5 / 281
プロローグ〜幼い記憶〜
5.奴隷
しおりを挟む
――五年後
奴隷商に売られた俺は十歳になっていた。
外れスキルと呼ばれていた俺は奴隷としても買ってもらえず、最終的には売れ残りとして犯罪奴隷と同様の扱いをされていた。
一般的に奴隷は普通奴隷と犯罪奴隷として分けられるが奴隷も維持するのにお金がかかってしまう。
そのため普通奴隷は売れるまでの期間は何かしら働いてもらうことが多い。
そう、普通奴隷の俺も働くためのスキルが必要だった。
【理学療法】という使用方法がわからないスキルを得た俺は働こうとしても他の人と比べて力が使えなかった。
はじめは奴隷商人も我慢していたが、使えないと分かると扱いは徐々に酷くなり犯罪奴隷と同様の扱いになっていた。
犯罪奴隷は使い捨てという認識が強いため、鉱山などの力仕事を任されることが多い。
俺以外に年齢が若い子もおらず、基本的には成人してケトよりも大きく、体力がある人ばかりだった。
子どもの俺は鉱山の仕事の中でも使えないやつとして邪魔な扱いをされていた。
その日もいつも通りに鉱山で働いて、休憩の時間に食事をしていた。
だが俺は使えない扱いからか、子供のためかわからないが一日の食事はパン一つのみだった。
「お腹減った……」
「おい、俺の分もやるよ!」
「えっ、いいの?」
「ああ、俺はスキルである程度どうにかなるからな」
俺をいつも気遣って食事を分けてくれるおじさんがいた。
奴隷になった時に一緒に乗っていた男のクロスだった。
クロスは冒険者として働いていたが、冒険者をしていた貴族に罪をなすりつけられ、犯罪奴隷に落とされていた。
その時の仲間には誰も味方してもらえず、当時付き合っていた仲間の女性はその貴族と関係を持っていたらしい。
子どもの俺にはいまいちわからなかったが、簡単に人を信じてはいけないがクロスの口癖だった。
「おい、お前ら! 休憩は終わりだ! はやく自分の場所に戻れ!」
「クロスさんありがとう」
「おう、ケトも頑張れよ!」
クロスは俺の頭を撫でると自身の持ち場に戻って行った。
奴隷になってからクロスが自身の中で父親のように俺は思うようになっていた。
「やっぱクロスさんは冒険者だったから体の作りが違うのかな?」
撫でられた頭を触れどこか温かい気持ちになっていた。ゴツゴツして大きな手に撫でられるとどこか心が安心した。
俺自身も持ち場に戻ろうと立ち上がると、後方から何かが倒れる音がした。
――バタン!
どこかで倒れる音がしたため俺は振り返るとそこにはクロスが倒れていた。
「クロスさん!?」
俺はクロスに近づき、彼の顔を見ると笑っていた。
「あはは、つまづいただけだから気にするな! 最近ふらふらすることがあってな」
「大丈夫ですか?」
「ああ! 最近自動回復の性能が落ちたのかな」
「無理しないでくださいよ」
「お前ら何やってる! はやく戻れ!」
監視役から声がかかり俺とクロスに鞭が振るわれた。
とっさにクロスが俺を庇うことでケトには鞭が当たらなかった。
「クロスさん……」
「ケトはやく戻れ! 俺は大丈夫だから!」
「わかった」
「はぁー、まだもってくれよな」
スキルで自動回復を持っていたクロスはある程度の疲労は回復出来ていた。
しかし、空腹までは回復できないのをその時の俺は知らなかった。
奴隷商に売られた俺は十歳になっていた。
外れスキルと呼ばれていた俺は奴隷としても買ってもらえず、最終的には売れ残りとして犯罪奴隷と同様の扱いをされていた。
一般的に奴隷は普通奴隷と犯罪奴隷として分けられるが奴隷も維持するのにお金がかかってしまう。
そのため普通奴隷は売れるまでの期間は何かしら働いてもらうことが多い。
そう、普通奴隷の俺も働くためのスキルが必要だった。
【理学療法】という使用方法がわからないスキルを得た俺は働こうとしても他の人と比べて力が使えなかった。
はじめは奴隷商人も我慢していたが、使えないと分かると扱いは徐々に酷くなり犯罪奴隷と同様の扱いになっていた。
犯罪奴隷は使い捨てという認識が強いため、鉱山などの力仕事を任されることが多い。
俺以外に年齢が若い子もおらず、基本的には成人してケトよりも大きく、体力がある人ばかりだった。
子どもの俺は鉱山の仕事の中でも使えないやつとして邪魔な扱いをされていた。
その日もいつも通りに鉱山で働いて、休憩の時間に食事をしていた。
だが俺は使えない扱いからか、子供のためかわからないが一日の食事はパン一つのみだった。
「お腹減った……」
「おい、俺の分もやるよ!」
「えっ、いいの?」
「ああ、俺はスキルである程度どうにかなるからな」
俺をいつも気遣って食事を分けてくれるおじさんがいた。
奴隷になった時に一緒に乗っていた男のクロスだった。
クロスは冒険者として働いていたが、冒険者をしていた貴族に罪をなすりつけられ、犯罪奴隷に落とされていた。
その時の仲間には誰も味方してもらえず、当時付き合っていた仲間の女性はその貴族と関係を持っていたらしい。
子どもの俺にはいまいちわからなかったが、簡単に人を信じてはいけないがクロスの口癖だった。
「おい、お前ら! 休憩は終わりだ! はやく自分の場所に戻れ!」
「クロスさんありがとう」
「おう、ケトも頑張れよ!」
クロスは俺の頭を撫でると自身の持ち場に戻って行った。
奴隷になってからクロスが自身の中で父親のように俺は思うようになっていた。
「やっぱクロスさんは冒険者だったから体の作りが違うのかな?」
撫でられた頭を触れどこか温かい気持ちになっていた。ゴツゴツして大きな手に撫でられるとどこか心が安心した。
俺自身も持ち場に戻ろうと立ち上がると、後方から何かが倒れる音がした。
――バタン!
どこかで倒れる音がしたため俺は振り返るとそこにはクロスが倒れていた。
「クロスさん!?」
俺はクロスに近づき、彼の顔を見ると笑っていた。
「あはは、つまづいただけだから気にするな! 最近ふらふらすることがあってな」
「大丈夫ですか?」
「ああ! 最近自動回復の性能が落ちたのかな」
「無理しないでくださいよ」
「お前ら何やってる! はやく戻れ!」
監視役から声がかかり俺とクロスに鞭が振るわれた。
とっさにクロスが俺を庇うことでケトには鞭が当たらなかった。
「クロスさん……」
「ケトはやく戻れ! 俺は大丈夫だから!」
「わかった」
「はぁー、まだもってくれよな」
スキルで自動回復を持っていたクロスはある程度の疲労は回復出来ていた。
しかし、空腹までは回復できないのをその時の俺は知らなかった。
16
お気に入りに追加
1,374
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い
竹桜
ファンタジー
主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。
追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。
その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。
料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。
それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。
これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。


家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる