外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいです。〜戦闘でも使えるとわかったのでチーム医療でざまぁすることになりました〜

k-ing ★書籍発売中

文字の大きさ
上 下
206 / 281
第一章 外れスキル

206.どいつも同じなのか?

しおりを挟む
 元々森と馬車が通るために舗装された道の間に野営地があり、今回はそこを待機場所として使う予定になっている。

 俺達は馬車から降りると、そこにはお馴染みのメンバーである破滅のトラッセン達もいた。

 基本的に仮冒険者以外は強制参加の依頼になっているようだ。

「ケント達は子供達を見ててくれ。少し救護施設の場所を確認してくる」

 今回俺達以外の仮冒険者達も参加しているが基本的に関わろうとする人はいないようだ。

 まぁ、俺達異質だからな……。

 マルクスは他の冒険者に救護施設のテントの場所を聞きに行った。

「わしをこんなところで治療させるつもりなのか!」

「いや、これでもしっかりした作りに――」

 俺は声がする方に向かうとそこには王城で働いている貴族より煌びやかな格好をしたふくよかな男がいた。

 この間の男と同様、聖教ギルドに所属している人達はみんな似たような見た目をしているのだろうか。

 その男は大きく手を振り上げた。

――パチン!

 説明をしていた男におもいっきり手を振り下ろしていた。

「私を侮辱するつもりか!」

 叩かれていたのは冒険者ギルドで働いている職員だった。

 それでも職員は説明し続けると怒りながらどこかへ行ってしまった。

「おい、どこに行ってたんだ」

 マルクスに声をかけられ俺はビクッと驚いてしまった。

「マルクスさん……」

「あっ、あそこは近づかないほうがいい。聖教ギルドの持ち場だ」

 その後横暴な男は聖教ギルドから派遣された人で、今回協力してもらう予定の人だと説明された。

「俺達の救護施設はあっちだ」

 マルクスに言われるがまま付いていくと先程あった救護施設より小さいテントがあった。

 それでも大人が何人も寝れる場所は確保できている。

「さっきのところよりは小さいがよほどのことがない限りは大丈夫だと思うぞ」

 今回は前回のことも踏まえて過剰に戦力を用意している。

 よほどのことが起こらない限りは俺達が最前線に出ることはないだろう。

「じゃあ、俺は話し合いに行ってくる」

 マルクスはこれから始まる話し合いに向かった。

「ひとまずみんな呼んで一通り準備でもしておくか」

 俺も異世界病院のメンバーを迎えに戻った。





 俺は異次元医療鞄から薬や包帯などを全て取り出した。

 薬は事前にメリルに頼んでいくつか用意してもらった。

「お兄ちゃんこれはここでいい?」

「そこで大丈夫だよ」

「わかった! 私でも大丈夫かな……」

 今回はアリミアも仮冒険者ではないがついて来ている。

 アリミアは今までスキル【看護】を使う機会がなく、スキルの表記を偽ることができるが看護らしいスキルが発動できていなかった。

「きっと大丈夫だよ! あれだけ包帯を巻く練習もしたんだし」

 俺はアリスに包帯の巻き方を事前に教えていた。

 異世界病院に所属している同じ看護スキル持ちの子ども達は、包帯を使わせるとスキルが発動するようになっていた。

 しかし、アリミアのスキルは特殊なのかステータス表記がラルフとガレインの力を使っても表示されなかった。
 
 スキル発動に何かしら心意的なところも関係しているのだろうか。

 確認できたのは医療ポイントが常に0のままということだけだ。

「まぁ、気楽にやっていこう」

「ラルフ兄ちゃん……」

「そうだよ! 今回は誰も傷つかない方が良いだろうしね」

 ラルフとガレインもアリミアのことを心配している。

「おーい、準備できたか?」

「あっ、終わりました! 会議はどうなりましたか?」

「出発は明日の明朝に決まった。なぜか今魔物達の進軍が止まっているらしいからな」

 魔物達の進軍はあれから止まり、今はその場で止まっているらしい。

「今のうちにゆっくりしておこうぜ。あっ、他の冒険者達がケントのご飯を楽しみにしていたぞ」

 笑いながらマルクスは救護施設から出て行った。

「さすが冒険者達だよね」 

「緊張感がないというのかそれだけケントのご飯がすごいのか……」

「きっと両方ですね。マルヴェイン兄さんもケントのご飯食べたかっただろうな……」

 ガレインの一言で俺の背筋は一瞬ひんやりした。ここまで来てゴリラの食事係は遠慮したい。

「ある意味こっちでよかったよ。ご飯でも作りにいこうか」

 俺は忘れていた。こっちにはマルヴェインとは違うタイプの大食いがいたことを……。

 
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い

竹桜
ファンタジー
 主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。  追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。  その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。  料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。  それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。  これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...