37 / 151
第一章 はじまりの町
37.NPC、鬼畜ルーキーと呼ばれる
しおりを挟む 涼は、散々人の体を弄び、雅哉の倍以上のキスマークをつけて満足したようだ。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
83
お気に入りに追加
1,346
あなたにおすすめの小説

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉
陣ノ内猫子
ファンタジー
神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。
お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。
チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO!
ーーーーーーーーー
これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。
ご都合主義、あるかもしれません。
一話一話が短いです。
週一回を目標に投稿したと思います。
面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。
誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。
感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる