外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいです。〜戦闘でも使えるとわかったのでチーム医療でざまぁすることになりました〜

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第一章 外れスキル

171.スライムの人生

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 俺は水浸しになっているとポケットからボソボソとコロポが話し出した。

「こいつケントのことが気に入っておるそうじゃ」

 ひょっとしてまた前住人に好かれるパターンか。今回は足や手は生えてないが、いかにも魔物とわかる容姿のため恐怖感は特にない。

 むしろ魔物だからこそ警戒しないといけないはずだが、目の前の魔物はニコニコと笑っている。

 これは"あなたについて行きたいようだ。仲間にしますか?"と表示が出てもおかしくない状況だ。

「君は前からここに住んでるの?」

 俺はスライムに話しかけると声に頷くように顔に水を噴射してきた。

「おい、ちょっと待って! 溺れるから!」

 顔にかかる水の勢いがとにかくすごいのだ。ただ、便器の中にいた魔物が出す水……考えただけで衛生的に悪い。

 俺がスライムに怒ると水の勢いは弱くなり、チョロチョロと流れていた。

 スライムは二つ折りになった落ち込んでいた。ああ、こんな形の携帯電話を使っていたな……。

「お兄ちゃんがいじめてる…….」

 アリシアの声に俺はハッとした。

「いや、いじめてはないぞ! せめて水のいきゔぇっ!?」

 俺が必死にアリミアに言い訳をすると言葉を遮るようにスライムからまた大量の水が噴射された。

「ははは、ケント遊ばれているよな? なんか楽しそうだな」

「あなたも混ざってくる?」

「いや、俺は遠慮しておくよ」

 そんな息子の姿を見たロニーとアニーは何故か微笑ましく見ていた。顔にかかっている水が自分の汚物が混ざっているかもしれないからな。

「だから水の勢いがぁー!」

 俺はその後もスライムに水を噴射し続けられた。




 スライムは遊び疲れたのか水を噴射しなくなってきた。そこで俺はコロポを通してスライムに話をすることにした。

「なんでここにいるの?」

「前から住んでると言っておるのじゃ」

「じゃあこっちが後からきたことになるのか……」

 やはりスライムが先に住んでいた。俺達が後から住むようになるためちゃんと確認は必要になる。

「これからここに一緒に住むことになっても大丈夫?」

 スライムは嬉しいのか水の噴射の勢いを強くして周囲を水浸しにしていた。

「いつも驚いてみんなすぐに出て行くらしいのじゃ」

 スライムは昔住んでいた者にテイムされていたらしい。そこで汚染物やゴミを処理するのに使われていた。

 しかし、主人が解放するのを忘れて亡くなったため一人で屋敷の中で住んでいた。

 時折、引っ越してくる人がいても魔物として有名なスライムを見れば引っ越すか、討伐しようと冒険者を雇われることが多かった。

 その度に便器に隠れたり、近くの汚物処理場に逃げたりを繰り返して亡くなった主人を待っていたらしい。

 その話を聞いて俺の中ではすでにスライムを家族として迎え入れたいと思った。

「じゃあ、みんなにも――」

 俺はロニー達を見ると驚いた表情でこちらを見ていた。

「ケントこいつと話しが出来るのか?」

「あっ……」

 ロニー達にはコロポのことを説明していなかった。だから俺が直接スライムと話をしていると勘違いされていた。

「コロポちょっと出てきて」

「よし! 呼ばれて飛び出てぐふっ!?」

「それ著作権に引っかかるからダメ!」

 俺はどこか聞いたことある言葉を聞き、コロポが言う前に顔全体を手で押さえ込んだ。

「えーっと、この妖精を通してスライムと話してたんだ」

 手を離すとぐったりとしたコロポがいた。

「いきなり何をするのじゃ」 

 コロポは急に顔全体を押さえ込まれていたため怒りながら俺の頭を蹴っていた。

「あー、ごめんごめん」

「わしの扱いがひどいのじゃ! これでも妖精だぞ」

「妖精なわけないよ。見た目おっさんじゃんかー!」

 アリミアはコロポをみて落胆していた。物語の中とかに出てくる妖精と言えば透明な羽をつけた美少女が定番だからな。

 それよりもコロポが落ち込んでいた。

「誰がおっさんじゃ……いや、わしおっさんだよな……そうかおっさんか……」

「この妖精がスライムと話していたってことか?」

「そうだよ! コロポに伝えてもらってたんだ」

「君……えーっとおっちゃん?」

 見た目が自身より老けて見えるため、ロニーも接し方がわからないのだろう。

 コロポのことを何て呼べばいいのかわからなくてなっていた。

「コロポでいいのじゃ」

「じゃあ、コロポさん。スライムにこれから一緒に住むことになるからよろしくお願いしますとお伝えください」

 コロポはスライムに伝えると、ロニーに対して水を噴射していた。

「ははは、了承は得られたってことかな?」

「そういうことじゃな!」

「みんなも大丈夫か?」

「問題ないわよ」

「私もいいよ。この子ぷよぷよして気持ちいいし」

 アニーやアリミアも特にスライムが嫌だということはなかった。

 そもそもトイレに入る前までは特に異常もなかったため、みんなこの家に住むことを考えていた。

「じゃあ、また商業ギルドに戻って契約をしに行くか」

 俺達はスライムに別れを告げ、商業ギルドに戻ってた。
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