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第一章 外れスキル
216.規格外
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サイズ感がバターナイフに似ているからガレインは勘違いしていたのだろう。
「これでバター切ったらよく切れたよ?」
俺は思わず吹き出しそうになってしまった。バターをメスで切る医者って中々絵面がシュールだ。
「それは皮膚を切る道具だから結構危ないよ」
「なら気をつけて扱わないといけないな」
ガレインはメスを倒れた人に軽く当てた。もちろん刃の方では皮膚を切ってしまうため、反対側を体に触れさせている。
「んー、傷は治ってるから魔力は逃げにくいけど、なんか魔力が二つある感じに見えるかな?」
どうならガレインでも治せないようだ。ただ、俺はラルフの魔力が二つあるという言葉が引っかかった。
「魔力って二種類あるのか?」
「いや、私もそんなこと聞いたことないが……」
「ひょっとしたらその二つあるうちの一つの魔力が魔力不安定症の原因じゃないか?」
俺の言葉にみんな驚いた表情をしていた。ここ一時間ぐらいでみんなの表情がコロコロ変わるため見ているこちらとしては楽しい。
「やっぱりケントくんって規格外ね……」
「それがケントですよ」
俺はまた何かやらかしてしまったようだ。
「一度ラルフが全員見て共通する魔力がないか確認してみて! その間俺はみんなの傷口を塞ぐからガレインは魔力が分離できないか考えてみて」
「わかった!」
俺達は各々今できることをやることにした。結局は元あった魔力を残して、別の魔力を分離させないといけないからな。
♢
しばらくするとラルフは問題になっている魔力を見つけることができた。
「やっぱりケントの言う通り二つある魔力のうち、一つが元の魔力を食い尽くそうとしているよ」
「なんか歴史的瞬間に立ち会えているようだわ……」
ギルド職員はそんな俺達を遠目で見ていた。
「ガレインの方はいけそうか?」
「いや、全く想像ができないんだ。ケントに言われた知識では魔力がどこにあるのかもわからない」
確かに解剖学には魔力がどこから溢れ出ているのかもわからない。一般的には心臓の辺りとは言われているがそれが本当なのかもわからない。
「それでもやってみるしかないか」
昔と比べてガレインもだいぶ成長していた。以前のガレインなら戸惑って何もできなかっただろう。
「魔力が二つあるってことはどんな感じなの?」
「んー、見えてるイメージだと糸と糸が絡み合ってる印象かな?」
ガレインはメスを再び倒れた冒険者に押し当てた。
「やっぱり魔力がわかんない」
しばらくガレインは止まっていたが、やはりどうしようもないのだろうか。
「メスってそもそも刃の部分を当てる道具だから刃側を当ててみたら?」
「魔力が感じられるようになった!」
俺は何となく提案してみるとどうやら解決策になったようだ。
道具はちゃんとした使い方があるからな。
ガレインはそのまま魔力を込めるとメスの先に半透明なミミズのようなものがくっついて来ていた。
「ヒイィィー!」
胸ポケットにいるコロポが異常なほどビビっていた。
「あれは呪いなのじゃ」
呪いといえば角度計を出した時にコロポが言っていた言葉だ。
「これで抜き取って……あっ……」
ただ謎の物体は引き抜くとすぐに体に戻ってしまった。戻った瞬間に冒険者はすぐに苦しみ出したことから原因があのミミズなのは間違いない。
「ガレインもう一回やってもらってもいいか?」
「でも……」
「ちょっと捕まえてみる」
「捕まえる!?」
ミミズみたいな物体なら俺は捕まえられると思った。他の人は俺を止めたがなぜか行ける気がしたのだ。
「ケント行くよ!」
「おう!」
ガレインが謎の物体を引き抜いた瞬間、俺はメリルからもらった薬の瓶で受け止め蓋をした。
「ほら、いけた!」
「……」
なぜか今度は驚いた表情というよりは呆れていた。
「あれ?」
「やっぱりケントは規格外だね」
「そうだね。なんかケントにできるって言われたら本当にできそうな気がするよ……」
どうやら俺はみんなに勇気を与えているようだ。
「これでバター切ったらよく切れたよ?」
俺は思わず吹き出しそうになってしまった。バターをメスで切る医者って中々絵面がシュールだ。
「それは皮膚を切る道具だから結構危ないよ」
「なら気をつけて扱わないといけないな」
ガレインはメスを倒れた人に軽く当てた。もちろん刃の方では皮膚を切ってしまうため、反対側を体に触れさせている。
「んー、傷は治ってるから魔力は逃げにくいけど、なんか魔力が二つある感じに見えるかな?」
どうならガレインでも治せないようだ。ただ、俺はラルフの魔力が二つあるという言葉が引っかかった。
「魔力って二種類あるのか?」
「いや、私もそんなこと聞いたことないが……」
「ひょっとしたらその二つあるうちの一つの魔力が魔力不安定症の原因じゃないか?」
俺の言葉にみんな驚いた表情をしていた。ここ一時間ぐらいでみんなの表情がコロコロ変わるため見ているこちらとしては楽しい。
「やっぱりケントくんって規格外ね……」
「それがケントですよ」
俺はまた何かやらかしてしまったようだ。
「一度ラルフが全員見て共通する魔力がないか確認してみて! その間俺はみんなの傷口を塞ぐからガレインは魔力が分離できないか考えてみて」
「わかった!」
俺達は各々今できることをやることにした。結局は元あった魔力を残して、別の魔力を分離させないといけないからな。
♢
しばらくするとラルフは問題になっている魔力を見つけることができた。
「やっぱりケントの言う通り二つある魔力のうち、一つが元の魔力を食い尽くそうとしているよ」
「なんか歴史的瞬間に立ち会えているようだわ……」
ギルド職員はそんな俺達を遠目で見ていた。
「ガレインの方はいけそうか?」
「いや、全く想像ができないんだ。ケントに言われた知識では魔力がどこにあるのかもわからない」
確かに解剖学には魔力がどこから溢れ出ているのかもわからない。一般的には心臓の辺りとは言われているがそれが本当なのかもわからない。
「それでもやってみるしかないか」
昔と比べてガレインもだいぶ成長していた。以前のガレインなら戸惑って何もできなかっただろう。
「魔力が二つあるってことはどんな感じなの?」
「んー、見えてるイメージだと糸と糸が絡み合ってる印象かな?」
ガレインはメスを再び倒れた冒険者に押し当てた。
「やっぱり魔力がわかんない」
しばらくガレインは止まっていたが、やはりどうしようもないのだろうか。
「メスってそもそも刃の部分を当てる道具だから刃側を当ててみたら?」
「魔力が感じられるようになった!」
俺は何となく提案してみるとどうやら解決策になったようだ。
道具はちゃんとした使い方があるからな。
ガレインはそのまま魔力を込めるとメスの先に半透明なミミズのようなものがくっついて来ていた。
「ヒイィィー!」
胸ポケットにいるコロポが異常なほどビビっていた。
「あれは呪いなのじゃ」
呪いといえば角度計を出した時にコロポが言っていた言葉だ。
「これで抜き取って……あっ……」
ただ謎の物体は引き抜くとすぐに体に戻ってしまった。戻った瞬間に冒険者はすぐに苦しみ出したことから原因があのミミズなのは間違いない。
「ガレインもう一回やってもらってもいいか?」
「でも……」
「ちょっと捕まえてみる」
「捕まえる!?」
ミミズみたいな物体なら俺は捕まえられると思った。他の人は俺を止めたがなぜか行ける気がしたのだ。
「ケント行くよ!」
「おう!」
ガレインが謎の物体を引き抜いた瞬間、俺はメリルからもらった薬の瓶で受け止め蓋をした。
「ほら、いけた!」
「……」
なぜか今度は驚いた表情というよりは呆れていた。
「あれ?」
「やっぱりケントは規格外だね」
「そうだね。なんかケントにできるって言われたら本当にできそうな気がするよ……」
どうやら俺はみんなに勇気を与えているようだ。
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