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第三章 新しい仲間達

109.NPC、本領発揮する

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「おっ、これもおいしいな」

「にきゅじゃぎゃ、おいちい!」

 俺達は店の前で早速賄いを食べ始めた。

 宣伝ということもあり、次々と店主達が料理を作って運んできてくれる。

 天ぷらやうどん、酢豚や青椒肉絲に回鍋肉、オムライスやビーフシチューなどが並んでいる。

「色々食べられるっていいな」
 
 こんなに一気に見ることもないため、ちょっとしたパーティー状態だ。

 俺も次々と食べていく。

「あっ、それ俺が食べようと思ってたやつだぞ!」

「早い者勝ちなんだろ?」

「お前は早すぎるからダメだ!」

 負けじとユーマも口の中に放り込んでいく。

 本当にどれも美味しくて、周囲の目なんか全く気にならない。

「なんか大食い選手権を見ているようだね」

 そんな俺達を見たアルは隣で冷ややかな目をしている。

「ふふふ、イケメンの食べているところって視聴率良さそうね」

「自分で言ったけど見られていると食べにくいというか、まるで見せてはいけないところを見せているようで……」

「いや、それを見てもらうために食べているのよ! イケメンの食事姿こそ需要ありよ!」

 ラブは相変わらずだが、アルは周りの目が気になっているのか中々食が進んでいない。

「おい、あれ何の料理だ?」

「ここで食べられるんだろ?」

 いつのまにか俺達は町の人達に囲まれていた。

 気になって中を覗いたり、店の前に少しずつ列ができるほどだ。

「もうそろそろ食べ終わるので、並んでてください」

 今は開店前の準備として、あえて店の中に入れないようにしている。

 バビットの店でも経験したが、待っている列があると気になるのか人が集まりやすくなる。

 それに料理に対しての期待度も上がるのだろう。

「おかわり!」

 ユーマはまだ食べ足りないのだろう。

 ご飯のおかわりをしようとしていたところをすぐに捕まえて、店内に連れて行く。

「もう働く時間だ」

 ある程度の列ができれば客は次第に不満に変わっていく。

「なぁ!? 俺はまだエビチリがぁー!」

 ユーマを店内に放り投げ、テーブルをすぐに片づけたら準備完了だ。

「アルとラブはお客さんを誘導してくれ」

「へっ……!?」
「切り替え早くない?」

「お客さんを待たせるのはあまり良くないからな」

 切り替えの早さもAGIのステータスが高いのが影響しているのだろう。

 呆然としているユーマ達は気にせず、俺は次々と店の中に案内していく。

「寿司セット二つ、ハンバーグセット3つ、麻婆セット2つ入りました!」

 すぐに注文を確認して店主達に伝えていく。

「「「はいよー!」」」

 返ってくる声に彼らが嬉しそうなのを感じる。

「おみじゅ……だよ?」

 ヴァイルも必死にお水を持ってお手伝いする。

 どんどん客は増えていき、気づいた時には満席になっていた。

「突っ立ってないで手伝えよ!」

 壁際に立っているユーマを蹴って気合いを入れるが、動く様子は全くない。

 アルとラブは引き続き呼び込みをしているため、ユーマだけタダ飯を食いになってしまう。

「おい!」

「なんだ?」

「できないんだよ……」

 なぜかモジモジとしているユーマ。

 何ができないのだろうか。

「注文聞いて運ぶだけだろ?」

「はぁん? 100席以上ある中で、注文を聞いて覚えるのがどれぐらい難しいと思ってるんだ!」

「あっ……お前がバカなのを忘れてた」

 ユーマはこの中で一番脳筋タイプだったからな。

 メニューを聞いても伝える前に忘れるのだろう。

「じゃあ、ヴァイトは覚えているのかよ!」

 ユーマは近くにいたテーブルの人を指さしていた。

「あの人達はオムライスと和食御膳を頼んでいるぞ。15、16番目だな」

「じゃあ、あそこは?」

「奥の人が天津飯セットで手前が寿司セットだ」

「じゃあ、そことそこは?」

 その後もユーマは俺が覚えているのか聞いてくる。

 だが、残念なことに全て覚えているし、そんな暇もない。

「お前は片づけでもしてろ」
「しょーだ!」

 近くにいるヴァイルも文句を言っていた。

 さっきから一生懸命よちよち歩きながら働いているからな。

 ただ、ユーマの言うことは今後の課題にもなるだろう。

 今は俺がいるからどうにかなるが、ずっとこの町にいるわけにはいかないからな。

 それにウェイターがいなくてもどうにかなる仕組みを作らないといけない。

「寿司セットできたぞ!」
「天津飯だ!」
「こっちも頼む!」

 それでも今は店主達の声を聞いていたら、少しでも変えることができてよかったと感じる。

 これからもどんどん忙しくなってくるからな。

 その後も材料がなくなるまでお客さんが入れ替わり、一日で今までの一週間分を売り上げた。
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