぐ。振り返るとそこにはまた小さなゴブリンが叫んでいた。
女性のお腹は無惨にも破れており、胃や腸のような内臓が飛び出ていた。どうやら女性の死体から飛び出てきたのだろう。
女性はゴブリン達によって孕まされていた。
きっともう少し早ければ助けることができたのかもしれない。
いや、ゴブリンは死体に対しても繁殖行為を行っているのかもしれない。
考えるだけでも吐き気が止まらない。
「お前ら全員殺してやる」
俺の中にあった何かが湧き出るような気がした。
30
お気に入りに追加
1,186
あなたにおすすめの小説


寝て起きたら世界がおかしくなっていた
兎屋亀吉
ファンタジー
引きこもり気味で不健康な中年システムエンジニアの山田善次郎38歳独身はある日、寝て起きたら半年経っているという意味不明な状況に直面する。乙姫とヤった記憶も無ければ玉手箱も開けてもいないのに。すぐさまネットで情報収集を始める善次郎。するととんでもないことがわかった。なんと世界中にダンジョンが出現し、モンスターが溢れ出したというのだ。そして人類にはスキルという力が備わったと。変わってしまった世界で、強スキルを手に入れたおっさんが生きていく話。※この作品はカクヨムにも投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

ダンジョンが出来た世界でお金儲けをする⁉︎
ガチ中のガチ
ファンタジー
ある日、現実世界にダンジョンが出来た。ダンジョンは世界各国に無造作にできた。もちろん日本にもできた。ダンジョンに入り、モンスターを倒すと16歳以上の人間には、特別な力『スキル』が、貰える。その『スキル』にも、戦うためのもの、又は、ものをつくるためのものがある。そんな中、主人公は『生産の神』というスキルを使って様々な方法で大儲けする。
カクヨム および 小説家になろう にも同時連載しております
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる