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第二章 精霊イベント
84.NPC、調香師になる
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「これが臭い消しか!?」
目をキラキラに輝かせてオジサンは手作りの臭い消しを見ている。
「あとはスプレーみたいにできたら――」
スプレー容器がこの世界にあるわけもなく、代用するには小さな穴をいくつか開けた容器を使うしかないだろう。
どうするか考えていると、隣からオジサンの楽しそうな声が聞こえてきた。
「ジャーンプ!」
「えっ……」
見た時には臭い消しに入って、体を洗っているオジサンがいた。
「これでワッシもモテモテだぞ!」
まだ臭いを消せればモテると思ってるのだろうか。
ヴァイルの臭いは勘違いだと分かったのに、モテない現実を受け止めたくないオジサンを感じる。
それに吹きかける程度だと思っていたが、あんなに中身がレモン水の中に入っても大丈夫なんだろうか。
だって、傷口が少しでもあれば……。
「イッテエエエエエ!」
酸が傷口に染みて、痛みで臭い消しどころではないだろう。
オジサンはすぐに飛び出してきた。
いつも朝活に行くときにベッドから出ないから、紐を引っ張って引きずっていた。
そんな状態で擦り傷ができない方がおかしい。
「オジシャンいいにおいしゅるね!」
「ああ、レモンが香ってくるね!」
ただ、痛みと引き換えにレモンの良いにおいがオジサンから漂ってくる。
特に毛並みも変わっていないため、レモンの香りがするただのオジサンだ。
いや、大マーモットか。
それに臭い消しができたことで新しい職業体験ができるようになった。
――調香師(生産職)
生産街の工房でも見たことないため、この町では俺だけだろう。
作り慣れたらチェリーにも教えて、調香師を増やすのも良さそうだ。
回復魔法をかけると、痛みも落ち着いたのか再び臭い消しのレモン水に入っていた。
「俺達先に寝るからな」
「ワッシはもう少し体を綺麗にしておくぞ!」
もはやレモン水の水浴びだ。
初めて出会った時も綺麗好きだったしな。
本人が良いなら気にせず、俺とヴァイルは寝ることにした。
翌朝、レモンのにおいで目を覚ました。
「邪魔だな」
俺の顔の上で寝ていたオジサンを持ち上げる。
爽やかな香りがするオジサンで目を覚ますって中々滅多にない光景だろう。
俺はいつものように紐に結びつけて、朝活の準備に向かう。
朝はいつも通りに冒険者ギルドでデイリークエストを受けていく。
「あら、ヴァイトくん今日は爽やかなにおいがするわね」
「俺ですか?」
声をかけてきたのは鑑定士の女性だ。
爽やかな香りってオジサンのことだろうか。
「ひょっとしてこいつのことですか?」
俺はまだ寝ているオジサンを持ち上げて、においを嗅がせる。
顔を近づけてオジサンのにおいを嗅いでいるのか、クンクンとしている。
「あっ、オジサンから良い香りがしているのね」
これで俺からにおいがしているわけではないことが伝わっただろう。
「私も嗅いでみたいです」
気づいた時には、冒険者ギルドにいる女性達が集まっていた。
今頃オジサンが起きていたら喜んでいたのにな。
まだいびきをかきながら眠っている。
「レモンのにおいをつけたらモテるのか」
「後でヴァイトに聞いてみるか」
ただ、それを見ていた冒険者ギルドにいる男達は見逃していなかった。
訓練場に行くと、ゾロゾロと男達が寄ってきた。
「なぁ、ヴァイト?」
「なんですか?」
「よかったら俺にもレモンのにおいがするやつを譲ってくれないか?」
声をかけてきたのはジェイドだ。
彼もにおいが気になるのだろうか。
エリックと違って、動き回るから汗もかきやすいのだろう。
「明日までで良いなら作りますよ?」
「おお、そうか! それならたくさん用意してもらえると助かる」
ジェイドの後ろには年上の冒険者達がいた。
きっとジェイドを使って俺に話しかけてきたのだろう。
関わりがないと中々話しかけづらいからな。
俺も勇者に声をかけるのは、人見知りだから怖くてできない。
初対面だから何をされるかわからないだろうし。
「よかったらにおいを嗅いでみますか?」
「良いのか?」
年上の冒険者達はレモンの匂いでも、どんなにおいがするのか気になっていたのだろう。
オジサンを囲んでクンクンとしている。
オジサンがオジサンに囲まれる。
なんとも言えない光景だ。
「はぁー、よく寝た……なんだこれええええええ!」
そんな中、オジサンは目を覚ました。
起きた瞬間にオジサンに囲まれて、においを嗅がれていたら、さすがにびっくりするか。
「ああ、お前が良いにおいするからさ」
「ワッシは女にモテモテになりたかったぞおおおお!」
急いで俺の元に逃げてきたと思ったら、足を何度も蹴ってくる。
相変わらず痛くないが、さっきまで女性達に囲まれていたことを言わないことにした。
「ワッシのモテモテ計画がああああああ!」
その後もしばらくはオジサンは一人……いや、一匹で騒いでいた。
目をキラキラに輝かせてオジサンは手作りの臭い消しを見ている。
「あとはスプレーみたいにできたら――」
スプレー容器がこの世界にあるわけもなく、代用するには小さな穴をいくつか開けた容器を使うしかないだろう。
どうするか考えていると、隣からオジサンの楽しそうな声が聞こえてきた。
「ジャーンプ!」
「えっ……」
見た時には臭い消しに入って、体を洗っているオジサンがいた。
「これでワッシもモテモテだぞ!」
まだ臭いを消せればモテると思ってるのだろうか。
ヴァイルの臭いは勘違いだと分かったのに、モテない現実を受け止めたくないオジサンを感じる。
それに吹きかける程度だと思っていたが、あんなに中身がレモン水の中に入っても大丈夫なんだろうか。
だって、傷口が少しでもあれば……。
「イッテエエエエエ!」
酸が傷口に染みて、痛みで臭い消しどころではないだろう。
オジサンはすぐに飛び出してきた。
いつも朝活に行くときにベッドから出ないから、紐を引っ張って引きずっていた。
そんな状態で擦り傷ができない方がおかしい。
「オジシャンいいにおいしゅるね!」
「ああ、レモンが香ってくるね!」
ただ、痛みと引き換えにレモンの良いにおいがオジサンから漂ってくる。
特に毛並みも変わっていないため、レモンの香りがするただのオジサンだ。
いや、大マーモットか。
それに臭い消しができたことで新しい職業体験ができるようになった。
――調香師(生産職)
生産街の工房でも見たことないため、この町では俺だけだろう。
作り慣れたらチェリーにも教えて、調香師を増やすのも良さそうだ。
回復魔法をかけると、痛みも落ち着いたのか再び臭い消しのレモン水に入っていた。
「俺達先に寝るからな」
「ワッシはもう少し体を綺麗にしておくぞ!」
もはやレモン水の水浴びだ。
初めて出会った時も綺麗好きだったしな。
本人が良いなら気にせず、俺とヴァイルは寝ることにした。
翌朝、レモンのにおいで目を覚ました。
「邪魔だな」
俺の顔の上で寝ていたオジサンを持ち上げる。
爽やかな香りがするオジサンで目を覚ますって中々滅多にない光景だろう。
俺はいつものように紐に結びつけて、朝活の準備に向かう。
朝はいつも通りに冒険者ギルドでデイリークエストを受けていく。
「あら、ヴァイトくん今日は爽やかなにおいがするわね」
「俺ですか?」
声をかけてきたのは鑑定士の女性だ。
爽やかな香りってオジサンのことだろうか。
「ひょっとしてこいつのことですか?」
俺はまだ寝ているオジサンを持ち上げて、においを嗅がせる。
顔を近づけてオジサンのにおいを嗅いでいるのか、クンクンとしている。
「あっ、オジサンから良い香りがしているのね」
これで俺からにおいがしているわけではないことが伝わっただろう。
「私も嗅いでみたいです」
気づいた時には、冒険者ギルドにいる女性達が集まっていた。
今頃オジサンが起きていたら喜んでいたのにな。
まだいびきをかきながら眠っている。
「レモンのにおいをつけたらモテるのか」
「後でヴァイトに聞いてみるか」
ただ、それを見ていた冒険者ギルドにいる男達は見逃していなかった。
訓練場に行くと、ゾロゾロと男達が寄ってきた。
「なぁ、ヴァイト?」
「なんですか?」
「よかったら俺にもレモンのにおいがするやつを譲ってくれないか?」
声をかけてきたのはジェイドだ。
彼もにおいが気になるのだろうか。
エリックと違って、動き回るから汗もかきやすいのだろう。
「明日までで良いなら作りますよ?」
「おお、そうか! それならたくさん用意してもらえると助かる」
ジェイドの後ろには年上の冒険者達がいた。
きっとジェイドを使って俺に話しかけてきたのだろう。
関わりがないと中々話しかけづらいからな。
俺も勇者に声をかけるのは、人見知りだから怖くてできない。
初対面だから何をされるかわからないだろうし。
「よかったらにおいを嗅いでみますか?」
「良いのか?」
年上の冒険者達はレモンの匂いでも、どんなにおいがするのか気になっていたのだろう。
オジサンを囲んでクンクンとしている。
オジサンがオジサンに囲まれる。
なんとも言えない光景だ。
「はぁー、よく寝た……なんだこれええええええ!」
そんな中、オジサンは目を覚ました。
起きた瞬間にオジサンに囲まれて、においを嗅がれていたら、さすがにびっくりするか。
「ああ、お前が良いにおいするからさ」
「ワッシは女にモテモテになりたかったぞおおおお!」
急いで俺の元に逃げてきたと思ったら、足を何度も蹴ってくる。
相変わらず痛くないが、さっきまで女性達に囲まれていたことを言わないことにした。
「ワッシのモテモテ計画がああああああ!」
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