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第一章 はじまりの町
23.NPC、ちゃんと働きます
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「ただいま!」
「おう、おかえり!」
工房の作業が終わり、家に帰るとなぜかバビットは椅子に座って休憩していた。
「夜の営業準備はしなくても大丈夫ですか?」
普段ならこの時間は営業準備に追われている。
それなのに看板も片付けて、閉店後の状態になっていた。
「ああ、今日の夜から数日商店街、商業街、生産街は働かないことになった」
「うぇ!?」
「勇者達の態度が気に食わないから、この町全体でボイコットすることにしたらしい」
俺はそれを聞いて頭が真っ白になっていた。
ボイコット……?
それは俺が職業体験できないってことだろ?
時間効率重視にしていたのに、休みになったら何も出来ないじゃないか。
「いや、さすがにボイコットまでは……」
「もうギルドが決めたことなんだ」
「まじかよ……」
どうやら町に住む人達が、各ギルドに多くのクレームを入れたようだ。
その結果、ギルド含めて数日だけボイコットすることなった。
その数日で違う町に行くか、態度を改めると思っているのだろう。
あの感じだと全くそんな様子はないけどな。
一般職は無理でも、戦闘職や生産職を中心にデイリークエストを受けることになるだろう。
あとは新しい職業体験できる場所を探すことを中心にやっていくことにした。
翌日、いつものようにステータスの確認をして一階に降りていく。
【ステータス】
名前 ヴァイト
STR 49 +2
DEX 49
VIT 10
AGI 100
INT 50 +40
MND 60
【職業】
♦︎一般職
ウェイター9 +1
事務員6 +1
販売員6 +1
♦︎戦闘職
剣士9 +1
魔法使い8 +1
弓使い6 +1
斥候5 +1
聖職者3 +1
♦︎生産職
料理人9 +1
解体師8 +1
武器職人7 +1
防具職人5 +1
魔法工匠4 +1
薬師1 +1
昨日記憶力のなさを痛感したため、INTに40ポイント振っておいた。
そのうちVITが必要になるタイミングがありそうだが、今は何に関わっているのかわからない。
頑丈になるって意味があるのだろうか。
テーブルには酒とつまみの残りが置いてあった。
店の営業をしないため、バビットも遅くまで起きていたのだろう。
それにしてもいつもなら賑わっているのに、外が異様な静けさに包まれている。
ボイコットするだけで、ここまで変化があるのだろうか。
俺は外に出てみると、今まで見ていた景色とは全く異なっていて驚いた。
歩いているのは勇者と思われる人達だけだった。
ほとんどの人が家の中で過ごしているのだろう。
昨日、野菜店の女性が怖い目に遭っているのを目撃している人も多いため、拍車がかかっている気がした。
「あのー、ちょっと良いですか?」
突然声をかけられて俺はびっくりした。
店から少しだけ顔を出しているだけなのに、よく気づいたな。
「驚かせてすみません」
「この間声をかけてきた人ですよね?」
「あの時は町の案内をしていただき助かりました」
声をかけてきたのは、勇者が来た初日に町を案内した男性勇者だ。
その後ろにも男女一人ずつ勇者がいる。
「少し聞きたいことがあって……お時間良いですか?」
「どうしました?」
「今日っておやすみかメンテナンスとかですか?」
俺は言われていることがわからず首を傾げる。
おやすみかと言われたらおやすみだ。
メンテナンスって調整とかの意味だよな?
特に何か調整している様子はない。
みんながしているのはボイコットだからな。
「ほら、やっぱりNPCにはわからないんだよ!」
「そんなこと言っても緊急クエストが出てるじゃないの!」
後ろにいる勇者は何か言い合いをしていた。
男の勇者に関しては、口調も悪いため警戒を強める。
「ああ、後ろのバカがすみません」
「おい、バカって言うなよ!」
「バカだから仕方ないでしょ!」
勇者の三人は仲が良いのだろう。
後ろの男性に関しては、どことなく俺もバカなやつに見える。
これもINTが上がった影響だろうか。
「おやすみというのか、町の人達があなた達勇者を警戒しているのはたしかですね」
「へっ!?」
俺の言葉に三人は驚いていた。
今までの町の状況を見て、そう思わなかったことに逆に俺は驚いてしまう。
「俺達が何かしたってことですか?」
「あなた達を責めているというよりは、勇者たちの行い全てが影響していますね」
「それってどういうことですか?」
「商店街、商業街、生産街は基本的にギルドに所属しています。町に住む人達に暴言や暴力をしていたら、仕方ないと思いますよ」
「僕達が外で魔物と戦っている時にそんなことがあったのか」
「それなら怒るのも仕方ないわな」
自分達の現状に納得したのだろう。
勇者全てが悪いわけではない。
ナコはユリスと楽しそうに薬師見習いとして働いている。
そもそも目の前の人達も含め、初めから勇者達は選択を間違えていたような気がする。
ジェイドやエリックも師弟関係について説明したと言っていたからな。
話を最後まで聞かずに、自分勝手に行動した結果が今だろう。
「じゃあ、俺も行くところがある――」
俺はデイリークエストのために、冒険者ギルドに行こうとしたら勇者に止められた。
「お願いします! 何かみなさんとの関係を修復する方法を知りませんか。少しだけでもヒントをもらえるだけで良いんです」
それは自分達で考えろと言いたい。
俺は昨日被害に遭ったばかりだからな。だが、しっかり腕を掴まれたら振り払うのもしづらい。
俺はせっかくINTに振った頭をフル回転させて考えた。
ひょっとしたら勇者達が行動を改めたら、俺のバイトニストとして活動ができるかもしれない。
せっかく元気な体を手に入れたのに、何も予定がないとつまらないのはたしかだ。
「それなら冒険者ギルドに行くので、手がかりが欲しいなら付いてきてください」
俺の言葉に話しかけてきた勇者は嬉しそうな顔をしていた。
見た目は俺よりも年上だが、どこか近所で飼っていたゴールデンレトリバーに似ているような気がした。
だが、俺は肝心なことを忘れていた。
修復するって何をさせれば良いんだ……。
とりあえず俺と一緒に過ごさせれば良いのか?
社畜道の世界にようこそ!
「なんか寒気がしないか?」
「バカでも風邪を引くんだね」
「おいコラ!」
勇者達は冒険者ギルドに行くだけでも騒がしかった。
「おう、おかえり!」
工房の作業が終わり、家に帰るとなぜかバビットは椅子に座って休憩していた。
「夜の営業準備はしなくても大丈夫ですか?」
普段ならこの時間は営業準備に追われている。
それなのに看板も片付けて、閉店後の状態になっていた。
「ああ、今日の夜から数日商店街、商業街、生産街は働かないことになった」
「うぇ!?」
「勇者達の態度が気に食わないから、この町全体でボイコットすることにしたらしい」
俺はそれを聞いて頭が真っ白になっていた。
ボイコット……?
それは俺が職業体験できないってことだろ?
時間効率重視にしていたのに、休みになったら何も出来ないじゃないか。
「いや、さすがにボイコットまでは……」
「もうギルドが決めたことなんだ」
「まじかよ……」
どうやら町に住む人達が、各ギルドに多くのクレームを入れたようだ。
その結果、ギルド含めて数日だけボイコットすることなった。
その数日で違う町に行くか、態度を改めると思っているのだろう。
あの感じだと全くそんな様子はないけどな。
一般職は無理でも、戦闘職や生産職を中心にデイリークエストを受けることになるだろう。
あとは新しい職業体験できる場所を探すことを中心にやっていくことにした。
翌日、いつものようにステータスの確認をして一階に降りていく。
【ステータス】
名前 ヴァイト
STR 49 +2
DEX 49
VIT 10
AGI 100
INT 50 +40
MND 60
【職業】
♦︎一般職
ウェイター9 +1
事務員6 +1
販売員6 +1
♦︎戦闘職
剣士9 +1
魔法使い8 +1
弓使い6 +1
斥候5 +1
聖職者3 +1
♦︎生産職
料理人9 +1
解体師8 +1
武器職人7 +1
防具職人5 +1
魔法工匠4 +1
薬師1 +1
昨日記憶力のなさを痛感したため、INTに40ポイント振っておいた。
そのうちVITが必要になるタイミングがありそうだが、今は何に関わっているのかわからない。
頑丈になるって意味があるのだろうか。
テーブルには酒とつまみの残りが置いてあった。
店の営業をしないため、バビットも遅くまで起きていたのだろう。
それにしてもいつもなら賑わっているのに、外が異様な静けさに包まれている。
ボイコットするだけで、ここまで変化があるのだろうか。
俺は外に出てみると、今まで見ていた景色とは全く異なっていて驚いた。
歩いているのは勇者と思われる人達だけだった。
ほとんどの人が家の中で過ごしているのだろう。
昨日、野菜店の女性が怖い目に遭っているのを目撃している人も多いため、拍車がかかっている気がした。
「あのー、ちょっと良いですか?」
突然声をかけられて俺はびっくりした。
店から少しだけ顔を出しているだけなのに、よく気づいたな。
「驚かせてすみません」
「この間声をかけてきた人ですよね?」
「あの時は町の案内をしていただき助かりました」
声をかけてきたのは、勇者が来た初日に町を案内した男性勇者だ。
その後ろにも男女一人ずつ勇者がいる。
「少し聞きたいことがあって……お時間良いですか?」
「どうしました?」
「今日っておやすみかメンテナンスとかですか?」
俺は言われていることがわからず首を傾げる。
おやすみかと言われたらおやすみだ。
メンテナンスって調整とかの意味だよな?
特に何か調整している様子はない。
みんながしているのはボイコットだからな。
「ほら、やっぱりNPCにはわからないんだよ!」
「そんなこと言っても緊急クエストが出てるじゃないの!」
後ろにいる勇者は何か言い合いをしていた。
男の勇者に関しては、口調も悪いため警戒を強める。
「ああ、後ろのバカがすみません」
「おい、バカって言うなよ!」
「バカだから仕方ないでしょ!」
勇者の三人は仲が良いのだろう。
後ろの男性に関しては、どことなく俺もバカなやつに見える。
これもINTが上がった影響だろうか。
「おやすみというのか、町の人達があなた達勇者を警戒しているのはたしかですね」
「へっ!?」
俺の言葉に三人は驚いていた。
今までの町の状況を見て、そう思わなかったことに逆に俺は驚いてしまう。
「俺達が何かしたってことですか?」
「あなた達を責めているというよりは、勇者たちの行い全てが影響していますね」
「それってどういうことですか?」
「商店街、商業街、生産街は基本的にギルドに所属しています。町に住む人達に暴言や暴力をしていたら、仕方ないと思いますよ」
「僕達が外で魔物と戦っている時にそんなことがあったのか」
「それなら怒るのも仕方ないわな」
自分達の現状に納得したのだろう。
勇者全てが悪いわけではない。
ナコはユリスと楽しそうに薬師見習いとして働いている。
そもそも目の前の人達も含め、初めから勇者達は選択を間違えていたような気がする。
ジェイドやエリックも師弟関係について説明したと言っていたからな。
話を最後まで聞かずに、自分勝手に行動した結果が今だろう。
「じゃあ、俺も行くところがある――」
俺はデイリークエストのために、冒険者ギルドに行こうとしたら勇者に止められた。
「お願いします! 何かみなさんとの関係を修復する方法を知りませんか。少しだけでもヒントをもらえるだけで良いんです」
それは自分達で考えろと言いたい。
俺は昨日被害に遭ったばかりだからな。だが、しっかり腕を掴まれたら振り払うのもしづらい。
俺はせっかくINTに振った頭をフル回転させて考えた。
ひょっとしたら勇者達が行動を改めたら、俺のバイトニストとして活動ができるかもしれない。
せっかく元気な体を手に入れたのに、何も予定がないとつまらないのはたしかだ。
「それなら冒険者ギルドに行くので、手がかりが欲しいなら付いてきてください」
俺の言葉に話しかけてきた勇者は嬉しそうな顔をしていた。
見た目は俺よりも年上だが、どこか近所で飼っていたゴールデンレトリバーに似ているような気がした。
だが、俺は肝心なことを忘れていた。
修復するって何をさせれば良いんだ……。
とりあえず俺と一緒に過ごさせれば良いのか?
社畜道の世界にようこそ!
「なんか寒気がしないか?」
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「おいコラ!」
勇者達は冒険者ギルドに行くだけでも騒がしかった。
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