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第一章 外れスキル
176.訪問
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そんなことを考えているとさっきから一階が騒がしくなってきた。俺は二階から顔を出すと見知った人達が食べにきているようだ。
俺は一階に行くと王族の三人がいた。
忙しい時間帯のためか人が多くおり、お客さんは困惑している。
「ここの席をどうぞ」
近くにいた女性が席から立ち上がるが、マルヴェインは肩を触れ止めた。
「俺達も一般の客だから気にしなくていい。ここの食事は美味しいか?」
「あっ……はい」
「そうかまた食べにきてくれ」
女性はマルヴェインに微笑まれて顔を赤く染めていた。
王族そして次期国王としてもマルヴェインは人気があった。
見た目だけは少女漫画に出てきそうなほどキラキラしているからな。俺にはゴリラがキラキラしているようにしか見えないけどな……。
「皆さん勢揃いでどうしたんですか?」
「ああ、ガレインばかり来ているから俺も来たぞ!」
マルヴェインは騎士団、セヴィオンは魔法士団に所属しているため普段は訓練で忙しい。
「せっかくだから外の席に行きますか? 僕もそろそろ休憩に入りますし」
「別に俺達も並ぶつもりだったんだが……」
「いやいや、王族の人達が並んでいると色々と面倒なのでお待ちください」
俺はそう言って空いている部屋に三人を案内しようとするとセヴィオンは何かに気づき立ち止まっていた。
「兄さんどうかしました?」
「いや、俺の勘違いのようだ。流石に死人がいるはずはないですね」
ボソッとセヴィオンは呟くがすぐに歩き出した。
♢
すぐに仕事を片付け終えた俺はガレイン達が待っている部屋に向かった。
「お待たせしました。庭の席が空いているそうなので、そちらにご案内します」
「ああ」
天気が良いため庭にある席に案内をした。
「ほぉー、中々すごい庭だね。良い庭師でも雇っているんか?」
マルヴェインは特に何も気にしていなかったが、セヴィオンは庭を見て感心していた。さすがゴリラとは違う。
「いや、ここはビー助が管理してるんです」
「ビー助?」
「ビー助ちょっと出てきて」
俺は呼びかけると花がガサガサと動いていた。
庭から飛び出してきたのはハニービーのビー助だ。
「魔物か!」
マルヴェインとセヴィオンは剣に手を触れるが俺の様子を見て手を離した。
「こいつがキラービーのビー助です。僕の友達なんですよ」
ビー助はいつものように俺の頭の上に乗り頬擦りをしている。
「魔物が懐いていますね。魔法もあれだけ使えて、魔物を懐柔させるとは……」
そんな様子をセヴィオンは興味深そうに見ていた。
「ビー助が花と魔力蜜の管理をしています。ここで使っている魔力蜜もビー助が作ったものになりますね」
異世界食堂のパンケーキに使われている魔力蜜はビー助が集めたものを使っている。
ビー助は花を集め自身で庭に埋めた。そうすることでいつでも簡単に蜜が取れるように管理しているのだ。
ビー助は思ったよりも効率を考えており、頭の回転も早かった。
「頭が良い魔物もいるんですね」
セヴィオンの中では、上位種でなければ知能が低く襲ってくる魔物ばかりだと認識していたためビー助は不思議な存在なんだろう。
俺も周りにいる妖精、動物、魔物が他の種族より飛び抜けて頭が良いと思っている。
きっと俺がただの親バカなんだろう。
「すぐに料理を準備しますので席に座ってお待ちください」
三人を座らせると厨房に戻った。
とりあえずここで扱っているメニューを全て持ってくるようにロンに頼んだ。
きっとあのゴリラだから全種類食べるはずだ。
しばらくすると、ロン自身がいくつかのメニューを運んできた。
「マルヴェイン様、セヴィオン様、ガレイン様お待たせしました。こちらが当店で扱っているメニューの数々です」
ロンが持ってきたのは異世界食堂で取り扱ってる以下のものだった。
――――――――――――――――――――
ハンバーグ
カレースープ
パスタ
オムレツ
パンケーキ
フレンチトースト
ハンバーガー
――――――――――――――――――――
「知らない食べ物が三種類も増えたのか」
「そうですね。前回王城にお招き頂いた時にはハンバーガーを持っていきましたが、今回はさらに三種類追加しました」
追加されたパスタ、オムレツ、フレンチトーストには興味を示していた。
「パスタは味や形を変えるだけで色々な楽しみ方ができますし、オムレツやフレンチトーストは朝食に向いていたりなど全体的に幅広くアレンジもしやすい食べ物です」
「そうか」
マルヴェインは一応俺の話を聞いているが、早く食べたいのか手が震えていた。
「餌付けされた動物だな」
それを見ていたセヴィオンとガレインはクスクスと笑っていた。二人も頭の中にはゴリラが出てきているのだろう。
それでもマルヴェインは特に気にしている様子もなかった。
「おかわりもありますのでまた呼んでください。失礼します」
そう言ってロンは厨房に戻って行った。
「どうぞ、遠慮なく召し上がって――」
「遠慮なく……」
俺の発言にマルヴェインは目を光らせていた。
俺は後にマルヴェインの食欲に後悔するのだった。
俺は一階に行くと王族の三人がいた。
忙しい時間帯のためか人が多くおり、お客さんは困惑している。
「ここの席をどうぞ」
近くにいた女性が席から立ち上がるが、マルヴェインは肩を触れ止めた。
「俺達も一般の客だから気にしなくていい。ここの食事は美味しいか?」
「あっ……はい」
「そうかまた食べにきてくれ」
女性はマルヴェインに微笑まれて顔を赤く染めていた。
王族そして次期国王としてもマルヴェインは人気があった。
見た目だけは少女漫画に出てきそうなほどキラキラしているからな。俺にはゴリラがキラキラしているようにしか見えないけどな……。
「皆さん勢揃いでどうしたんですか?」
「ああ、ガレインばかり来ているから俺も来たぞ!」
マルヴェインは騎士団、セヴィオンは魔法士団に所属しているため普段は訓練で忙しい。
「せっかくだから外の席に行きますか? 僕もそろそろ休憩に入りますし」
「別に俺達も並ぶつもりだったんだが……」
「いやいや、王族の人達が並んでいると色々と面倒なのでお待ちください」
俺はそう言って空いている部屋に三人を案内しようとするとセヴィオンは何かに気づき立ち止まっていた。
「兄さんどうかしました?」
「いや、俺の勘違いのようだ。流石に死人がいるはずはないですね」
ボソッとセヴィオンは呟くがすぐに歩き出した。
♢
すぐに仕事を片付け終えた俺はガレイン達が待っている部屋に向かった。
「お待たせしました。庭の席が空いているそうなので、そちらにご案内します」
「ああ」
天気が良いため庭にある席に案内をした。
「ほぉー、中々すごい庭だね。良い庭師でも雇っているんか?」
マルヴェインは特に何も気にしていなかったが、セヴィオンは庭を見て感心していた。さすがゴリラとは違う。
「いや、ここはビー助が管理してるんです」
「ビー助?」
「ビー助ちょっと出てきて」
俺は呼びかけると花がガサガサと動いていた。
庭から飛び出してきたのはハニービーのビー助だ。
「魔物か!」
マルヴェインとセヴィオンは剣に手を触れるが俺の様子を見て手を離した。
「こいつがキラービーのビー助です。僕の友達なんですよ」
ビー助はいつものように俺の頭の上に乗り頬擦りをしている。
「魔物が懐いていますね。魔法もあれだけ使えて、魔物を懐柔させるとは……」
そんな様子をセヴィオンは興味深そうに見ていた。
「ビー助が花と魔力蜜の管理をしています。ここで使っている魔力蜜もビー助が作ったものになりますね」
異世界食堂のパンケーキに使われている魔力蜜はビー助が集めたものを使っている。
ビー助は花を集め自身で庭に埋めた。そうすることでいつでも簡単に蜜が取れるように管理しているのだ。
ビー助は思ったよりも効率を考えており、頭の回転も早かった。
「頭が良い魔物もいるんですね」
セヴィオンの中では、上位種でなければ知能が低く襲ってくる魔物ばかりだと認識していたためビー助は不思議な存在なんだろう。
俺も周りにいる妖精、動物、魔物が他の種族より飛び抜けて頭が良いと思っている。
きっと俺がただの親バカなんだろう。
「すぐに料理を準備しますので席に座ってお待ちください」
三人を座らせると厨房に戻った。
とりあえずここで扱っているメニューを全て持ってくるようにロンに頼んだ。
きっとあのゴリラだから全種類食べるはずだ。
しばらくすると、ロン自身がいくつかのメニューを運んできた。
「マルヴェイン様、セヴィオン様、ガレイン様お待たせしました。こちらが当店で扱っているメニューの数々です」
ロンが持ってきたのは異世界食堂で取り扱ってる以下のものだった。
――――――――――――――――――――
ハンバーグ
カレースープ
パスタ
オムレツ
パンケーキ
フレンチトースト
ハンバーガー
――――――――――――――――――――
「知らない食べ物が三種類も増えたのか」
「そうですね。前回王城にお招き頂いた時にはハンバーガーを持っていきましたが、今回はさらに三種類追加しました」
追加されたパスタ、オムレツ、フレンチトーストには興味を示していた。
「パスタは味や形を変えるだけで色々な楽しみ方ができますし、オムレツやフレンチトーストは朝食に向いていたりなど全体的に幅広くアレンジもしやすい食べ物です」
「そうか」
マルヴェインは一応俺の話を聞いているが、早く食べたいのか手が震えていた。
「餌付けされた動物だな」
それを見ていたセヴィオンとガレインはクスクスと笑っていた。二人も頭の中にはゴリラが出てきているのだろう。
それでもマルヴェインは特に気にしている様子もなかった。
「おかわりもありますのでまた呼んでください。失礼します」
そう言ってロンは厨房に戻って行った。
「どうぞ、遠慮なく召し上がって――」
「遠慮なく……」
俺の発言にマルヴェインは目を光らせていた。
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