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第二章 地下の畑はダンジョンです
47.ホテルマン、妖怪達は方向音痴
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「ふく、わかってる?」
「浮気はダメだよ?」
「みんな見てるんですからね?」
「私は猿じゃないです」
なぜか俺は真っ暗な洞窟の中で、妖怪達に怒られていた。
「えーっと、ごめんね」
サラだけが猿と間違えられたことに怒ってはいるのは理解できる。
ただ、他に関しては正直何で怒られているかわからない。
さっきの光景を目撃していなければ言い訳をしたが、あんなのを見せつけられたら謝るしか選択肢はない。
妖術って俺が思っているよりも危ない存在だった。
「あっ、ませきあるかな?」
「粉々になっちゃいましたからね……」
シル達は粉々になった謎のチンパンジーの元に駆け寄り何かを探していた。
ちゃんと謝ったら納得したのか、今はニコニコとしている。
「勘違いしているけどいいの?」
「あー、あいつらは寂しがりやだからな」
俺が穴の中に引きずり込まれた時は、慌ててシルがみんなを呼びにきたらしい。
初めは何を言っているのかわからず、地下の畑に着いていくとやっと俺がいなくなったことに気づいて、みんなで俺を探しにきたってことだ。
妖怪達にとっても俺は大事な存在になってきているのだろう。
「ふく、はい!」
遊ぶのをやめたのか、シルは何かを持って戻ってきた。
その手には見慣れた石が握られていた。
「これってツノうさぎと同じやつ?」
「ううん! いいやつ!」
畑に出てくるツノうさぎも血抜きをして、捌いた後に黒色の石が出てくる。
胆石か何かだと思っていたが、謎のチンパンジーにも同じような石が出てきたようだ。
世の中の動物達ってストレス社会で大変なんだろう。
ホテルで働いていた時の俺みたいだな。
「少し色が透けて綺麗だな」
色はツノうさぎと同じ黒色だが、光に照らすと中は澄んでおり、どことなく半透明な気がする。
「あいつらってツノうさぎと同じか?」
「そうだよ?」
「堂々と浮気していたのに今頃知ったの?」
「意外と常識がないようですね」
やはり妖怪達は少し根に持っているようだ。
ただ、これで畑に来ていたツノうさぎ以外にも、危ない動物がいることを知った。
さすがにあんなのが毎回畑にいたら、一生地下に降りれなくなりそうだ。
チンパンジーだと食べるのも抵抗があるから、処理にも困りそう。
――グゥー
お腹の音が洞窟内に響く。
シルの空腹も限界に達していそうだ。
「おなかすいたよー」
「じゃあ、帰ろうか」
俺達は迷子にならないように手を繋ぎながら帰ることにした。
洞窟の壁に手を触れながら歩いていく。
明かりの代わりに広間にあった光る石もちゃんと持ってきている。
「んー、こっちだったか?」
さっきまでは家に帰ろうとしていた。
だが、どれだけ歩いても洞窟は続いている。
「俺達が来たところって行き止まりだったよな?」
「ふく、さっきもここにきたよ?」
「へっ……?」
シルの言葉を聞いて、俺はどこか不安になってきた。
俺が洞窟に来た時は一本道を歩いて広間に着いた。
だから、来た道に戻れば良いと思ったがそうはいかなかった。
そもそも俺はどこから来たのだろうか。
引っ張られた時は宙に浮いていたから上から落ちてきたのか?
天井に石を向けてみるが、暗くてよく見えない。
それにカサカサと何かが動いている気がしてなるべく上は見たくない。
シルが俺の服をビクビクしながら掴んでいるからな。
俺はケトやエルの方を見るが、首を横に振っていた。
「オイラもここがどこかわからないよ」
「これって迷子ってやつですね?」
どうやら俺達は我が家に帰ることができず、迷子になっていたようだ。
一本道で光っている広間まで歩いてたと思ったが、洞窟の中は入り込んでいるらしい。
俺も含めて料理ができないだけではなく、方向音痴ばかりが集まっていることを俺は知らなかった。
これも良い勉強になっただろう。
最悪シル達の妖術を使えば、あいつらに襲われても命はどうにかなりそうだからな。
どちらかといえば、真っ暗な場所に取り残された方が精神的におかしくなりそうだ。
それにスマホもないため、誰かを呼ぶことすらできない。
「やっぱりここは戻るしかないか」
結局俺達は再び広間に戻ることにした。
「浮気はダメだよ?」
「みんな見てるんですからね?」
「私は猿じゃないです」
なぜか俺は真っ暗な洞窟の中で、妖怪達に怒られていた。
「えーっと、ごめんね」
サラだけが猿と間違えられたことに怒ってはいるのは理解できる。
ただ、他に関しては正直何で怒られているかわからない。
さっきの光景を目撃していなければ言い訳をしたが、あんなのを見せつけられたら謝るしか選択肢はない。
妖術って俺が思っているよりも危ない存在だった。
「あっ、ませきあるかな?」
「粉々になっちゃいましたからね……」
シル達は粉々になった謎のチンパンジーの元に駆け寄り何かを探していた。
ちゃんと謝ったら納得したのか、今はニコニコとしている。
「勘違いしているけどいいの?」
「あー、あいつらは寂しがりやだからな」
俺が穴の中に引きずり込まれた時は、慌ててシルがみんなを呼びにきたらしい。
初めは何を言っているのかわからず、地下の畑に着いていくとやっと俺がいなくなったことに気づいて、みんなで俺を探しにきたってことだ。
妖怪達にとっても俺は大事な存在になってきているのだろう。
「ふく、はい!」
遊ぶのをやめたのか、シルは何かを持って戻ってきた。
その手には見慣れた石が握られていた。
「これってツノうさぎと同じやつ?」
「ううん! いいやつ!」
畑に出てくるツノうさぎも血抜きをして、捌いた後に黒色の石が出てくる。
胆石か何かだと思っていたが、謎のチンパンジーにも同じような石が出てきたようだ。
世の中の動物達ってストレス社会で大変なんだろう。
ホテルで働いていた時の俺みたいだな。
「少し色が透けて綺麗だな」
色はツノうさぎと同じ黒色だが、光に照らすと中は澄んでおり、どことなく半透明な気がする。
「あいつらってツノうさぎと同じか?」
「そうだよ?」
「堂々と浮気していたのに今頃知ったの?」
「意外と常識がないようですね」
やはり妖怪達は少し根に持っているようだ。
ただ、これで畑に来ていたツノうさぎ以外にも、危ない動物がいることを知った。
さすがにあんなのが毎回畑にいたら、一生地下に降りれなくなりそうだ。
チンパンジーだと食べるのも抵抗があるから、処理にも困りそう。
――グゥー
お腹の音が洞窟内に響く。
シルの空腹も限界に達していそうだ。
「おなかすいたよー」
「じゃあ、帰ろうか」
俺達は迷子にならないように手を繋ぎながら帰ることにした。
洞窟の壁に手を触れながら歩いていく。
明かりの代わりに広間にあった光る石もちゃんと持ってきている。
「んー、こっちだったか?」
さっきまでは家に帰ろうとしていた。
だが、どれだけ歩いても洞窟は続いている。
「俺達が来たところって行き止まりだったよな?」
「ふく、さっきもここにきたよ?」
「へっ……?」
シルの言葉を聞いて、俺はどこか不安になってきた。
俺が洞窟に来た時は一本道を歩いて広間に着いた。
だから、来た道に戻れば良いと思ったがそうはいかなかった。
そもそも俺はどこから来たのだろうか。
引っ張られた時は宙に浮いていたから上から落ちてきたのか?
天井に石を向けてみるが、暗くてよく見えない。
それにカサカサと何かが動いている気がしてなるべく上は見たくない。
シルが俺の服をビクビクしながら掴んでいるからな。
俺はケトやエルの方を見るが、首を横に振っていた。
「オイラもここがどこかわからないよ」
「これって迷子ってやつですね?」
どうやら俺達は我が家に帰ることができず、迷子になっていたようだ。
一本道で光っている広間まで歩いてたと思ったが、洞窟の中は入り込んでいるらしい。
俺も含めて料理ができないだけではなく、方向音痴ばかりが集まっていることを俺は知らなかった。
これも良い勉強になっただろう。
最悪シル達の妖術を使えば、あいつらに襲われても命はどうにかなりそうだからな。
どちらかといえば、真っ暗な場所に取り残された方が精神的におかしくなりそうだ。
それにスマホもないため、誰かを呼ぶことすらできない。
「やっぱりここは戻るしかないか」
結局俺達は再び広間に戻ることにした。
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