42 / 150
第一章 はじまりの町
42.聖女、学校での会話 ※一部運営視点
しおりを挟む
「ゲームだけしかやっていないのに体が痛いよ」
昨日は一日中ゲームをやっていたため、全身が疲れているのだろう。
学校の準備をして早速、咲良の家に向かう。
「あっ、ナコちゃん。最近ゲームはどう?」
「昨日は大蛇を倒して、死ぬ気で鬼ごっこしました!」
「死ぬ気で鬼ごっこ?」
「ゲームのキャラクターが剣を持って追いかけてくるんですよ! それでもし怪我をしても、回復魔法で治るので、延々と走らされましたね」
「それはゲームなのかしらね……?」
全く嘘偽りなく、本当のことを言っている。
ヴァイトさんは私には手加減してくれたが、あの三人に関しては本当に殺しそうな顔を向けていた。
そのおかげか町へ戻るだけなのに、AGIが2も上がっていた。
そんなヴァイトさんは、いつも魔物討伐にびびっている私をしっかり怒ってくれるお兄ちゃんみたいに感じている。
一時期ゲームをやめていたが、彼に会いたくて戻ってきたぐらいだ。
「よかったら咲良にもやってみてと伝えてください!」
それだけ伝えて私は学校に向かう。
最近は咲良のお母さんにゲームで何があったのかを伝えるのが日課だ。
毎日続けていたら、いつか一緒にできると信じている。
そんなヴァイトさんに咲良も会ってくれるといいな。
学校に到着すると、愛がすぐに抱きついてきた。
「なこちーん! 体が痛いよおー」
「やっぱり愛も筋肉痛になったんだね」
あれから愛ちゃんのことを愛と呼ぶようになった。
悠馬くんや道くんに関してはそのままだ。
「ヴァイトがあんなに追いかけてくるから、毎日体が痛いぞ」
「それで僕達も若干痩せたもんね」
最近動けない人達でもゲームを通してダイエットができると話題になっている。
微弱な電気刺激が体に伝わって、直接筋肉に刺激が送られて痩せていると、今のところ言われているらしい。
この間、体育の時に二人のお腹がチラッと見えたが、男性らしい体つきになっていた。
「他の種族もそろそろレイドバトルが終わるらしいから、そろそろ第二の町が解放されるだろうね」
「結局人族だけがNPC参加だったか」
「ほぼヴァイトが倒していたからね」
あの時のヴァイトさんはとにかく強くてかっこよかった。
みんなが苦労していた魔物が一瞬にして、やられていたからね。
「その動画のおかげで、またユーマがバズったんだよね?」
「なんで俺?」
「ヴァイト×ユーマのカップリングが流行っているんでしたっけ?」
一部の女性達にあの時の動画が話題になっていた。
私もいまいちわからなかったが、ある一定の人達に人気があるらしい。
ヴァイトさんが大蛇に殺されそうになっているユーマを助けにいく同人誌漫画も作られているって聞いた。
「まぁ、そのおかげで有名になったから良いじゃないの!」
「有名になったのは、ほぼお前のアカウントじゃないか!」
「バカはそんなことは気にしないの!」
「なっ!?」
「お前ら席につけよー!」
そんな話をしていると先生がきて、朝礼が始まった。
今日もみんなで集まってゲームをやる予定になっている。
次はどんなイベントが待っているのかな。
♢
「おい、このNPCを作ったやつは誰だ!」
会社で今後のアップデートに向けた会議が行われていた。
「さすがにそこまでは覚えてないですよ。各種族の町を合わせても、すでに1000人近くNPCがいますよ?」
「はぁー、そうだよな。とりあえず適当に名前と顔を決めて、しばらく勝手にさせていたからな」
基本的に重要な人物は覚えている。ただ、あいつの存在だけは誰も覚えていなかった。
この間もプレイヤーからのクレーム祭りになっていたが、解決したのもこの変わったNPCだった。
あれだけツボを割るな、タルを投げるな、勝手にタンスを開けるなって言ったのにな。
みんな勝手に体が動いてしまうのだろう。
「この際、ゲームの有名キャラクターとして売り出せば良いんじゃないですか?」
「それが良いですよ! 見た目は女子受け抜群ですし、流行りのBL業界にも手を出せますよ」
「なぜBLが売れるのか俺にはわからん!」
最近隣の部署でもBLゲームを開発するって言っていたぐらいだからな。
「それは課長が腐ってないからですよ」
「うっ……」
今ではいつのまにか強くなっていたNPCが一人歩きして、有名になる時代。
モブが人気になるとか俺にはさっぱりだ。
「それで次は第二の町解放とペットシステムの追加で良いか?」
「あとはダンジョンのプレリリースも同時にした方が、プレイヤーも飽きないと思いますよ!」
「じゃあ、その方針でやっていこうか。おい、一宮は勝手なことをするなよ!」
「私はまだ何もしていませんよ! BLイベントをやるなら絶対バレンタインが良いです!」
「そんなイベントは絶対させないからな!」
今日もゲーム運営側は、AIを取り入れたことでバタバタして大変です。
───────────────────
【あとがき】
ここで第一章が終わりです!
ワーカホリックだったヴァイトが、だんだんと社畜に成長してきました。
そもそも運営から24時間働かされてる時点で、ブラック企業の社畜なんですが……笑
コメントに意見が寄せられましたが、ネタバレを超えるような質問にはお答えできませんので、ご了承お願いします。
お気に入り登録、コメントよろしくお願いします!
昨日は一日中ゲームをやっていたため、全身が疲れているのだろう。
学校の準備をして早速、咲良の家に向かう。
「あっ、ナコちゃん。最近ゲームはどう?」
「昨日は大蛇を倒して、死ぬ気で鬼ごっこしました!」
「死ぬ気で鬼ごっこ?」
「ゲームのキャラクターが剣を持って追いかけてくるんですよ! それでもし怪我をしても、回復魔法で治るので、延々と走らされましたね」
「それはゲームなのかしらね……?」
全く嘘偽りなく、本当のことを言っている。
ヴァイトさんは私には手加減してくれたが、あの三人に関しては本当に殺しそうな顔を向けていた。
そのおかげか町へ戻るだけなのに、AGIが2も上がっていた。
そんなヴァイトさんは、いつも魔物討伐にびびっている私をしっかり怒ってくれるお兄ちゃんみたいに感じている。
一時期ゲームをやめていたが、彼に会いたくて戻ってきたぐらいだ。
「よかったら咲良にもやってみてと伝えてください!」
それだけ伝えて私は学校に向かう。
最近は咲良のお母さんにゲームで何があったのかを伝えるのが日課だ。
毎日続けていたら、いつか一緒にできると信じている。
そんなヴァイトさんに咲良も会ってくれるといいな。
学校に到着すると、愛がすぐに抱きついてきた。
「なこちーん! 体が痛いよおー」
「やっぱり愛も筋肉痛になったんだね」
あれから愛ちゃんのことを愛と呼ぶようになった。
悠馬くんや道くんに関してはそのままだ。
「ヴァイトがあんなに追いかけてくるから、毎日体が痛いぞ」
「それで僕達も若干痩せたもんね」
最近動けない人達でもゲームを通してダイエットができると話題になっている。
微弱な電気刺激が体に伝わって、直接筋肉に刺激が送られて痩せていると、今のところ言われているらしい。
この間、体育の時に二人のお腹がチラッと見えたが、男性らしい体つきになっていた。
「他の種族もそろそろレイドバトルが終わるらしいから、そろそろ第二の町が解放されるだろうね」
「結局人族だけがNPC参加だったか」
「ほぼヴァイトが倒していたからね」
あの時のヴァイトさんはとにかく強くてかっこよかった。
みんなが苦労していた魔物が一瞬にして、やられていたからね。
「その動画のおかげで、またユーマがバズったんだよね?」
「なんで俺?」
「ヴァイト×ユーマのカップリングが流行っているんでしたっけ?」
一部の女性達にあの時の動画が話題になっていた。
私もいまいちわからなかったが、ある一定の人達に人気があるらしい。
ヴァイトさんが大蛇に殺されそうになっているユーマを助けにいく同人誌漫画も作られているって聞いた。
「まぁ、そのおかげで有名になったから良いじゃないの!」
「有名になったのは、ほぼお前のアカウントじゃないか!」
「バカはそんなことは気にしないの!」
「なっ!?」
「お前ら席につけよー!」
そんな話をしていると先生がきて、朝礼が始まった。
今日もみんなで集まってゲームをやる予定になっている。
次はどんなイベントが待っているのかな。
♢
「おい、このNPCを作ったやつは誰だ!」
会社で今後のアップデートに向けた会議が行われていた。
「さすがにそこまでは覚えてないですよ。各種族の町を合わせても、すでに1000人近くNPCがいますよ?」
「はぁー、そうだよな。とりあえず適当に名前と顔を決めて、しばらく勝手にさせていたからな」
基本的に重要な人物は覚えている。ただ、あいつの存在だけは誰も覚えていなかった。
この間もプレイヤーからのクレーム祭りになっていたが、解決したのもこの変わったNPCだった。
あれだけツボを割るな、タルを投げるな、勝手にタンスを開けるなって言ったのにな。
みんな勝手に体が動いてしまうのだろう。
「この際、ゲームの有名キャラクターとして売り出せば良いんじゃないですか?」
「それが良いですよ! 見た目は女子受け抜群ですし、流行りのBL業界にも手を出せますよ」
「なぜBLが売れるのか俺にはわからん!」
最近隣の部署でもBLゲームを開発するって言っていたぐらいだからな。
「それは課長が腐ってないからですよ」
「うっ……」
今ではいつのまにか強くなっていたNPCが一人歩きして、有名になる時代。
モブが人気になるとか俺にはさっぱりだ。
「それで次は第二の町解放とペットシステムの追加で良いか?」
「あとはダンジョンのプレリリースも同時にした方が、プレイヤーも飽きないと思いますよ!」
「じゃあ、その方針でやっていこうか。おい、一宮は勝手なことをするなよ!」
「私はまだ何もしていませんよ! BLイベントをやるなら絶対バレンタインが良いです!」
「そんなイベントは絶対させないからな!」
今日もゲーム運営側は、AIを取り入れたことでバタバタして大変です。
───────────────────
【あとがき】
ここで第一章が終わりです!
ワーカホリックだったヴァイトが、だんだんと社畜に成長してきました。
そもそも運営から24時間働かされてる時点で、ブラック企業の社畜なんですが……笑
コメントに意見が寄せられましたが、ネタバレを超えるような質問にはお答えできませんので、ご了承お願いします。
お気に入り登録、コメントよろしくお願いします!
101
お気に入りに追加
1,336
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
社畜だった私は異世界転生をする 〜第一王女なんて聞いてません〜
mikadozero
ファンタジー
私佐藤凛は、一日七時間働き、その後上司に「サービス残業お願いね」そう言われて上司は先に帰る始末。
そんな生活に私はうんざりしていた。そんな私は一日に五時間ほどしか睡眠が取れない。(時間がある日)
そんな生活を送っていると流石に体がついてこなくなった。
私は、家の中で倒れてしまうのだった。独身で誰も周りに友達もおらず、勉強一筋で生きてきた私に価値などなかったのだ。
目を覚ますと、そこは知らない建物が立っているところであり!?
ケモ耳が生えているもののいたりエルフの特徴に当てはまる人もいた!?
だが……そんな楽しい生活を楽しみたかったが……前世の癖で仕事を求めてしまう。
そんな彼女がたどり着いた職業とは……
※絵はイメージです
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる