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第一章 外れスキル
145.カタリーナの力
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男は必死に自分の手を拾い、スキルを発動させていた。
「おのれ……お前達冒険者が教会に手を出して――」
「別に我は構わんぞ? そもそも聖教ギルドに所属している者が冒険者ギルドを敵に回して良いと思っておるのか?」
教会にいる人は聖教ギルドから派遣されている。聖教ギルドと冒険者ギルドはお互いに敵対してはいけない存在なのだ。
「お前らなんて聖教ギルドが――」
「それ以上言ったら俺らがお前の首を切り落とすぞ」
「そもそも俺らの恩人になんてことをしてくれたんだ?」
「お前聖教ランクいくつだ? ああん?」
冒険者達は男を囲んでいた。正直冒険者がここまで怖いとは思ったこともない。任侠映画を見ているほどの迫力だ。
「ひぃ……ひぇー!」
男はいそいで手をくっつけるとふらふらしながら冒険者ギルドを後にした。
初めて教会所属の魔法を見たが本当に手が元に戻っていた。流石に異世界の回復魔法の凄さを実感した。
「手をくっつけるだけで魔力が切れるやつが……ん? どうしたのじゃ?」
「カタリーナさん?」
「急によそよそしくて気持ち悪いのじゃ」
「いや、だって見た目が……」
「これが我の本当の姿じゃぞ?」
目の前にいるのは幼女の姿ではなく、スラっとしたスタイルに背中には大きな羽が生えたカタリーナだ。
「本当ですか?」
「ああ、この姿だと魔法の威力が強過ぎるのじゃ」
次第にカタリーナは縮みいつもの姿に戻った。どうやら普段は魔法の威力を弱めるために小さな幼女の姿でいるらしい。
「それにしても大丈夫だったんですか?」
「きっとあやつはCランクぐらいだから問題ないのじゃ。そんなに権力もないのじゃ」
どうやら聖教ギルドも冒険者ギルドと同様にランク制度があるらしい。
「それにしてもなぜやり返さなかったのじゃ?」
「今聖教ギルドを敵に――」
「そんなやつらは俺らが相手してやる」
「えっ?」
「お前らは命の恩人だ。あいつらが敵になるなら俺達冒険者はお前達を守ろう!」
一人が片膝をつくと次々に冒険者達が真似するように膝をつき自身の胸に手を押し付けた。
その姿に俺達は驚い気を隠せなかった。その姿はこの国で忠実心を示す証だったからだ。
「我らはお主らの味方じゃ。だから自分達の好きなように生きればいいのじゃ」
小さな幼女はどこか頼もしかった。
「ケントよかったな!」
「ああ、これで俺達がやりたいようにできるぞ」
俺達はこの時まで聖教ギルドの恐ろしさを知らなかった。似たような組織の規模が大きくなればなるほど大変になることを……。
「おのれ……お前達冒険者が教会に手を出して――」
「別に我は構わんぞ? そもそも聖教ギルドに所属している者が冒険者ギルドを敵に回して良いと思っておるのか?」
教会にいる人は聖教ギルドから派遣されている。聖教ギルドと冒険者ギルドはお互いに敵対してはいけない存在なのだ。
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「そもそも俺らの恩人になんてことをしてくれたんだ?」
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冒険者達は男を囲んでいた。正直冒険者がここまで怖いとは思ったこともない。任侠映画を見ているほどの迫力だ。
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「これが我の本当の姿じゃぞ?」
目の前にいるのは幼女の姿ではなく、スラっとしたスタイルに背中には大きな羽が生えたカタリーナだ。
「本当ですか?」
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「それにしても大丈夫だったんですか?」
「きっとあやつはCランクぐらいだから問題ないのじゃ。そんなに権力もないのじゃ」
どうやら聖教ギルドも冒険者ギルドと同様にランク制度があるらしい。
「それにしてもなぜやり返さなかったのじゃ?」
「今聖教ギルドを敵に――」
「そんなやつらは俺らが相手してやる」
「えっ?」
「お前らは命の恩人だ。あいつらが敵になるなら俺達冒険者はお前達を守ろう!」
一人が片膝をつくと次々に冒険者達が真似するように膝をつき自身の胸に手を押し付けた。
その姿に俺達は驚い気を隠せなかった。その姿はこの国で忠実心を示す証だったからだ。
「我らはお主らの味方じゃ。だから自分達の好きなように生きればいいのじゃ」
小さな幼女はどこか頼もしかった。
「ケントよかったな!」
「ああ、これで俺達がやりたいようにできるぞ」
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