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第三章 新しい仲間達
125.NPC、青春を諦める
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「ルー、赤色の魔石! ベン、青色の魔石!」
「うん!」
「はい!」
俺の指示に合わせて、二人は魔石に触れる。
すぐに魔力が扱えそうなベンとルーを魔石に魔力を通す係に任命した。
さすがに料理と魔石の種類を覚えることができなくても、魔石に魔力を流す練習にはなる。
料理が出てくるまで精神統一して魔力を蓄えて、料理が置かれたと同時に魔力を流す必要がある。
料理を待たせるわけにはいかないからな。
「どうせ俺は皿洗いだよ……」
「大丈夫! 俺なんか皿洗いしかできないからな!」
一方、兄のアランはユーマと仲良くやっているようだ。
アランに関しては、ユーマよりは適性が高そうな気がするから、すぐに洗い場から卒業するだろう。
「それにしても今日はあまり客が来ないな」
「お前達何かやらかしたか?」
店主達が疑いの目で俺達を見てくる。
きっと主に俺を見ているのだろう。
冒険者ギルドのことは朝に起きたばかりだから、まだ伝わってはいないはず。
他に原因があるが検討がつかない。
「二人を任せても良いか?」
俺の言葉にアルとラブは頷いた。
「僕も行けませんか?」
「ちゃんと魔石に魔力を流せるようになるまで訓練だからな」
「イエッサアアァァァ!」
ベンは一緒について行きたかったのだろう。
ただ、今は訓練の最中だ。
サボることは俺は許さない。
「ここは軍隊なのかしら?」
「ヴァイトが変なことを教えていそうだね」
「本当に変わったNPCね」
二人は何か小言で話しているようだ。
きっとどうやってベンとルーに教えようか考えているのだろう。
俺が店の外に出ると周囲にいる人は、店を避けるように通っていく。
まるでこの店に何かあるような……。
「お前誰だ?」
「はぁん?」
店の前には数人の男が座り込んでいた。
「店の入り口があるのをわかってそこに座っているのか?」
「俺達が座って悪いのかよ?」
「ヤミ――」
「邪魔だ」
俺はとりあえず首元を掴んで放り投げた。
実際にその立場になるとわかるが、店の前で居座られるのも本当に迷惑だ。
高校生になったら店の前で友達と座りながらヤクルトを飲むのが青春だと思ったが、やらなくてよかった。
「お前、いきなり何をするんだ!」
「いきなりじゃないだろ。邪魔なものは邪魔なんだよ」
「くそっ!? 生意気な口を聞きやがって!」
男達は短剣を取り出して構えた。
さらにお店に入ろうとしていた人や通行人はその場から逃げていく。
完全に原因はこいつらだろう。
見た目は一流の斥候というか暗殺者に見える。
アランが近くにいたら勉強になると思ったが、あいつは今皿洗いをしているからな。
処理をするのはやっぱり俺になるのか。
「武器を構えたってことは、殺される覚悟があるんだよな?」
ハッタリだがビビらせるにはちょうど良いだろう。
俺はすぐに男達に近づき武器を持つ手を叩く。
――バキッ!
「ぐあっ!?」
あれ?
俺は軽く腕を叩いただけだ。
武器を落とさせるためにやったが、明らかに骨が折れるような音がした。
「お前、仲間に何しやがる!」
「そんなことしてボッタクリーナ様が黙ってないぞ」
前に似たような名前を聞いたことがあるぞ。
あれは確かヴァイルを助けた時のような気がする。
「ひょっとしてハッヤイーナの知り合いか?」
悪党のボスの名前と似ているが、きっと名前の発音や音の感じが似ているのだろう。
「なぜ社長の弟を知っているんだ!」
どうやらあいつと関係があるようだ。
俺は迅速にその場で取り押さえて、動けないように拘束する。
まずはそこで話を聞いてからになるだろう。
こいつらの目的が何かも気になるからな。
「おい、お前はまた何をやってるんだ?」
声がする方に目を向けると、そこには呆れた顔をした冒険ギルドのギルドマスターがいた。
「今回は別に悪いことをしているつもりはないからな」
「ってことは朝のは悪いと自覚しているじゃないか!」
「あれはやりすぎただけだ!」
本当に悪いタイミングでギルドマスターが来たな。
ただ、近づいてくるギルドマスターの顔は驚いていた。
「こいつらヤミィー金庫のやつらだぞ。やはり何かあったのか?」
「ヤミィー金庫?」
ヤミィー金庫って三兄弟が借金をしているところだったはず。
「そうだ! 俺達はこの周囲を牛耳っているヤミィー金庫の手下だ」
その言葉にこいつらが何をやりにきたのかすぐにわかった。
「三兄弟の邪魔をしにきたのか?」
「そっ……そそそそそれは断じて違う!」
どこから見てもバレバレだ。
動揺している感じからして、明らかに嫌がらせをしにきたのだろう。
「これから邪魔をしたらどうなるかわかったよな?」
「はい」
「返事が違うだろ!」
「申し訳ありません!」
しばらくは三兄弟が襲われることもないだろう。
俺はその場で男達を解放すると、すぐさま走って逃げていく。
「本当に逃しても良かったのか? あいつら悪いことをしていたんじゃないのか?」
「いや? ただ店の前に座っていただけだ」
「お前、店の前に座っていたやつにあんなことをするのか……」
「ちゃんと骨をくっつけたから大丈夫だ! しばらく出かけてくるって伝えておいてくれ!」
俺はすぐに男達の後を追いかけていく。
チラッと見えたギルドマスターの顔はどこか引き攣っているように見えた。
「うん!」
「はい!」
俺の指示に合わせて、二人は魔石に触れる。
すぐに魔力が扱えそうなベンとルーを魔石に魔力を通す係に任命した。
さすがに料理と魔石の種類を覚えることができなくても、魔石に魔力を流す練習にはなる。
料理が出てくるまで精神統一して魔力を蓄えて、料理が置かれたと同時に魔力を流す必要がある。
料理を待たせるわけにはいかないからな。
「どうせ俺は皿洗いだよ……」
「大丈夫! 俺なんか皿洗いしかできないからな!」
一方、兄のアランはユーマと仲良くやっているようだ。
アランに関しては、ユーマよりは適性が高そうな気がするから、すぐに洗い場から卒業するだろう。
「それにしても今日はあまり客が来ないな」
「お前達何かやらかしたか?」
店主達が疑いの目で俺達を見てくる。
きっと主に俺を見ているのだろう。
冒険者ギルドのことは朝に起きたばかりだから、まだ伝わってはいないはず。
他に原因があるが検討がつかない。
「二人を任せても良いか?」
俺の言葉にアルとラブは頷いた。
「僕も行けませんか?」
「ちゃんと魔石に魔力を流せるようになるまで訓練だからな」
「イエッサアアァァァ!」
ベンは一緒について行きたかったのだろう。
ただ、今は訓練の最中だ。
サボることは俺は許さない。
「ここは軍隊なのかしら?」
「ヴァイトが変なことを教えていそうだね」
「本当に変わったNPCね」
二人は何か小言で話しているようだ。
きっとどうやってベンとルーに教えようか考えているのだろう。
俺が店の外に出ると周囲にいる人は、店を避けるように通っていく。
まるでこの店に何かあるような……。
「お前誰だ?」
「はぁん?」
店の前には数人の男が座り込んでいた。
「店の入り口があるのをわかってそこに座っているのか?」
「俺達が座って悪いのかよ?」
「ヤミ――」
「邪魔だ」
俺はとりあえず首元を掴んで放り投げた。
実際にその立場になるとわかるが、店の前で居座られるのも本当に迷惑だ。
高校生になったら店の前で友達と座りながらヤクルトを飲むのが青春だと思ったが、やらなくてよかった。
「お前、いきなり何をするんだ!」
「いきなりじゃないだろ。邪魔なものは邪魔なんだよ」
「くそっ!? 生意気な口を聞きやがって!」
男達は短剣を取り出して構えた。
さらにお店に入ろうとしていた人や通行人はその場から逃げていく。
完全に原因はこいつらだろう。
見た目は一流の斥候というか暗殺者に見える。
アランが近くにいたら勉強になると思ったが、あいつは今皿洗いをしているからな。
処理をするのはやっぱり俺になるのか。
「武器を構えたってことは、殺される覚悟があるんだよな?」
ハッタリだがビビらせるにはちょうど良いだろう。
俺はすぐに男達に近づき武器を持つ手を叩く。
――バキッ!
「ぐあっ!?」
あれ?
俺は軽く腕を叩いただけだ。
武器を落とさせるためにやったが、明らかに骨が折れるような音がした。
「お前、仲間に何しやがる!」
「そんなことしてボッタクリーナ様が黙ってないぞ」
前に似たような名前を聞いたことがあるぞ。
あれは確かヴァイルを助けた時のような気がする。
「ひょっとしてハッヤイーナの知り合いか?」
悪党のボスの名前と似ているが、きっと名前の発音や音の感じが似ているのだろう。
「なぜ社長の弟を知っているんだ!」
どうやらあいつと関係があるようだ。
俺は迅速にその場で取り押さえて、動けないように拘束する。
まずはそこで話を聞いてからになるだろう。
こいつらの目的が何かも気になるからな。
「おい、お前はまた何をやってるんだ?」
声がする方に目を向けると、そこには呆れた顔をした冒険ギルドのギルドマスターがいた。
「今回は別に悪いことをしているつもりはないからな」
「ってことは朝のは悪いと自覚しているじゃないか!」
「あれはやりすぎただけだ!」
本当に悪いタイミングでギルドマスターが来たな。
ただ、近づいてくるギルドマスターの顔は驚いていた。
「こいつらヤミィー金庫のやつらだぞ。やはり何かあったのか?」
「ヤミィー金庫?」
ヤミィー金庫って三兄弟が借金をしているところだったはず。
「そうだ! 俺達はこの周囲を牛耳っているヤミィー金庫の手下だ」
その言葉にこいつらが何をやりにきたのかすぐにわかった。
「三兄弟の邪魔をしにきたのか?」
「そっ……そそそそそれは断じて違う!」
どこから見てもバレバレだ。
動揺している感じからして、明らかに嫌がらせをしにきたのだろう。
「これから邪魔をしたらどうなるかわかったよな?」
「はい」
「返事が違うだろ!」
「申し訳ありません!」
しばらくは三兄弟が襲われることもないだろう。
俺はその場で男達を解放すると、すぐさま走って逃げていく。
「本当に逃しても良かったのか? あいつら悪いことをしていたんじゃないのか?」
「いや? ただ店の前に座っていただけだ」
「お前、店の前に座っていたやつにあんなことをするのか……」
「ちゃんと骨をくっつけたから大丈夫だ! しばらく出かけてくるって伝えておいてくれ!」
俺はすぐに男達の後を追いかけていく。
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