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第一章 はじまりの町
30.NPC、アーツを覚える
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夜の営業をしていると、ジェイドとエリックが疲れ果てた顔でやってきた。
ここのところ店に来ることが少なかったから、それだけ多忙だったのだろう。
「お疲れ様です」
俺はいつものように酒を持っていく。
「ああ、ヴァイトは元気そうだな」
「僕もヴァイトのような元気が欲しいよ」
二人ともVITが低いのか疲れやすいようだ。
酒を飲みながら話しているが、ぐったりとしている。
「そんなに忙しいんですか?」
「ああ、勇者達が急に集まってきたからな」
「僕達の弟子になりたい人が多くて、疲れちゃうんだよ」
勇者の中には剣士と魔法使いになりたい人が多いらしい。
その結果、ずっと働き詰めになっていた。
今日もユーマと訓練場に行った時は、たくさんの勇者達で溢れていたからな。
ジェイドとエリックもどこかにいるだろうと思っていたが、あの人混みの中にいたらしい。
「この際、ヴァイトも弟子を取ればいいんじゃないか?」
「弟子ですか?」
俺がもし弟子を取ることになったら、転職先はバイトニストになるのだろうか。
他の職業は見習いレベルだしな。
そもそもギルドに所属をしていないから、弟子を取っても旨味がない。
「いやー、さすがにそれはないですよ」
「そんなことないだろ。この間剣士のアーツを使っていただろ?」
「アーツ……?」
「おいおい、斬撃を飛ばしていたじゃないか!」
「あれってアーツって言うんですね」
剣士のデイリークエストクリア数が10を超えたあたりから、剣を大きく振り下ろすと訓練場の地面に大きな穴ができるようになった。
STRが高くなった影響かと思ったが、どうやら違っていたらしい。
「あれは剣士としてちゃんと一人前にならないと使えない技だぞ」
「ちなみにその様子だと、そろそろ属性魔法が使えるようになるんじゃないか?」
属性魔法とはこの間起きた謎の現象のことだろうか。
「あー、訓練場の穴を隠すために土を探していたら、手から出てくるようになってました」
「へっ……!?」
「はぁー」
さすがに訓練場の地面に大きな穴ができたら、埋めないといけないと思うはずだ。
勇者達が躓いて転んだりしたらいけないからな。
それなのにため息を吐かれるとは思いもしなかった。
それにしてもエリックは固まって動きもしない。
「魔法使いの属性魔法は真剣に選ばないといけなかったんじゃないか?」
「えっ……これって選べるんですか?」
目を見開いたままのエリックは、小さく頷いていた。
それだけ衝撃だったのだろうか。
そういえば、前に精神統一をしている時に異変を感じたら教えてくれと言われていた。
その時に属性魔法が習得できるタイミングだったらしい。
エリックはそのタイミングになったら、属性魔法の習得方法を教えるつもりだったと。
俺は剣を振りながら精神統一をしていたから、穴を塞ぐことしか考えていなかった。
「ひょっとしたら他の職業体験も十分なレベルに達しているんじゃないか?」
他にも10を超えているやつなら、戦闘職では弓使いと斥候がそれにあたる。
「弓なら五本同時に打てますよ」
デイリークエストを早く終わらせるための工夫だと思っていたが、それも弓使いの同時弓撃というアーツらしい。
「はぁー、もうヴァイトは規格外だな」
「その辺の勇者より強いかもしれないね」
職業体験をしていたつもりが、いつの間にか一定のレベルに達していたようだ。
きっとアルバイトが正社員よりも、効率的に働けることなんていくらでもあるからな。
「おい、ヴァイトこれも運んでくれ!」
俺はバビットに呼ばれて、すぐに食事を運んでいく。
ファミレスのウェイターのマネをして、いくつもの商品を腕に乗せて一気に運んでいるが、これもウェイターの技みたいなものだろうか。
それでもデイリークエストが効率よく終わるなら問題ない。
俺は考えることをやめて、仕事に集中することにした。
ここのところ店に来ることが少なかったから、それだけ多忙だったのだろう。
「お疲れ様です」
俺はいつものように酒を持っていく。
「ああ、ヴァイトは元気そうだな」
「僕もヴァイトのような元気が欲しいよ」
二人ともVITが低いのか疲れやすいようだ。
酒を飲みながら話しているが、ぐったりとしている。
「そんなに忙しいんですか?」
「ああ、勇者達が急に集まってきたからな」
「僕達の弟子になりたい人が多くて、疲れちゃうんだよ」
勇者の中には剣士と魔法使いになりたい人が多いらしい。
その結果、ずっと働き詰めになっていた。
今日もユーマと訓練場に行った時は、たくさんの勇者達で溢れていたからな。
ジェイドとエリックもどこかにいるだろうと思っていたが、あの人混みの中にいたらしい。
「この際、ヴァイトも弟子を取ればいいんじゃないか?」
「弟子ですか?」
俺がもし弟子を取ることになったら、転職先はバイトニストになるのだろうか。
他の職業は見習いレベルだしな。
そもそもギルドに所属をしていないから、弟子を取っても旨味がない。
「いやー、さすがにそれはないですよ」
「そんなことないだろ。この間剣士のアーツを使っていただろ?」
「アーツ……?」
「おいおい、斬撃を飛ばしていたじゃないか!」
「あれってアーツって言うんですね」
剣士のデイリークエストクリア数が10を超えたあたりから、剣を大きく振り下ろすと訓練場の地面に大きな穴ができるようになった。
STRが高くなった影響かと思ったが、どうやら違っていたらしい。
「あれは剣士としてちゃんと一人前にならないと使えない技だぞ」
「ちなみにその様子だと、そろそろ属性魔法が使えるようになるんじゃないか?」
属性魔法とはこの間起きた謎の現象のことだろうか。
「あー、訓練場の穴を隠すために土を探していたら、手から出てくるようになってました」
「へっ……!?」
「はぁー」
さすがに訓練場の地面に大きな穴ができたら、埋めないといけないと思うはずだ。
勇者達が躓いて転んだりしたらいけないからな。
それなのにため息を吐かれるとは思いもしなかった。
それにしてもエリックは固まって動きもしない。
「魔法使いの属性魔法は真剣に選ばないといけなかったんじゃないか?」
「えっ……これって選べるんですか?」
目を見開いたままのエリックは、小さく頷いていた。
それだけ衝撃だったのだろうか。
そういえば、前に精神統一をしている時に異変を感じたら教えてくれと言われていた。
その時に属性魔法が習得できるタイミングだったらしい。
エリックはそのタイミングになったら、属性魔法の習得方法を教えるつもりだったと。
俺は剣を振りながら精神統一をしていたから、穴を塞ぐことしか考えていなかった。
「ひょっとしたら他の職業体験も十分なレベルに達しているんじゃないか?」
他にも10を超えているやつなら、戦闘職では弓使いと斥候がそれにあたる。
「弓なら五本同時に打てますよ」
デイリークエストを早く終わらせるための工夫だと思っていたが、それも弓使いの同時弓撃というアーツらしい。
「はぁー、もうヴァイトは規格外だな」
「その辺の勇者より強いかもしれないね」
職業体験をしていたつもりが、いつの間にか一定のレベルに達していたようだ。
きっとアルバイトが正社員よりも、効率的に働けることなんていくらでもあるからな。
「おい、ヴァイトこれも運んでくれ!」
俺はバビットに呼ばれて、すぐに食事を運んでいく。
ファミレスのウェイターのマネをして、いくつもの商品を腕に乗せて一気に運んでいるが、これもウェイターの技みたいなものだろうか。
それでもデイリークエストが効率よく終わるなら問題ない。
俺は考えることをやめて、仕事に集中することにした。
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