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第一章 はじまりの町
42.聖女、学校での会話 ※一部運営視点
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「ゲームだけしかやっていないのに体が痛いよ」
昨日は一日中ゲームをやっていたため、全身が疲れているのだろう。
学校の準備をして早速、咲良の家に向かう。
「あっ、ナコちゃん。最近ゲームはどう?」
「昨日は大蛇を倒して、死ぬ気で鬼ごっこしました!」
「死ぬ気で鬼ごっこ?」
「ゲームのキャラクターが剣を持って追いかけてくるんですよ! それでもし怪我をしても、回復魔法で治るので、延々と走らされましたね」
「それはゲームなのかしらね……?」
全く嘘偽りなく、本当のことを言っている。
ヴァイトさんは私には手加減してくれたが、あの三人に関しては本当に殺しそうな顔を向けていた。
そのおかげか町へ戻るだけなのに、AGIが2も上がっていた。
そんなヴァイトさんは、いつも魔物討伐にびびっている私をしっかり怒ってくれるお兄ちゃんみたいに感じている。
一時期ゲームをやめていたが、彼に会いたくて戻ってきたぐらいだ。
「よかったら咲良にもやってみてと伝えてください!」
それだけ伝えて私は学校に向かう。
最近は咲良のお母さんにゲームで何があったのかを伝えるのが日課だ。
毎日続けていたら、いつか一緒にできると信じている。
そんなヴァイトさんに咲良も会ってくれるといいな。
学校に到着すると、愛がすぐに抱きついてきた。
「なこちーん! 体が痛いよおー」
「やっぱり愛も筋肉痛になったんだね」
あれから愛ちゃんのことを愛と呼ぶようになった。
悠馬くんや道くんに関してはそのままだ。
「ヴァイトがあんなに追いかけてくるから、毎日体が痛いぞ」
「それで僕達も若干痩せたもんね」
最近動けない人達でもゲームを通してダイエットができると話題になっている。
微弱な電気刺激が体に伝わって、直接筋肉に刺激が送られて痩せていると、今のところ言われているらしい。
この間、体育の時に二人のお腹がチラッと見えたが、男性らしい体つきになっていた。
「他の種族もそろそろレイドバトルが終わるらしいから、そろそろ第二の町が解放されるだろうね」
「結局人族だけがNPC参加だったか」
「ほぼヴァイトが倒していたからね」
あの時のヴァイトさんはとにかく強くてかっこよかった。
みんなが苦労していた魔物が一瞬にして、やられていたからね。
「その動画のおかげで、またユーマがバズったんだよね?」
「なんで俺?」
「ヴァイト×ユーマのカップリングが流行っているんでしたっけ?」
一部の女性達にあの時の動画が話題になっていた。
私もいまいちわからなかったが、ある一定の人達に人気があるらしい。
ヴァイトさんが大蛇に殺されそうになっているユーマを助けにいく同人誌漫画も作られているって聞いた。
「まぁ、そのおかげで有名になったから良いじゃないの!」
「有名になったのは、ほぼお前のアカウントじゃないか!」
「バカはそんなことは気にしないの!」
「なっ!?」
「お前ら席につけよー!」
そんな話をしていると先生がきて、朝礼が始まった。
今日もみんなで集まってゲームをやる予定になっている。
次はどんなイベントが待っているのかな。
♢
「おい、このNPCを作ったやつは誰だ!」
会社で今後のアップデートに向けた会議が行われていた。
「さすがにそこまでは覚えてないですよ。各種族の町を合わせても、すでに1000人近くNPCがいますよ?」
「はぁー、そうだよな。とりあえず適当に名前と顔を決めて、しばらく勝手にさせていたからな」
基本的に重要な人物は覚えている。ただ、あいつの存在だけは誰も覚えていなかった。
この間もプレイヤーからのクレーム祭りになっていたが、解決したのもこの変わったNPCだった。
あれだけツボを割るな、タルを投げるな、勝手にタンスを開けるなって言ったのにな。
みんな勝手に体が動いてしまうのだろう。
「この際、ゲームの有名キャラクターとして売り出せば良いんじゃないですか?」
「それが良いですよ! 見た目は女子受け抜群ですし、流行りのBL業界にも手を出せますよ」
「なぜBLが売れるのか俺にはわからん!」
最近隣の部署でもBLゲームを開発するって言っていたぐらいだからな。
「それは課長が腐ってないからですよ」
「うっ……」
今ではいつのまにか強くなっていたNPCが一人歩きして、有名になる時代。
モブが人気になるとか俺にはさっぱりだ。
「それで次は第二の町解放とペットシステムの追加で良いか?」
「あとはダンジョンのプレリリースも同時にした方が、プレイヤーも飽きないと思いますよ!」
「じゃあ、その方針でやっていこうか。おい、一宮は勝手なことをするなよ!」
「私はまだ何もしていませんよ! BLイベントをやるなら絶対バレンタインが良いです!」
「そんなイベントは絶対させないからな!」
今日もゲーム運営側は、AIを取り入れたことでバタバタして大変です。
───────────────────
【あとがき】
ここで第一章が終わりです!
ワーカホリックだったヴァイトが、だんだんと社畜に成長してきました。
そもそも運営から24時間働かされてる時点で、ブラック企業の社畜なんですが……笑
コメントに意見が寄せられましたが、ネタバレを超えるような質問にはお答えできませんので、ご了承お願いします。
お気に入り登録、コメントよろしくお願いします!
昨日は一日中ゲームをやっていたため、全身が疲れているのだろう。
学校の準備をして早速、咲良の家に向かう。
「あっ、ナコちゃん。最近ゲームはどう?」
「昨日は大蛇を倒して、死ぬ気で鬼ごっこしました!」
「死ぬ気で鬼ごっこ?」
「ゲームのキャラクターが剣を持って追いかけてくるんですよ! それでもし怪我をしても、回復魔法で治るので、延々と走らされましたね」
「それはゲームなのかしらね……?」
全く嘘偽りなく、本当のことを言っている。
ヴァイトさんは私には手加減してくれたが、あの三人に関しては本当に殺しそうな顔を向けていた。
そのおかげか町へ戻るだけなのに、AGIが2も上がっていた。
そんなヴァイトさんは、いつも魔物討伐にびびっている私をしっかり怒ってくれるお兄ちゃんみたいに感じている。
一時期ゲームをやめていたが、彼に会いたくて戻ってきたぐらいだ。
「よかったら咲良にもやってみてと伝えてください!」
それだけ伝えて私は学校に向かう。
最近は咲良のお母さんにゲームで何があったのかを伝えるのが日課だ。
毎日続けていたら、いつか一緒にできると信じている。
そんなヴァイトさんに咲良も会ってくれるといいな。
学校に到着すると、愛がすぐに抱きついてきた。
「なこちーん! 体が痛いよおー」
「やっぱり愛も筋肉痛になったんだね」
あれから愛ちゃんのことを愛と呼ぶようになった。
悠馬くんや道くんに関してはそのままだ。
「ヴァイトがあんなに追いかけてくるから、毎日体が痛いぞ」
「それで僕達も若干痩せたもんね」
最近動けない人達でもゲームを通してダイエットができると話題になっている。
微弱な電気刺激が体に伝わって、直接筋肉に刺激が送られて痩せていると、今のところ言われているらしい。
この間、体育の時に二人のお腹がチラッと見えたが、男性らしい体つきになっていた。
「他の種族もそろそろレイドバトルが終わるらしいから、そろそろ第二の町が解放されるだろうね」
「結局人族だけがNPC参加だったか」
「ほぼヴァイトが倒していたからね」
あの時のヴァイトさんはとにかく強くてかっこよかった。
みんなが苦労していた魔物が一瞬にして、やられていたからね。
「その動画のおかげで、またユーマがバズったんだよね?」
「なんで俺?」
「ヴァイト×ユーマのカップリングが流行っているんでしたっけ?」
一部の女性達にあの時の動画が話題になっていた。
私もいまいちわからなかったが、ある一定の人達に人気があるらしい。
ヴァイトさんが大蛇に殺されそうになっているユーマを助けにいく同人誌漫画も作られているって聞いた。
「まぁ、そのおかげで有名になったから良いじゃないの!」
「有名になったのは、ほぼお前のアカウントじゃないか!」
「バカはそんなことは気にしないの!」
「なっ!?」
「お前ら席につけよー!」
そんな話をしていると先生がきて、朝礼が始まった。
今日もみんなで集まってゲームをやる予定になっている。
次はどんなイベントが待っているのかな。
♢
「おい、このNPCを作ったやつは誰だ!」
会社で今後のアップデートに向けた会議が行われていた。
「さすがにそこまでは覚えてないですよ。各種族の町を合わせても、すでに1000人近くNPCがいますよ?」
「はぁー、そうだよな。とりあえず適当に名前と顔を決めて、しばらく勝手にさせていたからな」
基本的に重要な人物は覚えている。ただ、あいつの存在だけは誰も覚えていなかった。
この間もプレイヤーからのクレーム祭りになっていたが、解決したのもこの変わったNPCだった。
あれだけツボを割るな、タルを投げるな、勝手にタンスを開けるなって言ったのにな。
みんな勝手に体が動いてしまうのだろう。
「この際、ゲームの有名キャラクターとして売り出せば良いんじゃないですか?」
「それが良いですよ! 見た目は女子受け抜群ですし、流行りのBL業界にも手を出せますよ」
「なぜBLが売れるのか俺にはわからん!」
最近隣の部署でもBLゲームを開発するって言っていたぐらいだからな。
「それは課長が腐ってないからですよ」
「うっ……」
今ではいつのまにか強くなっていたNPCが一人歩きして、有名になる時代。
モブが人気になるとか俺にはさっぱりだ。
「それで次は第二の町解放とペットシステムの追加で良いか?」
「あとはダンジョンのプレリリースも同時にした方が、プレイヤーも飽きないと思いますよ!」
「じゃあ、その方針でやっていこうか。おい、一宮は勝手なことをするなよ!」
「私はまだ何もしていませんよ! BLイベントをやるなら絶対バレンタインが良いです!」
「そんなイベントは絶対させないからな!」
今日もゲーム運営側は、AIを取り入れたことでバタバタして大変です。
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【あとがき】
ここで第一章が終わりです!
ワーカホリックだったヴァイトが、だんだんと社畜に成長してきました。
そもそも運営から24時間働かされてる時点で、ブラック企業の社畜なんですが……笑
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