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第一章 妖怪達と民泊を始めました
18.ホテルマン、ジビエに襲われる
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ピザの生地を寝かせている間にピザ窯で火の準備をしていく。
ケトが見ていない間に買ってきた薪や炭を配置して、その上から採ってきた木を載せていく。
さっきからジトっとした目で見てくるが、俺の体で隠しているから問題はないだろう。
「そろそろ生地ができたんじゃないか?」
木に火が着いたのを確認してから、俺達はピザ作りを再開する。
「ソースはトマトケチャップかトマトソースどっちが良さそうですか?」
「普通はトマトの方がいいんじゃないか?」
「じゃあ、持ってきますね」
「持ってくる……?」
ピザの生地は牛島さんに任せて、俺はピザに使うトマトを地下にある畑へ収穫に向かう。
「ピザをみんなで作るならソースの準備も必要なのか。それともみんなでソースを作るところからやった方が良いのか?」
民泊を始めたら何がメインになるのか考えないといけない。
文化や生活、周囲に何があるのかはわからない俺にとったら、民泊自体の良さが必要になってきそうだ。
農家民泊とか、その土地のイベントに合わせた民泊など個性的な民泊が注目を浴びている。
「今のところは景色が良い露天風呂とピザ窯と……座敷わらしがいるか」
この民泊の最大のウリはごく普通に座敷わらしが紛れて生活していることだろうか。あと猫又もいる。
ただ、お互いに幸運の足し引きをしている気もするが気にしないでおこう。
畑に着いた俺はトマトを何個か収穫していく。
――ガサガサ!
物音が聞こえて振り向くと、そこには体が黒色のうさぎがいた。
またシル達の仲間かと思ったが、うさぎの妖怪っているのだろうか。
なぜ妖怪だと思ったかって?
それは普通のうさぎとは違うからだ。
額に大きな角が生えていた。
「うわぁ!?」
俺がそのまま見ていると、突然うさぎが飛び上がり俺の元へ向かってきた。
咄嗟に避けると、うさぎの角はトマトに刺さり、枝に体が引っかかっている。
明らかに俺の心臓を狙って向かってきたのがすぐにわかった。
「ふくー?」
戻ってくるのが遅かったからか、シルが畑に降りてきた。
「シル、きちゃダメ!」
「なんで!」
俺の声に反応してシルが急いで降りてくる。
うさぎも角を抜き取れたのか、再び俺の方へ向かってきた。
凶暴なうさぎに困惑していると、横から手が伸びてきた。
「ふくをいじめない!」
その手はシルだった。
シルはうさぎを捕まえると、地面に強く叩きつけた。
あまりにも子どもがするような行動ではないと気づき、俺はシルを止めるが口からよだれが出ていることに気づいた。
「ジビエおいしい?」
どうやらこの畑にうさぎが出てくるのは日常茶飯事らしい。
風が吹いてない環境で野菜がどうやって地面に落ちるのかと疑問に思ったが、こういう動物によって落ちていたのだろう。
それにこの間、地面が赤くなっていたのはうさぎの血だったのかもしれないな。
俺を見かけて襲ってきたってことは縄張り意識も高そうだ。
農家民泊はやめて、ここには俺達家族しか入らない方が良さそうだな。
そんなことを思っていると、シルは慣れた手つきでうさぎを吊るして血抜きをしていた。
ポケットからナイフが出てきた時は、少しドキッとした。
「ひひひ」
不気味な笑みがさらに座敷わらしだったんだと認識させられる。
いや、あれは座敷わらしと関係あるのか?
ひょっとしたら悪い妖怪ばかりがいる民泊になるんじゃないかと少し心配になる。
「うさぎの捌き方は知っているの?」
「もちろん!」
うさぎはシルに任せれば良いのだろう。
ジビエが食べられる民泊って人を呼ぶ要素にもなりそうだ。
うん……。
その前に普通の料理ができるか心配だが、どうにかなるだろう。
「よし、ピザを作りに行こうか!」
「うん!」
我が家には座敷わらしや猫又だけではなく、角の生えたうさぎが出ることを知った。
いやー、変な動物じゃなくてよかったな。
それにうさぎって俺も食べたことないし、少し楽しみになってきた。
ケトが見ていない間に買ってきた薪や炭を配置して、その上から採ってきた木を載せていく。
さっきからジトっとした目で見てくるが、俺の体で隠しているから問題はないだろう。
「そろそろ生地ができたんじゃないか?」
木に火が着いたのを確認してから、俺達はピザ作りを再開する。
「ソースはトマトケチャップかトマトソースどっちが良さそうですか?」
「普通はトマトの方がいいんじゃないか?」
「じゃあ、持ってきますね」
「持ってくる……?」
ピザの生地は牛島さんに任せて、俺はピザに使うトマトを地下にある畑へ収穫に向かう。
「ピザをみんなで作るならソースの準備も必要なのか。それともみんなでソースを作るところからやった方が良いのか?」
民泊を始めたら何がメインになるのか考えないといけない。
文化や生活、周囲に何があるのかはわからない俺にとったら、民泊自体の良さが必要になってきそうだ。
農家民泊とか、その土地のイベントに合わせた民泊など個性的な民泊が注目を浴びている。
「今のところは景色が良い露天風呂とピザ窯と……座敷わらしがいるか」
この民泊の最大のウリはごく普通に座敷わらしが紛れて生活していることだろうか。あと猫又もいる。
ただ、お互いに幸運の足し引きをしている気もするが気にしないでおこう。
畑に着いた俺はトマトを何個か収穫していく。
――ガサガサ!
物音が聞こえて振り向くと、そこには体が黒色のうさぎがいた。
またシル達の仲間かと思ったが、うさぎの妖怪っているのだろうか。
なぜ妖怪だと思ったかって?
それは普通のうさぎとは違うからだ。
額に大きな角が生えていた。
「うわぁ!?」
俺がそのまま見ていると、突然うさぎが飛び上がり俺の元へ向かってきた。
咄嗟に避けると、うさぎの角はトマトに刺さり、枝に体が引っかかっている。
明らかに俺の心臓を狙って向かってきたのがすぐにわかった。
「ふくー?」
戻ってくるのが遅かったからか、シルが畑に降りてきた。
「シル、きちゃダメ!」
「なんで!」
俺の声に反応してシルが急いで降りてくる。
うさぎも角を抜き取れたのか、再び俺の方へ向かってきた。
凶暴なうさぎに困惑していると、横から手が伸びてきた。
「ふくをいじめない!」
その手はシルだった。
シルはうさぎを捕まえると、地面に強く叩きつけた。
あまりにも子どもがするような行動ではないと気づき、俺はシルを止めるが口からよだれが出ていることに気づいた。
「ジビエおいしい?」
どうやらこの畑にうさぎが出てくるのは日常茶飯事らしい。
風が吹いてない環境で野菜がどうやって地面に落ちるのかと疑問に思ったが、こういう動物によって落ちていたのだろう。
それにこの間、地面が赤くなっていたのはうさぎの血だったのかもしれないな。
俺を見かけて襲ってきたってことは縄張り意識も高そうだ。
農家民泊はやめて、ここには俺達家族しか入らない方が良さそうだな。
そんなことを思っていると、シルは慣れた手つきでうさぎを吊るして血抜きをしていた。
ポケットからナイフが出てきた時は、少しドキッとした。
「ひひひ」
不気味な笑みがさらに座敷わらしだったんだと認識させられる。
いや、あれは座敷わらしと関係あるのか?
ひょっとしたら悪い妖怪ばかりがいる民泊になるんじゃないかと少し心配になる。
「うさぎの捌き方は知っているの?」
「もちろん!」
うさぎはシルに任せれば良いのだろう。
ジビエが食べられる民泊って人を呼ぶ要素にもなりそうだ。
うん……。
その前に普通の料理ができるか心配だが、どうにかなるだろう。
「よし、ピザを作りに行こうか!」
「うん!」
我が家には座敷わらしや猫又だけではなく、角の生えたうさぎが出ることを知った。
いやー、変な動物じゃなくてよかったな。
それにうさぎって俺も食べたことないし、少し楽しみになってきた。
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