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第一章 外れスキル
156.生誕祭最終日
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――生誕祭最終日
今日も朝から孤児院の食事処は繁盛していた。食べに来る人も固定されており、昨日来ていた人も訪れている。
「フェーズさんまた来たんですね」
「おう、当たり前だ。今日で終わるって思うと悲しいぞ」
フェーズは落ち込みながらもハンバーグを食べている。そんなに美味しいならレシピの公開も考えた方がいいのだろう。
「ケントおかわり!」
フェーズは追加注文するとそれに続くように他のテーブルからも追加注文をする声が聞こえた。
「食べすぎじゃないですか?」
「いつ食えるかわからないからな」
「いつって……これからも孤児院で食事処続けることになりましたよ?」
俺の一言にフェーズは固まっていた。
いや、フェーズだけではなく常連となった人達も同様に固まっている。
「あのー」
「な、なんだって!?」
急に大きな声を出すから口からハンバーグが飛び出ているよ……。
「いや、昨日マルヴェイン王子が来て、庇護してやるっていう話になったので、これからも続ける方向性になりました」
「そうか……毎日食べれるんだな! よっしゃー!」
流石に毎日は体には悪いと思う。フェーズが今度はオークになってしまう。
「どうにか投票して続けてもらうようにしようと思ったけど、なんとかなるんだな……」
「投票……ですか?」
「ケント知らないんか?」
生誕祭最終日のお昼過ぎまでに、住民からの投票で食事処や屋台の順位を決めるイベントが開催されるらしい。
そこで三位までに入ると、臨時のお店はお店の資金や土地が商業ギルドから提供してもらえるため、成人した人達は自分のお店を持つために競い争うようになっている。
もちろんエイマーもそのことは知っているが、修行に出る前の体験的な要素が強いため特に説明はしていなかったらしい。
「俺はここの飯が良かったから投票するつもりだけどな。夜にはパレードがあった中心部で発表があるから見にいこうぜ」
「そうですね。子ども達にも見せたいんで、また助けてくださいね」
「おう、任せろ」
あの頃の暗かったフェーズはもういないようだ。
♢
食事処を終えた俺達はエイマーやフェーズ達とともに王都中心に来た。
屋台をやっているものは生誕祭終了まで開店しているためお祭り騒ぎとなっている。
子ども達には今回得た利益の中でお小遣いを渡し、なるべく団体で行動するように伝えてある。
基本冒険者が一人付いているから大丈夫だろう。
「兄ちゃん行こう!」
「ニチャ行こ!」
俺を引っ張るのはミィとベールだった。
ベールも今回の食事処を一緒にやるようになってから俺にべったりとしている。
「兄ちゃんは私と行くの!」
「ニチャは私と行くの!」
二人とも俺を譲らないと言わんばかりの取り合いを始めた。
「妹みたいだな。妹か……」
俺は前世の妹、そしてエッセン町にいるアリミアを思い出していた。
「二人とも一緒に回ればいいでしょ? 他にも行きたそうな子達もいるしね」
ミィやベール意外にも俺と行動したそうな子達は多かった。
ついに俺にモテ期が来たのだろうか。
「いや、ケントはお兄ちゃんだぞ?」
隣にいたラルフはボソッと呟いた。彼の目はスキルが発動している時のように瞳の色が異なっている。
「ステータス覗いただろ!」
「へへへ」
いつのまにかラルフもスキルが強化されてきてるのだろう。
俺はラルフとともに子ども達を引き連れて、屋台で串焼きなど簡単な物を食べていると金属を叩く音が鳴り響いた。
「おっ、ついに順位発表の時間になったぞ」
近くにいたフェーズが声をかけてきた。金属を叩く音は投票結果の発表を知らせる鐘の音らしい。
「えー、皆さま集まって頂きありがとうございます。これから生誕祭恒例の食事処および屋台の優秀店を発表します」
舞台の上には商業ギルド長が立っており、その隣のテーブルには何か厚みがある袋と順位の報酬が書かれた紙が置いてあった。
――――――――――――――――――――
1位 大金貨2枚と土地
2位 大金貨1枚と土地
3位 大金貨1枚
※土地は大金貨2枚と交換可能
――――――――――――――――――――
「大金貨1枚だと日本円で100万円だから……1位は最高400万円!?」
考えてもいなかったが賞金の多さに俺は驚いた。
「第3位の発表です。第3位は屋台ジューシークシヤキーズです」
「あー、チクショー! 今年こそは1位になるつもりだったのに」
遠くの屋台から大きな声で話す人がいた。
「あっ、さっきあそこで串焼き買ったわ」
「あのおっさんの串焼きは毎年人気だからな」
3位に入賞したのはさっきまで食べていた串焼き屋の屋台だった。
「それでは第2位の発表です。今回は新規店が入賞しました。第2位は孤児院の食事処です」
「えっ?」
急に呼ばれたため俺の頭の中は真っ白になった。
「ほら、やっぱり入賞したじゃねーか。これでお金かからずにお店が建てられるな」
「ええ……資金集めも大変ですからね」
まさかの入賞にマルヴェインからの援助なく、孤児院の食事処が続けれることが決まったのだ。
その後1位が発表されエイマーが代表として舞台に上がった。
1位は王族や貴族が通うほどの有名なお店のため、実質平民達の中では孤児院が1位となるのだった。
今日も朝から孤児院の食事処は繁盛していた。食べに来る人も固定されており、昨日来ていた人も訪れている。
「フェーズさんまた来たんですね」
「おう、当たり前だ。今日で終わるって思うと悲しいぞ」
フェーズは落ち込みながらもハンバーグを食べている。そんなに美味しいならレシピの公開も考えた方がいいのだろう。
「ケントおかわり!」
フェーズは追加注文するとそれに続くように他のテーブルからも追加注文をする声が聞こえた。
「食べすぎじゃないですか?」
「いつ食えるかわからないからな」
「いつって……これからも孤児院で食事処続けることになりましたよ?」
俺の一言にフェーズは固まっていた。
いや、フェーズだけではなく常連となった人達も同様に固まっている。
「あのー」
「な、なんだって!?」
急に大きな声を出すから口からハンバーグが飛び出ているよ……。
「いや、昨日マルヴェイン王子が来て、庇護してやるっていう話になったので、これからも続ける方向性になりました」
「そうか……毎日食べれるんだな! よっしゃー!」
流石に毎日は体には悪いと思う。フェーズが今度はオークになってしまう。
「どうにか投票して続けてもらうようにしようと思ったけど、なんとかなるんだな……」
「投票……ですか?」
「ケント知らないんか?」
生誕祭最終日のお昼過ぎまでに、住民からの投票で食事処や屋台の順位を決めるイベントが開催されるらしい。
そこで三位までに入ると、臨時のお店はお店の資金や土地が商業ギルドから提供してもらえるため、成人した人達は自分のお店を持つために競い争うようになっている。
もちろんエイマーもそのことは知っているが、修行に出る前の体験的な要素が強いため特に説明はしていなかったらしい。
「俺はここの飯が良かったから投票するつもりだけどな。夜にはパレードがあった中心部で発表があるから見にいこうぜ」
「そうですね。子ども達にも見せたいんで、また助けてくださいね」
「おう、任せろ」
あの頃の暗かったフェーズはもういないようだ。
♢
食事処を終えた俺達はエイマーやフェーズ達とともに王都中心に来た。
屋台をやっているものは生誕祭終了まで開店しているためお祭り騒ぎとなっている。
子ども達には今回得た利益の中でお小遣いを渡し、なるべく団体で行動するように伝えてある。
基本冒険者が一人付いているから大丈夫だろう。
「兄ちゃん行こう!」
「ニチャ行こ!」
俺を引っ張るのはミィとベールだった。
ベールも今回の食事処を一緒にやるようになってから俺にべったりとしている。
「兄ちゃんは私と行くの!」
「ニチャは私と行くの!」
二人とも俺を譲らないと言わんばかりの取り合いを始めた。
「妹みたいだな。妹か……」
俺は前世の妹、そしてエッセン町にいるアリミアを思い出していた。
「二人とも一緒に回ればいいでしょ? 他にも行きたそうな子達もいるしね」
ミィやベール意外にも俺と行動したそうな子達は多かった。
ついに俺にモテ期が来たのだろうか。
「いや、ケントはお兄ちゃんだぞ?」
隣にいたラルフはボソッと呟いた。彼の目はスキルが発動している時のように瞳の色が異なっている。
「ステータス覗いただろ!」
「へへへ」
いつのまにかラルフもスキルが強化されてきてるのだろう。
俺はラルフとともに子ども達を引き連れて、屋台で串焼きなど簡単な物を食べていると金属を叩く音が鳴り響いた。
「おっ、ついに順位発表の時間になったぞ」
近くにいたフェーズが声をかけてきた。金属を叩く音は投票結果の発表を知らせる鐘の音らしい。
「えー、皆さま集まって頂きありがとうございます。これから生誕祭恒例の食事処および屋台の優秀店を発表します」
舞台の上には商業ギルド長が立っており、その隣のテーブルには何か厚みがある袋と順位の報酬が書かれた紙が置いてあった。
――――――――――――――――――――
1位 大金貨2枚と土地
2位 大金貨1枚と土地
3位 大金貨1枚
※土地は大金貨2枚と交換可能
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「大金貨1枚だと日本円で100万円だから……1位は最高400万円!?」
考えてもいなかったが賞金の多さに俺は驚いた。
「第3位の発表です。第3位は屋台ジューシークシヤキーズです」
「あー、チクショー! 今年こそは1位になるつもりだったのに」
遠くの屋台から大きな声で話す人がいた。
「あっ、さっきあそこで串焼き買ったわ」
「あのおっさんの串焼きは毎年人気だからな」
3位に入賞したのはさっきまで食べていた串焼き屋の屋台だった。
「それでは第2位の発表です。今回は新規店が入賞しました。第2位は孤児院の食事処です」
「えっ?」
急に呼ばれたため俺の頭の中は真っ白になった。
「ほら、やっぱり入賞したじゃねーか。これでお金かからずにお店が建てられるな」
「ええ……資金集めも大変ですからね」
まさかの入賞にマルヴェインからの援助なく、孤児院の食事処が続けれることが決まったのだ。
その後1位が発表されエイマーが代表として舞台に上がった。
1位は王族や貴族が通うほどの有名なお店のため、実質平民達の中では孤児院が1位となるのだった。
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