外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいです。〜戦闘でも使えるとわかったのでチーム医療でざまぁすることになりました〜

k-ing ★書籍発売中

文字の大きさ
上 下
103 / 281
第一章 外れスキル

103.実践

しおりを挟む
「ここの計算が間違っておるぞ」

「どこですか?」

 ウルとラルはいつのまにかコルトンに勉強を見てもらっていた。

 それはコルトンのスキルに関係していた。

――スキル【勉学者】

 このスキルは人より知識の定着が早く、教えるのにも適したスキルだった。要は人より何倍も吸収と出力が早かった。

 また人へ教える際に声が通りやすく学習意欲を高める効果もある。

 働くところは学校のみではなく、様々な場所で働くことができるため一般的に知られている当たりスキルだ。

 コルトンはこのスキルを使って過去に商会の商人や学校の教員など様々な仕事をしており、知識量は他の大人よりは多かった。

「あー、すまんがトイレに行きたい」

 コルトンがそう言うとウルとラルは立ち上がりコルトンを軽く支えた。

 行きはウルで帰りはラルが歩行介助をすることにした。

「メリルより上手だな」

「ありがとうございます。うちの先生が厳しいですからね」

「ケントか?」

 コルトンはケントがいる後方へ振り返った瞬間に体がふらついていたがウルはしっかり支えていた。

「急に振り返ると危ないですよ? 体の向きを変えるなら、振り向かずに少し足の向きを変えたらどうですか?」

「ああ、そうしてみるよ。やっぱお前らもケントから教えてもらってるだけあるな……」

 コルトンは少しボヤきながらトイレに向かった。言うことも俺に似ているのだろう。その辺は関係性と距離感を保っていれば問題ない。

 その後は特に危ない場面もなく、今後は二人でも問題ないと判断した俺はメリルに話しかけた。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ仕事に集中出来てよかったわ」

「コルトンさん何かを教えることが好きなんですね」

「昔は毎日忙しいけど楽しそうに働いていたからね」

「何かコルトンさんにも楽しい活動を提供できるように考えておきますね」

「それはありがたいわ。あの人が昔みたいに生き生きとした顔が見たいわ」 

 生活の質を上げるためにはその人がやりたいこと、楽しいことをチームで提供するのも必要だからな。

 ウルとラルはすぐに訪問することが決まった。





「二人ともどうだった?」

「緊張したけどどうにかなりそうかな」

「私も思ったよりできました。ケントくんが厳しいからかな?」

「あー、ケント厳しいもんな……」

 二人は顔合わせも特に問題なく終わり少し安心していた。

「二人とも慣れた時には事故が起きやすいから気を抜かないようにね。ついでに勉強も見てもらえるようになったからしっかりやるんだよ?」

 いつのまにか俺が二人の保護者のようになっていた。

「ケントもエイマーと同じこと言うなよな」

「ケントくんも私達を気にしてくれてるんだからね」

「それは分かってるよ! ただ友達なのにさ?」

「友達だから心配なんだぞ? 特にウルがね」

「うん、私もウルが心配かな」

「二人して俺の心配かよ! 絶対完璧にやってやるから覚えておけよ!」

 そう言ってウルは孤児院に向かって走り出した。ああいうところが心配なんだよな。きっと本当にやる気はあるが空回りしないか心配だ。

「ウルのこと頼むね」

「私のことは心配しないの?」

「だってラルは大丈夫でしょ?」

「むー! もうケントくんなんて知らないもん!」

 ラルは頬を膨らましてウルの後を追って走って行った。

「なんだったんだ……?」

 俺は相変わらず女心が分からず首を傾げるのだった。

しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い

竹桜
ファンタジー
 主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。  追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。  その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。  料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。  それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。  これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

偏屈な辺境伯爵のメイドに転生しましたが、前世が秋葉原ナンバーワンメイドなので問題ありません

八星 こはく
恋愛
【愛されスキルで溺愛されてみせる!伯爵×ぽんこつメイドの身分差ラブ!】 「私の可愛さで、絶対ご主人様に溺愛させてみせるんだから!」 メイドカフェ激戦区・秋葉原で人気ナンバー1を誇っていた天才メイド・長谷川 咲 しかし、ある日目が覚めると、異世界で別人になっていた! しかも、貧乏な平民の少女・アリスに生まれ変わった咲は、『使用人も怯えて逃げ出す』と噂の伯爵・ランスロットへの奉公が決まっていたのだ。 使用人としてのスキルなんて咲にはない。 でも、メイドカフェで鍛え上げた『愛され力』ならある。 そう決意し、ランスロットへ仕え始めるのだった。

魔法召いのリキ・ユナテッド

リオ
ファンタジー
魔法学園に入ることになったリキ・ユナテッド。魔法など使えないと思っていたが実は使え、適当に召喚魔法を口にすると小さな兎が現れた。知能があり、よく喋るその兎は炎属性。 どうやらリキが喚び出す召喚獣は誰かに反応して生まれてくるようで、他に水属性,風属性などの召喚獣ーー全てで四体の召喚獣が召喚可能となる。 『誰かにつくことで属性を付加させる能力を発揮する召喚獣』は、決まった者にしかつかない。その決まった者、召喚獣に選ばれた者とリキと召喚獣その他の物語。学園で出会い、その後どうするのか。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。 その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。   その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。    近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。 更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?   何でもできるけど何度も失敗する。 成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。 様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?   誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!   2024/05/02改題しました。旧タイトル 『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』 2023/07/22改題しました。旧々タイトル 『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』 この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。  『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』  『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』  『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』  『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...