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第四章
144.NPC、治療をする
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町の入り口に向かうと、すでに傷だらけの勇者達が倒れていた。
町の人達が忙しなく動き回り、治療に必要なものを集めている。
「聖職者スキル持ちや教会から人は来ないのか!」
「まだ誰も到着していません」
どうやら異変に気づいた部下が一番に俺のところに来たのだろう。
「現状はどんな感じですか?」
「君はグスタフのところにいるアランのあれかね」
アランのあれとは何だろうか。
きっと師匠とでも言いたいのに、こんな状況で言葉が出て来ないのだろう。
それになぜかノイズのようなものが入っている。
「あれです!」
とりあえず返事をすると、一瞬だけ優しい笑みを向けられた。
「それで現状は?」
「被害はほとんど勇者達ばかりです。助けに入った冒険者も一部いますが、被害はそこまでです」
冒険者は多量に出血しているだけで、勇者達の中には部位欠損している者もいた。
どんな無茶をしたらこんなことになるのだろうか。
「ここにアラン達三兄弟がすぐに来る。あいつらに冒険者の治療をさせてくれ」
俺だけ先に向かったから、ヴァイルと三兄弟は遅れてくるはずだ。
「本当に仲が良いんだな」
背中に温かい視線を感じるが、今はそれどころじゃないからな。
その間に勇者達の元へ向かう。
「おい、大丈夫か?」
「ヴァイトか……? ひょっとしてこの状態でも訓練するのか?」
勇者は何を言っているんだ?
さすがに腕がちぎれている状態で訓練をするはずがない。
「やるならくっつけた後だな」
「やっぱり鬼畜だな」
段々と意識が薄くなっているのだろう。
顔色も青白くなってきている。
すぐに聖職者スキルを発動させると、腕が一瞬で再生していく。
「どういうことだ……?」
今まで勇者達ではない人を治療しても、ここまで傷が再生することはなかった。
冒険者はそこまで無理もしないため、機会がなかったのもある。
ただ、改めて腕が生えてくるって思うと気持ち悪いよな。
勇者の顔色は次第に良くなり、気絶したように眠っている。
血が流れすぎて死ぬことはなさそうだ。
「あいつなんだ……」
「もう人を超えていないか?」
「あの人はきっと神様なのよ!」
周囲で何かを言っているが、集中している俺には聞こえなかった。
その後も勇者達を治療していくが、誰もが重傷者だった。
中には腹を何かに食われているようなやつもいたが、なぜ生きているのか不思議だ。
勇者って本当に謎の存在だな。
ただ、聖職者スキルが万能なのか、何もなかったかのように傷は消えていく。
チラッと遅れてやってきた三兄弟を見るが、特に問題はなさそうだ。
その中でもルーは独特な方法で治療していた。
「いたいのいたいのとんでけー!」
両手を広げて、まるでおまじないのような方法だが、本当に聖職者スキルが発動し傷が治っている。
神様への祈りが届いているのだろう。
しばらく俺達で治療をしていると、教会からも聖職者達が駆けつけてきた。
だが、今治療している勇者で最後になるだろう。
「なっ……これは……」
「ああ、もう治療は終わったので大丈夫ですよ」
無事に治療を終えて、勇者達は地面に寝そべっている。
そういえば、いつまでここで寝ているのだろうか。
「お前達、道の邪魔になるぞ」
そんな勇者達を叩き起こすと、重たい体を起こして宿屋に向かって歩き出す。
「出血デバフで頭が痛いな……」
どうやら血が出過ぎて頭痛がするのだろう。
「やっぱりあいつ鬼畜だぞ?」
「神だけど鬼畜って……」
「世の中甘くないってことだな」
「俺達も仕事に戻るか」
コソコソと話していた町の人達も、安心したのか次第に仕事に戻っていく。
ただ、俺には気になることがあった。
「なんでお前達はこんなにボロボロなんだ?」
それはどうやったらここまでケガを負ったかだ。
勇者は少なからず戦う力はあるはず。
そんな勇者がここまで傷を負う存在が、この町の外にいるということになる。
そんなやつらが町で暴れたりしたら……。
大蛇が町を襲った時の記憶が蘇ってくる。
「魔物の大群がどこかへ向かって走っていく姿を見たからな」
「せっかくの経験値を無駄にはできないし、町に向かったら大変だろ?」
どうやら町に魔物が向かわないように、勇者達で止めていた。
それでも実力不足で自分達がやられてしまったのだろう。
「よくやったな」
そんな勇者達を俺は褒め称えた。
前は命を無駄にしていた勇者達が、町を守ろうと命をかけたのだ。
そして、どうにか町に戻ってきた。
それだけでも彼らが成長したのがすぐにわかる。
「治ったら鍛え直さないとな」
「へへへ、ヴァイトに褒められたぞ」
「本当にゲームなのを忘れるぐらい飴と鞭がうまいよな」
勇者が今後も強くなるように、俺も手を貸さないといけないな。
キシャに追いかけてもらうだけの他人任せもやめる時がきたようだ。
「ちゃちく、どうしゅる?」
話を聞いていたヴァイルは心配そうな顔をしていた。
「まちにまものくりゅかな?」
勇者達の話ではどこかに魔物が向かっていると言っていた。
向かっている先が町でなければ問題ない。
念の為に魔物に紛れて、キシャに偵察を頼むのが得策だろう。
あいつなら同じ魔物として紛れ込めそうだしな。
「あとでキシャに頼んでみるか!」
「うん!」
俺達は夜の営業のために店に戻ろうとしたら、声をかけられた。
「何かありましたか?」
「どうか私めが貴方様の御側に仕え、お世話させていただくことをお許しいただければ、これほどの光栄はございません」
一列に並んで祈りを捧げるように頭を下げる聖職者達。
一体何が起きているのだろうか。
「いや、そういうのはやめてくれ」
「この身を賭して、貴方様の下僕として務めを果たす覚悟でございます。万が一、何かお困りごとがあれば、どうかお声がけくださいませ」
それだけ伝えて聖職者達は教会に戻って行った。
どこかヤミィー金庫の部下より危ないようなやつに感じる。
まるで俺を神だと認識しているようだ。
「さすがにそれはないよな……」
「ちゃちく、かえろ!」
「ああ、そうだな」
俺はヴァイルの手を握り店に戻ることにした。
町の人達が忙しなく動き回り、治療に必要なものを集めている。
「聖職者スキル持ちや教会から人は来ないのか!」
「まだ誰も到着していません」
どうやら異変に気づいた部下が一番に俺のところに来たのだろう。
「現状はどんな感じですか?」
「君はグスタフのところにいるアランのあれかね」
アランのあれとは何だろうか。
きっと師匠とでも言いたいのに、こんな状況で言葉が出て来ないのだろう。
それになぜかノイズのようなものが入っている。
「あれです!」
とりあえず返事をすると、一瞬だけ優しい笑みを向けられた。
「それで現状は?」
「被害はほとんど勇者達ばかりです。助けに入った冒険者も一部いますが、被害はそこまでです」
冒険者は多量に出血しているだけで、勇者達の中には部位欠損している者もいた。
どんな無茶をしたらこんなことになるのだろうか。
「ここにアラン達三兄弟がすぐに来る。あいつらに冒険者の治療をさせてくれ」
俺だけ先に向かったから、ヴァイルと三兄弟は遅れてくるはずだ。
「本当に仲が良いんだな」
背中に温かい視線を感じるが、今はそれどころじゃないからな。
その間に勇者達の元へ向かう。
「おい、大丈夫か?」
「ヴァイトか……? ひょっとしてこの状態でも訓練するのか?」
勇者は何を言っているんだ?
さすがに腕がちぎれている状態で訓練をするはずがない。
「やるならくっつけた後だな」
「やっぱり鬼畜だな」
段々と意識が薄くなっているのだろう。
顔色も青白くなってきている。
すぐに聖職者スキルを発動させると、腕が一瞬で再生していく。
「どういうことだ……?」
今まで勇者達ではない人を治療しても、ここまで傷が再生することはなかった。
冒険者はそこまで無理もしないため、機会がなかったのもある。
ただ、改めて腕が生えてくるって思うと気持ち悪いよな。
勇者の顔色は次第に良くなり、気絶したように眠っている。
血が流れすぎて死ぬことはなさそうだ。
「あいつなんだ……」
「もう人を超えていないか?」
「あの人はきっと神様なのよ!」
周囲で何かを言っているが、集中している俺には聞こえなかった。
その後も勇者達を治療していくが、誰もが重傷者だった。
中には腹を何かに食われているようなやつもいたが、なぜ生きているのか不思議だ。
勇者って本当に謎の存在だな。
ただ、聖職者スキルが万能なのか、何もなかったかのように傷は消えていく。
チラッと遅れてやってきた三兄弟を見るが、特に問題はなさそうだ。
その中でもルーは独特な方法で治療していた。
「いたいのいたいのとんでけー!」
両手を広げて、まるでおまじないのような方法だが、本当に聖職者スキルが発動し傷が治っている。
神様への祈りが届いているのだろう。
しばらく俺達で治療をしていると、教会からも聖職者達が駆けつけてきた。
だが、今治療している勇者で最後になるだろう。
「なっ……これは……」
「ああ、もう治療は終わったので大丈夫ですよ」
無事に治療を終えて、勇者達は地面に寝そべっている。
そういえば、いつまでここで寝ているのだろうか。
「お前達、道の邪魔になるぞ」
そんな勇者達を叩き起こすと、重たい体を起こして宿屋に向かって歩き出す。
「出血デバフで頭が痛いな……」
どうやら血が出過ぎて頭痛がするのだろう。
「やっぱりあいつ鬼畜だぞ?」
「神だけど鬼畜って……」
「世の中甘くないってことだな」
「俺達も仕事に戻るか」
コソコソと話していた町の人達も、安心したのか次第に仕事に戻っていく。
ただ、俺には気になることがあった。
「なんでお前達はこんなにボロボロなんだ?」
それはどうやったらここまでケガを負ったかだ。
勇者は少なからず戦う力はあるはず。
そんな勇者がここまで傷を負う存在が、この町の外にいるということになる。
そんなやつらが町で暴れたりしたら……。
大蛇が町を襲った時の記憶が蘇ってくる。
「魔物の大群がどこかへ向かって走っていく姿を見たからな」
「せっかくの経験値を無駄にはできないし、町に向かったら大変だろ?」
どうやら町に魔物が向かわないように、勇者達で止めていた。
それでも実力不足で自分達がやられてしまったのだろう。
「よくやったな」
そんな勇者達を俺は褒め称えた。
前は命を無駄にしていた勇者達が、町を守ろうと命をかけたのだ。
そして、どうにか町に戻ってきた。
それだけでも彼らが成長したのがすぐにわかる。
「治ったら鍛え直さないとな」
「へへへ、ヴァイトに褒められたぞ」
「本当にゲームなのを忘れるぐらい飴と鞭がうまいよな」
勇者が今後も強くなるように、俺も手を貸さないといけないな。
キシャに追いかけてもらうだけの他人任せもやめる時がきたようだ。
「ちゃちく、どうしゅる?」
話を聞いていたヴァイルは心配そうな顔をしていた。
「まちにまものくりゅかな?」
勇者達の話ではどこかに魔物が向かっていると言っていた。
向かっている先が町でなければ問題ない。
念の為に魔物に紛れて、キシャに偵察を頼むのが得策だろう。
あいつなら同じ魔物として紛れ込めそうだしな。
「あとでキシャに頼んでみるか!」
「うん!」
俺達は夜の営業のために店に戻ろうとしたら、声をかけられた。
「何かありましたか?」
「どうか私めが貴方様の御側に仕え、お世話させていただくことをお許しいただければ、これほどの光栄はございません」
一列に並んで祈りを捧げるように頭を下げる聖職者達。
一体何が起きているのだろうか。
「いや、そういうのはやめてくれ」
「この身を賭して、貴方様の下僕として務めを果たす覚悟でございます。万が一、何かお困りごとがあれば、どうかお声がけくださいませ」
それだけ伝えて聖職者達は教会に戻って行った。
どこかヤミィー金庫の部下より危ないようなやつに感じる。
まるで俺を神だと認識しているようだ。
「さすがにそれはないよな……」
「ちゃちく、かえろ!」
「ああ、そうだな」
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