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第二章 精霊イベント
91.NPC、新たな香水を手に入れる
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「とりあえず魔物を遠ざけるところから始めようか」
俺は解体師スキルで冒険者達の香水効果を無効化する。
「えー、せっかくのご馳走なのに!」
「やーい、ヴァイトのばーか!」
「ばーか!」
何か言っているがあいつらは無視だ。
ゴキブリを食べるなんて、普通に考えたら頭が逝っている。
その考えは俺だけではない。
女性勇者達を中心に冒険者から距離をとっていた。
「魔物はあとどれくらいでここに来る?」
「あー、制限時間は残り40分ほどってところかな」
どうやら40分後には町に到着するのだろう。
それまでには魔物の進行を止めないといけない。
「ヴァイトの――」
「それ以上言ったら呪いますよ?」
ニヤリと笑ったら冒険者達は黙り込んだ。
「ヴァイト様になら呪われたいわ」
「むしろストーカーして欲しいぐらいだわ」
「監禁も良いわね」
一方でVFC会員と呼ばれていた人達が騒ぎ出した。
もう、この人達もめんどくさい。
それはユーマ達も思ったのだろう。
ため息を吐いていた。
「もう俺達でやるか?」
「その方が楽だよね」
ただ、グリーンリーパーもいるため、精霊の力が必要にはなってくる。
勇者は別にいらない。
精霊達だけで良いのだ。
「よし、みんなに精霊を出してもらおうか」
「へっ?」
「VFC会員の人達に精霊を出すように伝えてもらってもいい?」
ラブに頼むと次々と勇者達は精霊を召喚した。
様々な動物がいるため、まるで動物園を間近で見ているような感覚だ。
俺は鞄からいくつも紐を取り出した。
「主人まさか……」
ジェイドと一緒にいるオジサンは気づいたのだろう。
俺と同じ扱いになると……。
そんなことはお構いなしに、精霊達を素早く紐で結んでいく。
精霊達も気づいてないのか、ぼーっとしている。
「よし、準備はできたぞ!」
「まさか……」
「虫大事にレッツラゴー!」
俺は全速力で走り出した。
急に体が引っ張られて精霊達も驚いていた。
ただ、精霊って普通の動物よりも軽いからな。
トラやゾウも勇者の頭に乗っているぐらいだ。
勢いよく走れば、勢いで自然に精霊達は浮いていく。
「いやー、私も縛られたかったわ!」
「精霊のくせに生意気よ!」
「すぐに変わりなさい!」
精霊を心配する声がきっと聞こえているが、今は魔物を倒す方が先だ。
精霊の力はなるべくたくさんあった方が良い。
「主人……ワッシを置いていくつもりか? ほら、お主もいくぞ!」
「お前らいくぞおおおおお!」
「うおおおおお!」
後ろから勇者や冒険者達が追いかけてきた。
鬼ごっこをすることが多かった影響か、冒険者達の方が勇者よりも足は速いようだ。
「それにしても、ユーマも足が速くなったんだな」
「伊達にヴァイトの親友をやっていないからな」
ユーマに関してはいつも追いかけ回していたからね。
一方のアルやラブは少し息が乱れていた。
「じゃあ、本気で走っていいね?」
「えっ……お前本気じゃないのか!?」
俺は足に力を入れて一気にスピードを上げる。
ユーマに合わせて30%程度の速さしか出していないし、あまり速すぎると精霊達が気絶しそうだもんな。
今も数匹口から何か液体みたいなのが垂れている。
いや、あいつらは寝ていたのか。
こんな状況なのに寝られるって中々図太い性格をしているな。
それならスピードを速くしても問題なさそうだ。
一瞬風圧で体が重くなったように感じたが、すぐに軽くなった。
魔物が見え始めた頃にはユーマ達の姿を見えなかった。
やはり俺の速さには付いてこれな――。
「いやー、これも中々スリルがあって楽しいな」
「これってたこあげみたいだね」
「二人とも急に精霊に捕まるんだからびっくりしたよ!」
精霊達に紛れてユーマ達は紐にぶら下がっていた。
一瞬重たく感じたのは、スピードを上げた時の風圧ではなかったようだ。
三人とも紐から飛び降りると装備を装着して構えていた。
「よし、ヴァイト一丁やるぞ!」
「僕もヴァイトさんと戦うの楽しみです」
一方のラブは、装備ではない別のもので他の準備をしている。
ラブは遠距離タイプの魔法使いだから、戦いの準備は必要ないのか?
「撮影の準備は大丈夫よ」
どうやら記念に映像で残しておきたいのだろう。
この世界にもテレビとかがあるのかな?
三人には悪いが、俺はある物を鞄から取り出す。
「まずはこれを使ってもらってもいいかな?」
俺は臭い消しと魅惑の香水を取り出した。
「なんで町で作ってこなかったんだよ!」
そんな俺にユーマは怒っていた。
実際あの雰囲気で薬品の調合なんてしづらいだろう。
俺は素早く二つの材料を混ぜていく。
魔物達を惹きつけるには、魅惑の香水を薄めたものが必要になってくるからね。
三人とも見様見真似で作ってみるが、何か色が違うものができていた。
「どう? 私の調合比率は?」
ラブが作った香水を鑑定士スキルで確認する。
【鑑定結果】
アイテム名:ムンムンの香水
効果:汗に近い柑橘の匂いで半日間、雄達を引き寄せる
特にラブが作ったものなんて全くの別物だ。
絶対に使ってはいけない香水のような気がした。
犯罪とかで使われないように、俺は急いで調合し直す。
【鑑定結果】
アイテム名:ムラムラの香水
効果:甘い匂いで半日間、雄達を興奮状態にさせる。
完全にこれはお蔵入りにした方が良いだろう。
俺は見て見ぬ振りをして鞄に片付ける。
「三人はこれを投げてね」
材料が無駄になると思った俺は三人に別の仕事を任せた。
後にこの香水のおかげで、町の中にコウノトリの大群が来ることになるとは思いもしなかった。
俺は解体師スキルで冒険者達の香水効果を無効化する。
「えー、せっかくのご馳走なのに!」
「やーい、ヴァイトのばーか!」
「ばーか!」
何か言っているがあいつらは無視だ。
ゴキブリを食べるなんて、普通に考えたら頭が逝っている。
その考えは俺だけではない。
女性勇者達を中心に冒険者から距離をとっていた。
「魔物はあとどれくらいでここに来る?」
「あー、制限時間は残り40分ほどってところかな」
どうやら40分後には町に到着するのだろう。
それまでには魔物の進行を止めないといけない。
「ヴァイトの――」
「それ以上言ったら呪いますよ?」
ニヤリと笑ったら冒険者達は黙り込んだ。
「ヴァイト様になら呪われたいわ」
「むしろストーカーして欲しいぐらいだわ」
「監禁も良いわね」
一方でVFC会員と呼ばれていた人達が騒ぎ出した。
もう、この人達もめんどくさい。
それはユーマ達も思ったのだろう。
ため息を吐いていた。
「もう俺達でやるか?」
「その方が楽だよね」
ただ、グリーンリーパーもいるため、精霊の力が必要にはなってくる。
勇者は別にいらない。
精霊達だけで良いのだ。
「よし、みんなに精霊を出してもらおうか」
「へっ?」
「VFC会員の人達に精霊を出すように伝えてもらってもいい?」
ラブに頼むと次々と勇者達は精霊を召喚した。
様々な動物がいるため、まるで動物園を間近で見ているような感覚だ。
俺は鞄からいくつも紐を取り出した。
「主人まさか……」
ジェイドと一緒にいるオジサンは気づいたのだろう。
俺と同じ扱いになると……。
そんなことはお構いなしに、精霊達を素早く紐で結んでいく。
精霊達も気づいてないのか、ぼーっとしている。
「よし、準備はできたぞ!」
「まさか……」
「虫大事にレッツラゴー!」
俺は全速力で走り出した。
急に体が引っ張られて精霊達も驚いていた。
ただ、精霊って普通の動物よりも軽いからな。
トラやゾウも勇者の頭に乗っているぐらいだ。
勢いよく走れば、勢いで自然に精霊達は浮いていく。
「いやー、私も縛られたかったわ!」
「精霊のくせに生意気よ!」
「すぐに変わりなさい!」
精霊を心配する声がきっと聞こえているが、今は魔物を倒す方が先だ。
精霊の力はなるべくたくさんあった方が良い。
「主人……ワッシを置いていくつもりか? ほら、お主もいくぞ!」
「お前らいくぞおおおおお!」
「うおおおおお!」
後ろから勇者や冒険者達が追いかけてきた。
鬼ごっこをすることが多かった影響か、冒険者達の方が勇者よりも足は速いようだ。
「それにしても、ユーマも足が速くなったんだな」
「伊達にヴァイトの親友をやっていないからな」
ユーマに関してはいつも追いかけ回していたからね。
一方のアルやラブは少し息が乱れていた。
「じゃあ、本気で走っていいね?」
「えっ……お前本気じゃないのか!?」
俺は足に力を入れて一気にスピードを上げる。
ユーマに合わせて30%程度の速さしか出していないし、あまり速すぎると精霊達が気絶しそうだもんな。
今も数匹口から何か液体みたいなのが垂れている。
いや、あいつらは寝ていたのか。
こんな状況なのに寝られるって中々図太い性格をしているな。
それならスピードを速くしても問題なさそうだ。
一瞬風圧で体が重くなったように感じたが、すぐに軽くなった。
魔物が見え始めた頃にはユーマ達の姿を見えなかった。
やはり俺の速さには付いてこれな――。
「いやー、これも中々スリルがあって楽しいな」
「これってたこあげみたいだね」
「二人とも急に精霊に捕まるんだからびっくりしたよ!」
精霊達に紛れてユーマ達は紐にぶら下がっていた。
一瞬重たく感じたのは、スピードを上げた時の風圧ではなかったようだ。
三人とも紐から飛び降りると装備を装着して構えていた。
「よし、ヴァイト一丁やるぞ!」
「僕もヴァイトさんと戦うの楽しみです」
一方のラブは、装備ではない別のもので他の準備をしている。
ラブは遠距離タイプの魔法使いだから、戦いの準備は必要ないのか?
「撮影の準備は大丈夫よ」
どうやら記念に映像で残しておきたいのだろう。
この世界にもテレビとかがあるのかな?
三人には悪いが、俺はある物を鞄から取り出す。
「まずはこれを使ってもらってもいいかな?」
俺は臭い消しと魅惑の香水を取り出した。
「なんで町で作ってこなかったんだよ!」
そんな俺にユーマは怒っていた。
実際あの雰囲気で薬品の調合なんてしづらいだろう。
俺は素早く二つの材料を混ぜていく。
魔物達を惹きつけるには、魅惑の香水を薄めたものが必要になってくるからね。
三人とも見様見真似で作ってみるが、何か色が違うものができていた。
「どう? 私の調合比率は?」
ラブが作った香水を鑑定士スキルで確認する。
【鑑定結果】
アイテム名:ムンムンの香水
効果:汗に近い柑橘の匂いで半日間、雄達を引き寄せる
特にラブが作ったものなんて全くの別物だ。
絶対に使ってはいけない香水のような気がした。
犯罪とかで使われないように、俺は急いで調合し直す。
【鑑定結果】
アイテム名:ムラムラの香水
効果:甘い匂いで半日間、雄達を興奮状態にさせる。
完全にこれはお蔵入りにした方が良いだろう。
俺は見て見ぬ振りをして鞄に片付ける。
「三人はこれを投げてね」
材料が無駄になると思った俺は三人に別の仕事を任せた。
後にこの香水のおかげで、町の中にコウノトリの大群が来ることになるとは思いもしなかった。
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