91 / 281
第一章 外れスキル
91.強化版"透視の目"
しおりを挟む
昼食を取るためにテラスに向かった。この時間になると休憩している人やお茶会をしている人もチラホラおり、ガレインが入ると同時に静かになった。
「ガレインお腹減ったー」
ラルフがガレインに話しかけるとあたりからはコソコソと話す声が聞こえた。
「ラルフどうした?」
「ん? 何もない。ガレインも大変だな」
聴覚が人よりも優れているからこそ人の会話が聞こえるのだろう。
「何かあったの?」
「ちょっと俺にスキルをかけてくれる?」
ラルフはガレインに医療の王を発動させた。
お茶会をしている横を通りテーブルまで向かうとラルフは何か呟いていた。
「誰が42歳よ。私は30代だわ」
「私そんなに体重ないわよ」
「あんた私の夫と浮気してるのね!」
お茶会の席はいつのまにか言い合いをしていた。
「おいなんかおかしくないか?」
「何があったんだ?」
「くくく。早くご飯食べようぜー」
そんな中ラルフだけは笑っていた。明らかにラルフが何かをしたのは間違いなかった。
席に着くとガレインはラルフに笑っていた理由を尋ねた。
「だってあいつらずっとガレインの悪口言ってたぞ?」
「私は言われ慣れている――」
「そんなのは慣れたらダメだろ?」
「そうだよ? だから仕返ししたのに!」
獣人のラルフには小さな声で話していても内容は聞こえていた。
ラルフは友達が陰口を言われているのが嫌だったようだ。
「それでラルフは何をやったんだ?」
「ガレインに強化してもらうと人の顔を見るとステータスが覗けるんだ。しかも体格も含めてね」
ラルフのスキルはステータスに追加して、身長・体重が見えるようになっていた。
ラルフはさっき見たある人物のステータスをそのまま紙に書いた。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] マリー・ロドリゲス
[種族] 人間/女
[固有スキル] 令嬢
[職業] ロドリゲス侯爵家の婦人(ハマナス侯爵と浮気中)
[個体値] 身長:155cm 体重:50kg 年齢:42歳
――――――――――――――――――――
「そのまま数値の内容を読んだらあんな状態になっててさ」
「あんまり危ないことしないほうがいいよ? 貴族だから権力でねじ伏せてくるかも知れない」
単純なラルフだが一番危ないのは彼なのかも知れない。
「わかった……」
ラルフは尻尾と耳が垂れ下がり反省していた。むしろ反省してるのが見て分かりやすいほどだった。
「でも私のためにやってくれたんだよね? ありがとう」
ガレインがお礼を伝えるとすぐに元気になっていた。
本人も過去の経験で貴族に嫌な目にあったと言っていたが、友達を助けたいという気持ちが強い故の行動だったのだろう。
少し待っていると食事が運ばれてきた。
「うわー、美味しそうだな」
「俺もこんなにオシャレに出来たら良いけどね」
王族が食べるものだからか、サンドウィッチとシチューでも色とりどりの野菜を使って見栄えが綺麗だ。
「ケントは料理できるの?」
「トライン街に居る時は俺が料理当番だったからね」
俺のはどちらかというと男飯で見た目はあまり良くないが冒険者や男性には好評だ。
「じゃあ、今度食べさせてもらおうかな?」
「機会があったらね」
「ねぇー、早く食べようよ」
「あっ、ごめんごめん」
俺達が話していたためラルフは先に食べずに待っていた。お預けを食らって涎が垂れそうになるのを必死に堪えている。
「ガレインお腹減ったー」
ラルフがガレインに話しかけるとあたりからはコソコソと話す声が聞こえた。
「ラルフどうした?」
「ん? 何もない。ガレインも大変だな」
聴覚が人よりも優れているからこそ人の会話が聞こえるのだろう。
「何かあったの?」
「ちょっと俺にスキルをかけてくれる?」
ラルフはガレインに医療の王を発動させた。
お茶会をしている横を通りテーブルまで向かうとラルフは何か呟いていた。
「誰が42歳よ。私は30代だわ」
「私そんなに体重ないわよ」
「あんた私の夫と浮気してるのね!」
お茶会の席はいつのまにか言い合いをしていた。
「おいなんかおかしくないか?」
「何があったんだ?」
「くくく。早くご飯食べようぜー」
そんな中ラルフだけは笑っていた。明らかにラルフが何かをしたのは間違いなかった。
席に着くとガレインはラルフに笑っていた理由を尋ねた。
「だってあいつらずっとガレインの悪口言ってたぞ?」
「私は言われ慣れている――」
「そんなのは慣れたらダメだろ?」
「そうだよ? だから仕返ししたのに!」
獣人のラルフには小さな声で話していても内容は聞こえていた。
ラルフは友達が陰口を言われているのが嫌だったようだ。
「それでラルフは何をやったんだ?」
「ガレインに強化してもらうと人の顔を見るとステータスが覗けるんだ。しかも体格も含めてね」
ラルフのスキルはステータスに追加して、身長・体重が見えるようになっていた。
ラルフはさっき見たある人物のステータスをそのまま紙に書いた。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] マリー・ロドリゲス
[種族] 人間/女
[固有スキル] 令嬢
[職業] ロドリゲス侯爵家の婦人(ハマナス侯爵と浮気中)
[個体値] 身長:155cm 体重:50kg 年齢:42歳
――――――――――――――――――――
「そのまま数値の内容を読んだらあんな状態になっててさ」
「あんまり危ないことしないほうがいいよ? 貴族だから権力でねじ伏せてくるかも知れない」
単純なラルフだが一番危ないのは彼なのかも知れない。
「わかった……」
ラルフは尻尾と耳が垂れ下がり反省していた。むしろ反省してるのが見て分かりやすいほどだった。
「でも私のためにやってくれたんだよね? ありがとう」
ガレインがお礼を伝えるとすぐに元気になっていた。
本人も過去の経験で貴族に嫌な目にあったと言っていたが、友達を助けたいという気持ちが強い故の行動だったのだろう。
少し待っていると食事が運ばれてきた。
「うわー、美味しそうだな」
「俺もこんなにオシャレに出来たら良いけどね」
王族が食べるものだからか、サンドウィッチとシチューでも色とりどりの野菜を使って見栄えが綺麗だ。
「ケントは料理できるの?」
「トライン街に居る時は俺が料理当番だったからね」
俺のはどちらかというと男飯で見た目はあまり良くないが冒険者や男性には好評だ。
「じゃあ、今度食べさせてもらおうかな?」
「機会があったらね」
「ねぇー、早く食べようよ」
「あっ、ごめんごめん」
俺達が話していたためラルフは先に食べずに待っていた。お預けを食らって涎が垂れそうになるのを必死に堪えている。
11
お気に入りに追加
1,375
あなたにおすすめの小説
パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。
荒井竜馬
ファンタジー
『第16回ファンタジー小説大賞』奨励賞受賞作品
あらすじ
勢いが凄いと話題のS級パーティ『黒龍の牙』。そのパーティに所属していた『道化師見習い』のアイクは突然パーティを追放されてしまう。
しかし、『道化師見習い』の進化条件がパーティから独立をすることだったアイクは、『道化師見習い』から『道化師』に進化する。
道化師としてのジョブを手に入れたアイクは、高いステータスと新たなスキルも手に入れた。
そして、見習いから独立したアイクの元には助手という女の子が現れたり、使い魔と契約をしたりして多くのクエストをこなしていくことに。
追放されて良かった。思わずそう思ってしまうような世界がアイクを待っていた。
成り上がりとざまぁ、後は異世界で少しゆっくりと。そんなファンタジー小説。
ヒロインは6話から登場します。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
ポリ 外丸
ファンタジー
普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。
海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。
その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。
もう一度もらった命。
啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。
前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています
今日から始める最強伝説 - 出遅れ上等、バトル漫画オタクは諦めない -
ふつうのにーちゃん
ファンタジー
25歳の春、転生者クルシュは祖国を出奔する。
彼の前世はしがない書店経営者。バトル漫画を何よりも愛する、どこにでもいる最強厨おじさんだった。
幼い頃の夢はスーパーヒーロー。おじさんは転生した今でも最強になりたかった。
その夢を叶えるために、クルシュは大陸最大の都キョウを訪れる。
キョウではちょうど、大陸最強の戦士を決める竜将大会が開かれていた。
クルシュは剣を教わったこともないシロウトだったが、大会に出場することを決める。
常識的に考えれば、未経験者が勝ち上がれるはずがない。
だがクルシュは信じていた。今からでも最強の座を狙えると。
事実、彼の肉体は千を超える不活性スキルが眠る、最強の男となりうる器だった。
スタートに出遅れた、絶対に夢を諦めないおじさんの常勝伝説が始まる。
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる