庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

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3.異世界……ですか?

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 謎の声はそれだけ伝えると何も聞こえなくなった。そして、妙なことにさっきよりも体が軽くなったような気がした。

 さっきまであった疲れもさっぱりと消えており、コーヒーを飲んだ時の感覚とは違い、頭の中からスッキリとしていた。

「えっ……なんだ?」

 必死に考えるが何も思い浮かばなかった。ただ言えるのは、耳からではなく脳内にはっきりと声が聞こえていた。

 イヤホンとかではなく骨伝導から聞こえるのに近いのだろう。

 俺はそのままもう一歩踏み出すと、そこにはどこか見たことはあるが知らない景色が広がっていた。

「ここは街なのか……?」

 荒れ果てた建物に剥き出しになった電線。斜めに倒れてる電柱は戦争でも起きたのかと思わせる光景だった。

【チュートリアルを開始します】

 また脳内に響く声に俺は驚く暇もなく話が続いた。

【今回討伐してもらう魔物はこちらです】

 昔やっていたゲームで聞き慣れた"魔物"という言葉に俺は息を呑んだ。魔物といえばゲームに出てくる、敵キャラでスライムとかが例に挙げられる。

 俺はゲームの世界にでも来たのだろうか。

【今回の討伐対象はゴブリンです。制限時間は3時間です。それでは本日も頑張って家畜のように働きましょう】

「えっ、ちょ……おい!」

 聞き耳を持たないような話し方に、俺は今何が起きてるのか理解できていない。

 立ち尽くしていると、急に視界の中に知らない何かが浮いていた。そこに触れると大きく表示されるようになった。

「おい、これなんだ……うわ!?」

――――――――――――――――――――

《ステータス》
[名前]服部はっとりさとし
[能力値] 投資信託1,000,000円
HP体力 40 (+20)
MP魔力 5
STR物理攻撃力 35 (+20)
INT魔法攻撃力 4
DEF物理防御力 36 (+20)
RES魔法防御力 10
DEX器用さ 11
AGI素早さ 14
LUK 0
[固有スキル] 新人投資家

――――――――――――――――――――

 感覚的にはテレビゲームの画面がそのまま視界入っている感じだ。そこには"名前"、"ステータス"、"固有スキル"と書かれていた。

 それにしてもLUK0なのは、俺の人生を物語っている。

「一回戻るか」

 何が起きているのかわからない俺は、一度振り返りそのまま俺が来た穴に入ろうとした。

「痛っ!」

 目の前には見えない透明な板があるのか何かにぶつかっていた。

 それは蹴っても、手で押しても明らかに何かあるような感じはしたが目では確認できず俺は何も出来ず立ち止まった。

 それと同時にさっきの項目と反対側に鐘のマークが出現し点滅していた。

 俺はそれを触れると視界にパソコン画面のようなウィンドウが別に表示された。

――――――――――――――――――――

チュートリアル依頼をクリア出来ていないため、元の世界に帰還できませんクリア条件はゴブリン・・・・の討伐。数に決まりはありませんが、ゴブリンの討伐数によって報酬内容が異なります。

――――――――――――――――――――

 内容が完璧にゲームの世界のそのままだ。しかも、元の世界と書いてあるということは、今自分がいるのは違う世界だということがわかった。

 見た目が電柱や家など知っている建物があるのに今いるのは別の世界ということらしい。

「それにしてもゴブリンを倒せってどういうことだよ」

 そもそもゴブリンという名前はゲームでしか聞いたことない存在のはず。緑の小鬼でゲームの序盤で出てくる魔物のことだ。

「とりあえず、ステータスを確認するか」

 さっきアナウンスががあった、パラメーター一部上昇は隣のプラス部分を指しているのだろう。

 他にも[固有スキル]新人投資家を押してみるが、特に表記はなかった。今わかっていることは、投資信託でステータスが上がり、制限時間内にゴブリンを倒せば良いということだ。

 鐘のマークを押した時に表記されていた時間も少しずつカウントダウンしている。

「きゃー!」

 そんな中、どこからか倒れる物音と女性の叫び声が聞こえてきた。

 俺は当たりを見渡すと小さな男に馬乗りにされている女性がいた。

「いや、離して! あんた達の餌と孕み袋になるわけにはいかないのよ」

 必死に小さな男に抵抗をしているが、力が強いのかびくともしなかった。女性は少しずつ服を脱がされ男の息も荒くなっていた。

「おいおい、こんなところでレイプするって何考えてるんだよ」

 男を止めようと近づくと明らかに見た目がおかしいことに気づく。服はボロボロでくたびれた物を着ており、露出している肌は緑色だった。

「こいつがゴブリンか?」

 ゴブリンに視点を合わせると、緑の男の上にゴブリンと表示されるようになった。どうやら本当にゴブリンらしい。

「だ……誰か助けて……」

 ゴブリンはそのまま服を脱ぎ始めると、女を襲い始めた。

「おいおい、やめろよ」

 俺は近くにあった瓦礫を掴み走った。助けなきゃいけないという気持ちが強くなっているのか、重いはずの瓦礫が軽く感じた。

「いやー!!」

 必死に走るがゴブリンは小刻みに動き、そのまま動きを止めた。その顔は嬉しそうに微笑んでいるように感じた。

 あれは自分の精を放出しているのだと、同じ男としてすぐにわかった。

「お前なにやってるんだよ!」

 俺は大きく振りかぶり、ゴブリンに瓦礫をぶつけた。

 その瞬間、ゴブリンは勢いよく飛ばされ、俺はあまりの威力に呆気に取られていた。

「えっ……」

 手には握られた瓦礫をまだ握っており、そこにはゴブリンの血なのかわからない液体がこべりついていた。初めて生物を殴った感覚に俺は興奮と罪悪感に心が弾けそうになっていた。

「うっ……うぉー!!」

 あまりの出来事にただ叫ぶことしかできなかった。俺はこの時初めて自分の手で生物を殺した。
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