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第二章 精霊イベント
58.NPC、鬼畜悪魔になる
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「今まで町にいる勇者にたくさん協力をしてもらいました」
「勇者にか?」
「はい。私達の力では犯人の情報を掴むことすらできなかったです」
どうやら勇者達のおかげで、町で犯罪行為を行なっていたのが、ハッヤイーナってことは突き止められたようだ。ただ、その行為を止められるわけでもなく、犯罪行為は続いていた。
「そのまま皆さんに依頼をしようと思いましたが、皆さんが隣町に帰る人が多く……」
最近になって、勇者が町にたくさん帰ってきたのには理由があったようだ。
少しだけ町に活気が出てきたからな。
「勇者達は薄情者が多い」
門番はどこかイライラしているようにも感じる。
まぁ、犯人が分かっても、個人の都合があるので帰りますって言われたら、町を守る門番からしたらそう思うのは仕方ないだろう。
「何かあったんですか?」
「ああ、ほとんどのやつが強くなるために鬼ごっこというやらをしにいくって言ったり、推し活が――」
「すみません!」
ついつい俺は謝ってしまった。
推し活が何かはわからないが、鬼ごっこって確実に俺のせいのような気がする。
チェリーもジーッと見つめているからな。
「おい、俺を捕まえてもボスが黙っちゃいないぜ!」
「やはりアジトが近くにあるのか! 今すぐに場所を吐け!」
「誰がお前達なんかに教えるかよ」
どうやらアジトが近くにあるらしい。
きっとそのアジトをどうにかしないと、ハッヤイーナがいなくなっても、変わらないだろう。
ハッヤイーナは門番に向けて唾を吐く。
しかし、門番の方には飛ばず、隣にいた俺にかかったようだ。
ああ、汚いな。
俺は解体師スキルを発動し、唾を綺麗に落とす。
「お兄ちゃん……?」
「おい、今俺に何をやった?」
「避けたこいつが悪いんだよ!」
俺は縄を取り出して、一瞬にして巻きつける。
縛られていることに気づかないのだろうか。
そのまま暴れる男を俺は持ち上げた。
「へぇー、ならちょっと俺と遊ぼうか」
俺は近くにある街頭に縄をくくりつける。
「おい、お前何をする気だ!」
「ん? アジトを教えてくれるまで遊んであげようと思ってね」
俺が思いついたのは、昔バラエティ番組で見た、タライがぶつかる手前で止めるゲームだ。
今回はそのタライをこの男でやろうと思ったのだ。
流石に地面に近づくところを何回も見れば、怖くてアジトの場所くらい吐くだろう。
くくく、俺に唾をかけた仕返しは大きいぞ。
「ははははは!」
「お兄ちゃんがエリックさんみたいになってる……」
別に俺は呪術師には……。
あっ、目の前に呪術師のデイリークエストが出現していた。
どうやらクリア条件は相手を呪うことらしい。
「さぁ、はじめようか!」
俺はにこりと微笑む。
「うわあああ、悪魔だー! 悪魔がここにいるぞ!」
「誰が悪魔かな?」
俺は何度も縄を離しては瞬時に掴む。
結構、動体視力も鍛えられそうで特訓には良さそうだ。
そういえば、さっきから悪魔という言葉が出てきているが、この世界には悪魔が存在しているのだろうか。
「悪魔って……」
「ぶへっ!?」
どうやら目を離した途端に、少し顔面が地面に擦れたのだろう。
多少は仕方ない気がする。
時折、回復魔法で傷を治しながら何度も繰り返す。
「おおお、お前のお兄ちゃんは悪魔か?」
「いや、悪魔というのか鬼畜の技としか思えないですが……」
何度も繰り返すと次第に男は気絶した。
ああ、これぐらいで気絶するとはMNDが低いのだろうか。
俺は男を下ろすと、回復魔法で気絶から目覚めさせる。
「はっ!? 悪魔が――」
「それは俺のことか?」
「ヒイイイイィィィ!?」
「別にそこまで驚かなくても良いじゃないか」
「すみません。アジトの場所ならすぐに教えるので命だけはお助けください」
どうやらアジトの場所を教えてくれるようだ。
俺は男を立たせて、どっちにあるのか確認する。
「じゃあ、そのアジトまで行きましょうか!」
「えっ……今ですか!?」
「ええ、夜の営業に間に合うように帰らないといけないし、効率よく行った方が良いじゃないですか?」
ここに来るまでに一時間近くかかったなら、アジトまでの場所を把握して、帰るまでのことを考えると、なるべく早く移動しないといけない。
時間を無駄にしたらいけないからな。
「せめて警備隊に知らせて……あれ?」
「もうお兄ちゃん行っちゃったよ?」
俺は男に案内してもらいながら、アジトに向かった。
もちろん時間削減のために――。
「もう追いかけないでくれえええ!」
しっかり剣を使った鬼ごっこの開始だ!
───────────────────
【あとがき】
やっとホトラン一位になれました泣
皆さんが読んでいただいたおかげですね!
ありがとうございます(T ^ T)
これからも読んでください!!
お願いします笑
お気に入り登録、コメントお待ちしております!
「勇者にか?」
「はい。私達の力では犯人の情報を掴むことすらできなかったです」
どうやら勇者達のおかげで、町で犯罪行為を行なっていたのが、ハッヤイーナってことは突き止められたようだ。ただ、その行為を止められるわけでもなく、犯罪行為は続いていた。
「そのまま皆さんに依頼をしようと思いましたが、皆さんが隣町に帰る人が多く……」
最近になって、勇者が町にたくさん帰ってきたのには理由があったようだ。
少しだけ町に活気が出てきたからな。
「勇者達は薄情者が多い」
門番はどこかイライラしているようにも感じる。
まぁ、犯人が分かっても、個人の都合があるので帰りますって言われたら、町を守る門番からしたらそう思うのは仕方ないだろう。
「何かあったんですか?」
「ああ、ほとんどのやつが強くなるために鬼ごっこというやらをしにいくって言ったり、推し活が――」
「すみません!」
ついつい俺は謝ってしまった。
推し活が何かはわからないが、鬼ごっこって確実に俺のせいのような気がする。
チェリーもジーッと見つめているからな。
「おい、俺を捕まえてもボスが黙っちゃいないぜ!」
「やはりアジトが近くにあるのか! 今すぐに場所を吐け!」
「誰がお前達なんかに教えるかよ」
どうやらアジトが近くにあるらしい。
きっとそのアジトをどうにかしないと、ハッヤイーナがいなくなっても、変わらないだろう。
ハッヤイーナは門番に向けて唾を吐く。
しかし、門番の方には飛ばず、隣にいた俺にかかったようだ。
ああ、汚いな。
俺は解体師スキルを発動し、唾を綺麗に落とす。
「お兄ちゃん……?」
「おい、今俺に何をやった?」
「避けたこいつが悪いんだよ!」
俺は縄を取り出して、一瞬にして巻きつける。
縛られていることに気づかないのだろうか。
そのまま暴れる男を俺は持ち上げた。
「へぇー、ならちょっと俺と遊ぼうか」
俺は近くにある街頭に縄をくくりつける。
「おい、お前何をする気だ!」
「ん? アジトを教えてくれるまで遊んであげようと思ってね」
俺が思いついたのは、昔バラエティ番組で見た、タライがぶつかる手前で止めるゲームだ。
今回はそのタライをこの男でやろうと思ったのだ。
流石に地面に近づくところを何回も見れば、怖くてアジトの場所くらい吐くだろう。
くくく、俺に唾をかけた仕返しは大きいぞ。
「ははははは!」
「お兄ちゃんがエリックさんみたいになってる……」
別に俺は呪術師には……。
あっ、目の前に呪術師のデイリークエストが出現していた。
どうやらクリア条件は相手を呪うことらしい。
「さぁ、はじめようか!」
俺はにこりと微笑む。
「うわあああ、悪魔だー! 悪魔がここにいるぞ!」
「誰が悪魔かな?」
俺は何度も縄を離しては瞬時に掴む。
結構、動体視力も鍛えられそうで特訓には良さそうだ。
そういえば、さっきから悪魔という言葉が出てきているが、この世界には悪魔が存在しているのだろうか。
「悪魔って……」
「ぶへっ!?」
どうやら目を離した途端に、少し顔面が地面に擦れたのだろう。
多少は仕方ない気がする。
時折、回復魔法で傷を治しながら何度も繰り返す。
「おおお、お前のお兄ちゃんは悪魔か?」
「いや、悪魔というのか鬼畜の技としか思えないですが……」
何度も繰り返すと次第に男は気絶した。
ああ、これぐらいで気絶するとはMNDが低いのだろうか。
俺は男を下ろすと、回復魔法で気絶から目覚めさせる。
「はっ!? 悪魔が――」
「それは俺のことか?」
「ヒイイイイィィィ!?」
「別にそこまで驚かなくても良いじゃないか」
「すみません。アジトの場所ならすぐに教えるので命だけはお助けください」
どうやらアジトの場所を教えてくれるようだ。
俺は男を立たせて、どっちにあるのか確認する。
「じゃあ、そのアジトまで行きましょうか!」
「えっ……今ですか!?」
「ええ、夜の営業に間に合うように帰らないといけないし、効率よく行った方が良いじゃないですか?」
ここに来るまでに一時間近くかかったなら、アジトまでの場所を把握して、帰るまでのことを考えると、なるべく早く移動しないといけない。
時間を無駄にしたらいけないからな。
「せめて警備隊に知らせて……あれ?」
「もうお兄ちゃん行っちゃったよ?」
俺は男に案内してもらいながら、アジトに向かった。
もちろん時間削減のために――。
「もう追いかけないでくれえええ!」
しっかり剣を使った鬼ごっこの開始だ!
───────────────────
【あとがき】
やっとホトラン一位になれました泣
皆さんが読んでいただいたおかげですね!
ありがとうございます(T ^ T)
これからも読んでください!!
お願いします笑
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