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第二章 地下の畑はダンジョンです
68.ホテルマン、雨やどりをする
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「お前達ちゃんと準備できたか?」
「ううん、ふくがわすれてるよ」
「ああ、ほんとだな」
俺はシルに言われてすぐにある物を取りに行く。
今日は花流し当日であり、夕方から川に行く予定がある。
「一番大事な物を忘れたら何しに行くんだよ」
「ふくはダメダメだからな」
みんなから散々な言われようだが、忘れていたのは俺だから仕方ない。
ここから川まで距離があるため、早めに町に行って少し時間を潰す予定だ。
「サラは大丈夫かしら?」
「川に行くって言ったら元気なくなったもんね」
サラにとったら川はあまり良い印象がないのだろう。
ずっと一人で過ごしていたと言っていたから、また川で一人になると思っているのかな?
荷物をまとめた俺達は早速車に乗って、町に向かっていく。
ちなみに今日の運転は矢吹がすることになっている。
この間、事故が起きそうになってから、俺に運転させるのは危ないって思われているからな。
「外が曇ってきたな」
「今日の予報って晴れのはずだよね」
スマホで天気予報を確認したが、やはり今日は晴れの予報だった。
「気象レーダーで確認しても、雨雲とかは特にないけどね」
薄気味悪い空模様がどこか俺達の心を不安にさせていく。
今回は鳥居は見つけられなかったが、町に降りた時にはポツポツと雨が降ってきてしまった。
「このままだと花流しってないよな?」
「えー、せっかくもってきたのに……」
「さすがに雨が降った川に近づくのって危ないからね」
シルは花流しができないことに落ち込んではいるものの、説明をしたら納得はしていた。
「せっかく来たからどこかに寄って行こうか」
代わりにどこで時間を潰すか考えることにした。
「グラタン!」
「クリームソーダ!」
「アイスコーヒー!」
みんな喫茶店に行きたいのだろう。
ただ、サラの元気がないのが気になってしまう。
「サラが嫌ならやめるけど……」
「ううん、私も行くよ。まだ行ったこともないもんね」
そういえば、サラはまだ喫茶店に行ったことがない。
喫茶店の店主達に会うのもあの時以来だ。
あの日が初めて会ったことになるが、あんな姿を見せられたら少し会いづらいのは仕方ない。
「雨が止んだら花流しもできるかもしれないから、しばらくは待ってみようか」
少しの間、喫茶店で待って花流しができなければ、早めに家に帰ることにした。
そのまま川を越えて喫茶店に近づいたころには、普段と違う光景に驚いた。
駐車場にはたくさんの車が停めてある。
「やっぱり人気店だったんだね」
「民泊とは違うな」
隣で矢吹がクスクスと笑っている。
いつも喫茶店に行く時は少し時間が遅めだったのもあり、中が満席になっている光景を初めて見た。
席に座れるか外から覗いていると、扉が突然開いた。
「ケトちゃーん!」
中からは嬉しそうに紗奈ちゃんが出てきた。
「よっ! クリーム――」
いつものように話そうとしているところを俺は急いで抱きかかえる。
「呪うよ?」
「いやいや、他の人達もいるよ」
「ハァ!?」
喫茶店の店主と紗奈ちゃんはケトが話せると知ってはいるが、他のお客さんは知らない。
突然ネコが話し出したら、店の中はパニックになってしまう。
「ケトちゃんはネコちゃんだからね。わかった?」
「はーい」
「そこはにゃーいだよ?」
「にゃーい」
紗奈ちゃんにもそのことを伝えると、お互いに役者のように演じていた。
「兄ちゃん達もここに来たんだな」
「うっしー!」
喫茶店の中には牛島さんもいた。
すでに先に向かっていた牛島さんも雨宿りのために、喫茶店に来たらしい。
実は牛島さんもこの花流しの運営に携わっていることを、飾りを作っている時に聞いていた。
道具が簡単に揃えることができたのもそれが理由だ。
店内にいた人達も、ほとんどが運営に関わる人で少し安心した。
花流しの運営が近くにいたら、このまま決行するのかどうかもすぐにわかるからな。
「あっ、この間はありがとうございます」
声をかけてきたのは真心便利屋で会った彼だ。
「花流しはできますかね?」
「きっと集中豪雨みたいなものだからすぐに止むと思いますよ」
外を見ると雨足はだんだんと強くなってきていた。
「気象レーダーも雨の予報が書いてなくてびっくりしましたね」
「あー、山奥の方に住んでいたら、中々気象レーダーも反応しないらしいですからね」
どうやら観測しているレーダーから距離が遠かったり、山や建物で確認できないことはあると。
田舎に住むとこういうところが不便になるのだろう。
喫茶店の中で降り続く雨を見ながら、俺達は雨が止むのを待っていた。
「ううん、ふくがわすれてるよ」
「ああ、ほんとだな」
俺はシルに言われてすぐにある物を取りに行く。
今日は花流し当日であり、夕方から川に行く予定がある。
「一番大事な物を忘れたら何しに行くんだよ」
「ふくはダメダメだからな」
みんなから散々な言われようだが、忘れていたのは俺だから仕方ない。
ここから川まで距離があるため、早めに町に行って少し時間を潰す予定だ。
「サラは大丈夫かしら?」
「川に行くって言ったら元気なくなったもんね」
サラにとったら川はあまり良い印象がないのだろう。
ずっと一人で過ごしていたと言っていたから、また川で一人になると思っているのかな?
荷物をまとめた俺達は早速車に乗って、町に向かっていく。
ちなみに今日の運転は矢吹がすることになっている。
この間、事故が起きそうになってから、俺に運転させるのは危ないって思われているからな。
「外が曇ってきたな」
「今日の予報って晴れのはずだよね」
スマホで天気予報を確認したが、やはり今日は晴れの予報だった。
「気象レーダーで確認しても、雨雲とかは特にないけどね」
薄気味悪い空模様がどこか俺達の心を不安にさせていく。
今回は鳥居は見つけられなかったが、町に降りた時にはポツポツと雨が降ってきてしまった。
「このままだと花流しってないよな?」
「えー、せっかくもってきたのに……」
「さすがに雨が降った川に近づくのって危ないからね」
シルは花流しができないことに落ち込んではいるものの、説明をしたら納得はしていた。
「せっかく来たからどこかに寄って行こうか」
代わりにどこで時間を潰すか考えることにした。
「グラタン!」
「クリームソーダ!」
「アイスコーヒー!」
みんな喫茶店に行きたいのだろう。
ただ、サラの元気がないのが気になってしまう。
「サラが嫌ならやめるけど……」
「ううん、私も行くよ。まだ行ったこともないもんね」
そういえば、サラはまだ喫茶店に行ったことがない。
喫茶店の店主達に会うのもあの時以来だ。
あの日が初めて会ったことになるが、あんな姿を見せられたら少し会いづらいのは仕方ない。
「雨が止んだら花流しもできるかもしれないから、しばらくは待ってみようか」
少しの間、喫茶店で待って花流しができなければ、早めに家に帰ることにした。
そのまま川を越えて喫茶店に近づいたころには、普段と違う光景に驚いた。
駐車場にはたくさんの車が停めてある。
「やっぱり人気店だったんだね」
「民泊とは違うな」
隣で矢吹がクスクスと笑っている。
いつも喫茶店に行く時は少し時間が遅めだったのもあり、中が満席になっている光景を初めて見た。
席に座れるか外から覗いていると、扉が突然開いた。
「ケトちゃーん!」
中からは嬉しそうに紗奈ちゃんが出てきた。
「よっ! クリーム――」
いつものように話そうとしているところを俺は急いで抱きかかえる。
「呪うよ?」
「いやいや、他の人達もいるよ」
「ハァ!?」
喫茶店の店主と紗奈ちゃんはケトが話せると知ってはいるが、他のお客さんは知らない。
突然ネコが話し出したら、店の中はパニックになってしまう。
「ケトちゃんはネコちゃんだからね。わかった?」
「はーい」
「そこはにゃーいだよ?」
「にゃーい」
紗奈ちゃんにもそのことを伝えると、お互いに役者のように演じていた。
「兄ちゃん達もここに来たんだな」
「うっしー!」
喫茶店の中には牛島さんもいた。
すでに先に向かっていた牛島さんも雨宿りのために、喫茶店に来たらしい。
実は牛島さんもこの花流しの運営に携わっていることを、飾りを作っている時に聞いていた。
道具が簡単に揃えることができたのもそれが理由だ。
店内にいた人達も、ほとんどが運営に関わる人で少し安心した。
花流しの運営が近くにいたら、このまま決行するのかどうかもすぐにわかるからな。
「あっ、この間はありがとうございます」
声をかけてきたのは真心便利屋で会った彼だ。
「花流しはできますかね?」
「きっと集中豪雨みたいなものだからすぐに止むと思いますよ」
外を見ると雨足はだんだんと強くなってきていた。
「気象レーダーも雨の予報が書いてなくてびっくりしましたね」
「あー、山奥の方に住んでいたら、中々気象レーダーも反応しないらしいですからね」
どうやら観測しているレーダーから距離が遠かったり、山や建物で確認できないことはあると。
田舎に住むとこういうところが不便になるのだろう。
喫茶店の中で降り続く雨を見ながら、俺達は雨が止むのを待っていた。
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