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第一章 外れスキル
249.ため息
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俺は今日ガレインに呼ばれて城に向かっている。
首輪の回収をした時のことがあったため、城に行くのは嫌だったが王族に呼ばれたら行かないといけないのだ。
貴族街の門番にガレインに呼ばれたことを伝えるといつも通りに中に入ることができた。
同じだと思っていた門番も管轄が違うだけでやはり地位の違いを感じた。
この門番達もどこかの貴族なんだろう。
俺達は城に着くと早速ガレインがいる部屋に案内された。
「おはよう!」
「急に呼び出してごめんね」
「いや、キンポヨの宣伝をしていたぐらいだから大丈夫だよ」
今日は朝からキンポヨの宣伝活動を店の前でしていた。
結局は主にクッションと洗浄付き便座の役割だ。
警備に関してはリスクがあるため、一度こっちで判断した後に命令して動かす仕組みにした。
言葉の聞き分けもできるし、何かあった時は本体のキンポヨまで命令が行くために特に気にすることはないだろう。
「それでどうしたんだ?」
「ちょっと今回の褒賞について確認をしようと思ってね」
「褒賞?」
「この間のキメラに討伐に関して褒賞が出ることが決まったんだけど、討伐者である冒険者、兄さん達、そして異世界病院が今回の対象なんだ」
「へっ!? 俺達一応括りとしては冒険者だよ?」
俺達は冒険者に所属して異世界病院を行なっている。そのため今回の依頼も冒険者として参加しているはずだ。
「異世界病院が対象になった理由はなに? オラ達よりほぼガレインが治療をしていたはずだけど……」
「もちろんそれも含まれているけど、一番の功労者はケントなんだ」
「ん? なんで俺?」
俺はガレインのサポートをした記憶しか残ってない。むしろ途中治療から抜け出していたぐらいだ。
「はぁー。こういうところがケントの良いところだけど無自覚なのもね」
「ケントだから仕方ないよ」
俺はどこか二人に呆れられていた。
「本当に覚えてないの? 父上に色々捲し立てるように話したのか――」
「あああああ! 忘れようと思ってたのにー!」
「やっぱり覚えているじゃん」
ガレインは忘れたい記憶を引っ張ってきた。
「ケントそんなことしたの? ひょっとしたら今頃不敬罪で捕まっていたかもしれないよ?」
「それは言った後に気づいたよ」
「はぁー」
また二人にため息をつかれてしまった。
「でも父上はあの言葉で目を覚ましたって言っていたよ。今後の未来は明るいなって」
「ちょっとそれは大袈裟だな」
流石に俺もあの時は命の危険を感じた。それをただの若者の言葉として聞き入れた国王の心の広さに感謝しかない。
「でもそれで功労者になるんなら、俺は辞退するよ」
記憶から消したいことだから別に褒賞はいらない。むしろそのまま忘れて欲しい。
「いや、多分それが功労者の理由ではないと思うよ?」
「そうなのか?」
「はぁー」
三度目のため息はさすがに見逃さないぞ。
「お前らさっきから――」
「きっと首輪の回収のことを言っているのじゃ」
胸ポケットにいるコロポが突然話しかけてきた。その言葉にガレインとラルフは首を縦に振っていた。
「あっ、それは本当に忘れてたわ」
「はぁー、やっぱり……」
どうやら強制進化の首輪を回収したことが功労者として褒賞をもらえるきっかけになったらしい。
首輪の回収をした時のことがあったため、城に行くのは嫌だったが王族に呼ばれたら行かないといけないのだ。
貴族街の門番にガレインに呼ばれたことを伝えるといつも通りに中に入ることができた。
同じだと思っていた門番も管轄が違うだけでやはり地位の違いを感じた。
この門番達もどこかの貴族なんだろう。
俺達は城に着くと早速ガレインがいる部屋に案内された。
「おはよう!」
「急に呼び出してごめんね」
「いや、キンポヨの宣伝をしていたぐらいだから大丈夫だよ」
今日は朝からキンポヨの宣伝活動を店の前でしていた。
結局は主にクッションと洗浄付き便座の役割だ。
警備に関してはリスクがあるため、一度こっちで判断した後に命令して動かす仕組みにした。
言葉の聞き分けもできるし、何かあった時は本体のキンポヨまで命令が行くために特に気にすることはないだろう。
「それでどうしたんだ?」
「ちょっと今回の褒賞について確認をしようと思ってね」
「褒賞?」
「この間のキメラに討伐に関して褒賞が出ることが決まったんだけど、討伐者である冒険者、兄さん達、そして異世界病院が今回の対象なんだ」
「へっ!? 俺達一応括りとしては冒険者だよ?」
俺達は冒険者に所属して異世界病院を行なっている。そのため今回の依頼も冒険者として参加しているはずだ。
「異世界病院が対象になった理由はなに? オラ達よりほぼガレインが治療をしていたはずだけど……」
「もちろんそれも含まれているけど、一番の功労者はケントなんだ」
「ん? なんで俺?」
俺はガレインのサポートをした記憶しか残ってない。むしろ途中治療から抜け出していたぐらいだ。
「はぁー。こういうところがケントの良いところだけど無自覚なのもね」
「ケントだから仕方ないよ」
俺はどこか二人に呆れられていた。
「本当に覚えてないの? 父上に色々捲し立てるように話したのか――」
「あああああ! 忘れようと思ってたのにー!」
「やっぱり覚えているじゃん」
ガレインは忘れたい記憶を引っ張ってきた。
「ケントそんなことしたの? ひょっとしたら今頃不敬罪で捕まっていたかもしれないよ?」
「それは言った後に気づいたよ」
「はぁー」
また二人にため息をつかれてしまった。
「でも父上はあの言葉で目を覚ましたって言っていたよ。今後の未来は明るいなって」
「ちょっとそれは大袈裟だな」
流石に俺もあの時は命の危険を感じた。それをただの若者の言葉として聞き入れた国王の心の広さに感謝しかない。
「でもそれで功労者になるんなら、俺は辞退するよ」
記憶から消したいことだから別に褒賞はいらない。むしろそのまま忘れて欲しい。
「いや、多分それが功労者の理由ではないと思うよ?」
「そうなのか?」
「はぁー」
三度目のため息はさすがに見逃さないぞ。
「お前らさっきから――」
「きっと首輪の回収のことを言っているのじゃ」
胸ポケットにいるコロポが突然話しかけてきた。その言葉にガレインとラルフは首を縦に振っていた。
「あっ、それは本当に忘れてたわ」
「はぁー、やっぱり……」
どうやら強制進化の首輪を回収したことが功労者として褒賞をもらえるきっかけになったらしい。
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