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43.騎士、楽しいひととき ※マービン視点
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「アリサ、仕事に行ってくる」
「ええ、気をつけてね」
「パパも頑張ってね!」
「ああ、コーナーもママのことを守るんだぞ!」
「うん!」
息子の頭を撫でて仕事に向かう。
俺は王都にある第二騎士団で働く、ただの農民出身の男だ。
幸いスキルに恵まれた影響か喧嘩だけは強く、そのまま親に騎士団を勧められて、スルスルと騎士になってしまった。
最初は騎士なんて訳のわからない仕事をしたくなかったが、第二騎士団は平民を守る仕事のため俺にとっては合っていた。
貴族の護衛なんて俺にはできないからな。
「よっ、シュバルツ元気にしていたか」
俺は騎士団の厩舎にいる相棒に声をかけた。
『ヒヒン!』
シュバルツは暇だったのか、俺にスリスリして甘えてくる。
騎士団に所属して成果を残すと馬が与えられる。
シュバルツはその時からの相棒だ。
いつもこいつと一緒に戦ってきた。
って言っても第二騎士団の功績ってほとんどが魔物の討伐ばかりだ。
冒険者が王都外の魔物の討伐、第二騎士団が平民を守るために王都内に入った魔物を討伐する仕事が多い。
それ以外は他の町にいる警備隊と特に仕事は変わらないからな。
ただ、王都では警備隊が第二騎士団と言ってもおかしくない。
なぜ王都だけそんな特別なことをしたのか、貴族の考えは農民育ちの俺には知るはずもない。
「今日も見回りに行くか」
『ヒヒン!』
俺はシュバルツに跨り、平民が住む平民街へ向かう。
「よっ、マービン元気か!」
「おっさん、それ昨日も聞いたぞ」
「ははは、これ家族のために持っていけ」
「いつも助かる!」
俺は平民街の見回りをしていると、町の人達から果実をもらった。
俺の手にはたくさんの荷物が握られていた。
すでにたくさんの人から肉やら野菜をもらっている。
「しゅばるちゅー!」
『ヒヒン!』
シュバルツも子ども達にチヤホヤされて嬉しそうだ。
俺は第二騎士団の中でも好かれている方だと思う。
まぁ、簡単に言えば騎士らしくないってのもあるだろうからな。
第二騎士団の中には貴族出身のやつらも多い。
そいつらは平民達を見下して、守ろうともしないからな。
国のお金で生活している俺達は王都に住む人達が稼いだお金で生きていられる。
お互いに助け合っている関係だ。
それもわからないから、みんなに嫌われているのだろう。
「シュバルツ、一旦帰るか」
『ヒヒン!』
さすがに荷物を貰いすぎた俺は一度家に帰ることにした。
妻の様子も気になるからな。
「アリサ大丈夫か?」
「ええ、お腹の中の子が元気で大変だわ」
妻のアリサは今第二子を身籠もっている。
元気だってことはそろそろ生まれてくるのだろう。
お腹を蹴られて大変だって嬉しそうに笑っていた。
「野菜や肉をもらったぞ」
「みんな優しいわね」
食べ物をくれるのは、妻があまり動けないことを町の人達が気遣ってくれていることもあった。
それだけ俺達はみんなから支えられて生きてきた。
「コーナーはママを守っていたか?」
「うん! 早くパパみたいになるもん!」
コーナーは俺が作った木剣を持って素振りの練習をしていた。
来年で5歳になるから、騎士になるためのスキルを授かるために頑張っているらしい。
俺のどこを見て騎士になりたいのかさっぱりだな。
「じゃあ、俺は仕事に戻るからな」
コーナーの頭を撫でると嬉しそうに笑っていた。
ただ、これが家族と話す最後の機会になるとはこの時俺は思いもしなかった。
「ええ、気をつけてね」
「パパも頑張ってね!」
「ああ、コーナーもママのことを守るんだぞ!」
「うん!」
息子の頭を撫でて仕事に向かう。
俺は王都にある第二騎士団で働く、ただの農民出身の男だ。
幸いスキルに恵まれた影響か喧嘩だけは強く、そのまま親に騎士団を勧められて、スルスルと騎士になってしまった。
最初は騎士なんて訳のわからない仕事をしたくなかったが、第二騎士団は平民を守る仕事のため俺にとっては合っていた。
貴族の護衛なんて俺にはできないからな。
「よっ、シュバルツ元気にしていたか」
俺は騎士団の厩舎にいる相棒に声をかけた。
『ヒヒン!』
シュバルツは暇だったのか、俺にスリスリして甘えてくる。
騎士団に所属して成果を残すと馬が与えられる。
シュバルツはその時からの相棒だ。
いつもこいつと一緒に戦ってきた。
って言っても第二騎士団の功績ってほとんどが魔物の討伐ばかりだ。
冒険者が王都外の魔物の討伐、第二騎士団が平民を守るために王都内に入った魔物を討伐する仕事が多い。
それ以外は他の町にいる警備隊と特に仕事は変わらないからな。
ただ、王都では警備隊が第二騎士団と言ってもおかしくない。
なぜ王都だけそんな特別なことをしたのか、貴族の考えは農民育ちの俺には知るはずもない。
「今日も見回りに行くか」
『ヒヒン!』
俺はシュバルツに跨り、平民が住む平民街へ向かう。
「よっ、マービン元気か!」
「おっさん、それ昨日も聞いたぞ」
「ははは、これ家族のために持っていけ」
「いつも助かる!」
俺は平民街の見回りをしていると、町の人達から果実をもらった。
俺の手にはたくさんの荷物が握られていた。
すでにたくさんの人から肉やら野菜をもらっている。
「しゅばるちゅー!」
『ヒヒン!』
シュバルツも子ども達にチヤホヤされて嬉しそうだ。
俺は第二騎士団の中でも好かれている方だと思う。
まぁ、簡単に言えば騎士らしくないってのもあるだろうからな。
第二騎士団の中には貴族出身のやつらも多い。
そいつらは平民達を見下して、守ろうともしないからな。
国のお金で生活している俺達は王都に住む人達が稼いだお金で生きていられる。
お互いに助け合っている関係だ。
それもわからないから、みんなに嫌われているのだろう。
「シュバルツ、一旦帰るか」
『ヒヒン!』
さすがに荷物を貰いすぎた俺は一度家に帰ることにした。
妻の様子も気になるからな。
「アリサ大丈夫か?」
「ええ、お腹の中の子が元気で大変だわ」
妻のアリサは今第二子を身籠もっている。
元気だってことはそろそろ生まれてくるのだろう。
お腹を蹴られて大変だって嬉しそうに笑っていた。
「野菜や肉をもらったぞ」
「みんな優しいわね」
食べ物をくれるのは、妻があまり動けないことを町の人達が気遣ってくれていることもあった。
それだけ俺達はみんなから支えられて生きてきた。
「コーナーはママを守っていたか?」
「うん! 早くパパみたいになるもん!」
コーナーは俺が作った木剣を持って素振りの練習をしていた。
来年で5歳になるから、騎士になるためのスキルを授かるために頑張っているらしい。
俺のどこを見て騎士になりたいのかさっぱりだな。
「じゃあ、俺は仕事に戻るからな」
コーナーの頭を撫でると嬉しそうに笑っていた。
ただ、これが家族と話す最後の機会になるとはこの時俺は思いもしなかった。
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