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第三章 新しい仲間達
99.NPC、頼られる
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買ったパンを持って再びキシャのところに戻ると、なぜか勇者達に囲まれていた。
『キシャシャシャ!』
俺に気づいたのか急いで、キシャは寄ってきて俺の背中で身を隠す。
どう頑張っても俺の後ろには隠れられないのに、本人は隠れたつもりなんだろう。
「よっ、ヴァイト!」
「またお前か」
そこにはユーマ達がいた。
温厚なキシャが隠れるということは、何かユーマがしたのだろうか。
「とりあえず、一発殴らせろ」
「なぐらちぇろー!」
「おいおい、俺だけ扱いがひどくないか?」
「ほら、ヴァイルもそう言っているぞ」
「お前らはどこかのヤンキーかよ……」
ヤンキーってよくコンビニの前に座っているやつだろ?
高校生になったらヤンキーになってみたいって憧れていたな。
「キラキラした目でヴァイルが見つめても断るのか?」
肩に乗っていたヴァイルを抱えて、ユーマにキラキラと目を輝かせたヴァイルを見せつける。
「うっ……」
あの目で見られたら断れないだろう。
ヴァイルを地面に降ろすと、ユーマはポカポカと叩かれていた。
ああ、俺の弟は可愛いな。
本当にポカポカと音もなっている。
ある程度満足したのか、ヴァイルはニコニコして戻ってきた。
「ヤンキーより怖いわ……。HPが半分以上も減ったぞ」
そう言いながらユーマはポーションを飲んでいた。
いつのまにかヴァイルも強くなったのだろう。
毎日俺やチェリーと遊んでいることが多いからな。
「それでキシャに何かあったのか?」
「次の町に移動しようと思ったんだが、途中にある山岳地帯が結構厄介で……」
「遠回りをすれば良いんじゃないか?」
「はぁー」
ユーマに大きくため息を吐かれてしまった。
何か間違ったことでも言ったのだろうか。
これでもユーマよりは頭は良いと思っているぞ?
「山岳地帯を遠回りすると、町まで時間が10倍かかるのと強い魔物が出てくるんだぞ?」
「それは初耳だな。それでも魔物を倒せればそれだけ経験になるから良いんじゃないか?」
俺からしたら特に問題もなさそうだが……。
「それはヴァイルが強いから言えることであって、俺達には無理だよな?」
「ちょ、今撮影中なんだから私に話しかけないでよ!」
「僕達はわざとここにはいない設定としていたのに……」
ラブとアルも近くにいて話さなかったのは、何か理由があったのだろうか。
ラブは諦めたのか話に入ってきた。
「急に魔物のレベルが上がって、私達では到底戦える状態じゃないの。簡単に言えば山に行って修行しながら、次の町を目指せって感じかな?」
ラブの話ではわざと鍛えるための設定になっていると言っていた。
勇者にもいくつか試練があるのだろう。
元からこの世界にいる俺はわざわざ山岳地帯を通らなくても、すぐに目的地に着きそうだしな。
「あっ、お前らキシャに乗って移動しようとしたのか!」
「今頃気づいたんかよ!」
「お前が遠回しに話すからだろ!」
キシャに話しかけた目的を聞いたのに、気づいたら山岳地帯の話をされたからな。
意識がそっちに向いていた。
「キシャは次の町に行きたいか?」
「キシャ!」
どうやらキシャ自身も次の町には興味があるらしい。
美味しい食べ物があるかもしれないって言ったら食いついていたからな。
「じゃあ、パンをバビットに渡したら戻ってくるわ」
「おっ、さすがヴァイト様だな! よっ、ヴァイト様!」
「きもいわ」
俺は持ち上げてくるユーマに一撃をお見舞いして、一度俺が住む町に戻ることにした。
「くっ……これでリスポーンするとは」
ちゃんとバビットにも話を通さないといけないからな。
何かユーマの声が聞こえていたが、気にせずに町に戻った。
家に戻った俺はバビットにユーマ達の話をすることにした。
「あー、確かに馬車で行ったら10日近くはかかるもんな」
「そんなに遠いのか?」
「距離より魔物がとにかく強いからな」
どうやら馬車で移動するにも、たくさんの冒険者を雇って移動するため日数がかかるらしい。
だから山岳地帯を通った方が良いってなるのだろう。
「それで友達の頼みだから行きたいんだろ?」
俺は小さく頷く。
友達が困って俺に助けを求めてきたってことだからな。
正確に言えばキシャに助けを求めてきたけど、そこは許してやろう。
キシャは俺のものだからな。
「それなら行ってこい」
「私もいるからお店はたぶん問題ないよ」
チェリーも働き慣れたのか、俺がいなくても問題はないようだ。
「ヴァイルはどうする?」
「いく! おいちいのたべる!」
どうやらヴァイルも付いてくるらしい。
「じゃあ、しばらくは留守にするからよろしくね」
「ああ、気をつけろよ!」
「いってらっしゃい!」
俺は荷物を整えて、再びユーマ達が待っている町に向かうことにした。
『キシャシャシャ!』
俺に気づいたのか急いで、キシャは寄ってきて俺の背中で身を隠す。
どう頑張っても俺の後ろには隠れられないのに、本人は隠れたつもりなんだろう。
「よっ、ヴァイト!」
「またお前か」
そこにはユーマ達がいた。
温厚なキシャが隠れるということは、何かユーマがしたのだろうか。
「とりあえず、一発殴らせろ」
「なぐらちぇろー!」
「おいおい、俺だけ扱いがひどくないか?」
「ほら、ヴァイルもそう言っているぞ」
「お前らはどこかのヤンキーかよ……」
ヤンキーってよくコンビニの前に座っているやつだろ?
高校生になったらヤンキーになってみたいって憧れていたな。
「キラキラした目でヴァイルが見つめても断るのか?」
肩に乗っていたヴァイルを抱えて、ユーマにキラキラと目を輝かせたヴァイルを見せつける。
「うっ……」
あの目で見られたら断れないだろう。
ヴァイルを地面に降ろすと、ユーマはポカポカと叩かれていた。
ああ、俺の弟は可愛いな。
本当にポカポカと音もなっている。
ある程度満足したのか、ヴァイルはニコニコして戻ってきた。
「ヤンキーより怖いわ……。HPが半分以上も減ったぞ」
そう言いながらユーマはポーションを飲んでいた。
いつのまにかヴァイルも強くなったのだろう。
毎日俺やチェリーと遊んでいることが多いからな。
「それでキシャに何かあったのか?」
「次の町に移動しようと思ったんだが、途中にある山岳地帯が結構厄介で……」
「遠回りをすれば良いんじゃないか?」
「はぁー」
ユーマに大きくため息を吐かれてしまった。
何か間違ったことでも言ったのだろうか。
これでもユーマよりは頭は良いと思っているぞ?
「山岳地帯を遠回りすると、町まで時間が10倍かかるのと強い魔物が出てくるんだぞ?」
「それは初耳だな。それでも魔物を倒せればそれだけ経験になるから良いんじゃないか?」
俺からしたら特に問題もなさそうだが……。
「それはヴァイルが強いから言えることであって、俺達には無理だよな?」
「ちょ、今撮影中なんだから私に話しかけないでよ!」
「僕達はわざとここにはいない設定としていたのに……」
ラブとアルも近くにいて話さなかったのは、何か理由があったのだろうか。
ラブは諦めたのか話に入ってきた。
「急に魔物のレベルが上がって、私達では到底戦える状態じゃないの。簡単に言えば山に行って修行しながら、次の町を目指せって感じかな?」
ラブの話ではわざと鍛えるための設定になっていると言っていた。
勇者にもいくつか試練があるのだろう。
元からこの世界にいる俺はわざわざ山岳地帯を通らなくても、すぐに目的地に着きそうだしな。
「あっ、お前らキシャに乗って移動しようとしたのか!」
「今頃気づいたんかよ!」
「お前が遠回しに話すからだろ!」
キシャに話しかけた目的を聞いたのに、気づいたら山岳地帯の話をされたからな。
意識がそっちに向いていた。
「キシャは次の町に行きたいか?」
「キシャ!」
どうやらキシャ自身も次の町には興味があるらしい。
美味しい食べ物があるかもしれないって言ったら食いついていたからな。
「じゃあ、パンをバビットに渡したら戻ってくるわ」
「おっ、さすがヴァイト様だな! よっ、ヴァイト様!」
「きもいわ」
俺は持ち上げてくるユーマに一撃をお見舞いして、一度俺が住む町に戻ることにした。
「くっ……これでリスポーンするとは」
ちゃんとバビットにも話を通さないといけないからな。
何かユーマの声が聞こえていたが、気にせずに町に戻った。
家に戻った俺はバビットにユーマ達の話をすることにした。
「あー、確かに馬車で行ったら10日近くはかかるもんな」
「そんなに遠いのか?」
「距離より魔物がとにかく強いからな」
どうやら馬車で移動するにも、たくさんの冒険者を雇って移動するため日数がかかるらしい。
だから山岳地帯を通った方が良いってなるのだろう。
「それで友達の頼みだから行きたいんだろ?」
俺は小さく頷く。
友達が困って俺に助けを求めてきたってことだからな。
正確に言えばキシャに助けを求めてきたけど、そこは許してやろう。
キシャは俺のものだからな。
「それなら行ってこい」
「私もいるからお店はたぶん問題ないよ」
チェリーも働き慣れたのか、俺がいなくても問題はないようだ。
「ヴァイルはどうする?」
「いく! おいちいのたべる!」
どうやらヴァイルも付いてくるらしい。
「じゃあ、しばらくは留守にするからよろしくね」
「ああ、気をつけろよ!」
「いってらっしゃい!」
俺は荷物を整えて、再びユーマ達が待っている町に向かうことにした。
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