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第六章 辺境の島に国を作る
58.姫様、浮気相手の家に突撃する ※メアリー視点
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この島に来てから、女性が私だけしかいないことに気づいたら、城にいる時より心は軽くなった。恋の相談をするカマちゃんも乙女だから心配はない。
なのに、そんなアドル兄様はダンジョンで浮気をしていた。
体からフローラルな香水のような匂いがしたのだ。貴族夫人達のお茶会では、いつも夫の浮気にどうやって気づくかが話題になっている。
とても裕福だからこそ正式な側室であれば許すが、遊びだと許さないという夫人が多い。
もし子どもができた時に扱いに困ってしまうからだ。
基本的に側室は正室が決めた人しか許されない。第一夫人にはそれを選べる権限があるのだ。
それなのにアドル兄様は私に内緒で浮気をしていたのだ。
『そろそろ着くわよ』
カマちゃんの上に乗っている私は山の麓まで来ていた。確かに森の中ではない環境だからこそ、女性を隠すこともしやすそうだ。
それがダンジョンになれば尚更そう思うのだろう。
『あれ? ここのダンジョンってあの子がいるところかしら』
「カマちゃん知ってるの?」
『直接会ったことはないけど、友達がいるらしいのよ。乙女界って世間狭いのよ』
カマちゃんの知り合いが管理しているダンジョンなら、いざとなった時に対処しやすいだろう。
「みんなに迷惑かけてごめんね」
『仕方ないわよ! アドルきゅんもモテるから罪な男よね』
本当にアドル兄様は誰からもモテる。本人は自覚していないから良いが、気づいたら絶対に遊び人になるだろう。
しかも、性別関係なしにモテるから選ばなくても良い。
貴腐人会では別の意味でアドル兄様がモテてると聞いたことがある。
アドル兄様のような人が王になったら、一番上手く回りそうな気もするが、本人はそれを望んでいない。
レオン兄様はいつもアドル兄様を王にした方が良いとぼやいていたぐらいだ。
「それにしてもダンジョンなのに、トラップも魔物も見当たらないね」
ダンジョンといえばトラップか魔物で命を落とすと言われている。この島にあるダンジョンなら確実に死ぬ可能性が高いと思ったからカマちゃんと来たようなものだ。
それなのに何もないのは、やはりお兄様が行くために管理されているのだろうか。
『メアリーあそこに扉があるけどどうする?』
私はダンジョンにあるボス部屋の前に来た。安全地帯とも言われているボス部屋なら、女性がいるかもしれない。
最悪ここではなかったとしても、戦う準備をしていれば問題ない。これでも魔法神の申し子と呼ばれた私だ。
カマちゃんに比べたら弱いかもしれないけど、囮になる魔法ぐらい使える。
「お兄様を誑かしたアバズレはここか!」
勢いよく扉を開けるとそこには可愛い物に溢れていた。ダンジョンから現れた真逆の世界に困惑してしまう。
『あっ、お客さんが来たのにこんなことしてすみません』
お人形のような少女が人形を作っていた。どこから見てもアドル兄様を誑かすような人ではなさそうだ。
でも、そういう人に限って遊んでいる人も多いからね。私がしっかり品定めをしておく必要がある。
「あなたがアドルお兄様を誑かしたアバズレね?」
『アバズレですか? ぼくどこもズレてないですよ?』
うん、きっとこの子じゃない気がしてきた。しかも、自分のことをぼくって言っている。
『あら、あなたはダンジョンのカクレコね! この子も乙女仲間で男の娘なのよ!』
「あっ、そうなの?」
カマちゃんが言う乙女という言葉はいまいちわからないが、仲間なら特に心配することもなさそうだ。
むしろ、今までの発言を考えると私が失礼な人になってしまう。
「あああ、さっきはすみませんでした!」
急いで謝るとカクレコは特に気にしていないようだ。
私はアドルお兄様のことになると、興奮しちゃう癖を直さないといけないね。
すぐに血が頭に登って、相手を呪い殺したくなっちゃうの。
『よかったらお茶していきませんか? 美味しいみたらし団子を作ったんです』
テーブルに置かれたトロッとした見たこともない甘味に、私はすっかり怒っていたことも忘れてしまった。
絶対カクレコって良い子よ!
なのに、そんなアドル兄様はダンジョンで浮気をしていた。
体からフローラルな香水のような匂いがしたのだ。貴族夫人達のお茶会では、いつも夫の浮気にどうやって気づくかが話題になっている。
とても裕福だからこそ正式な側室であれば許すが、遊びだと許さないという夫人が多い。
もし子どもができた時に扱いに困ってしまうからだ。
基本的に側室は正室が決めた人しか許されない。第一夫人にはそれを選べる権限があるのだ。
それなのにアドル兄様は私に内緒で浮気をしていたのだ。
『そろそろ着くわよ』
カマちゃんの上に乗っている私は山の麓まで来ていた。確かに森の中ではない環境だからこそ、女性を隠すこともしやすそうだ。
それがダンジョンになれば尚更そう思うのだろう。
『あれ? ここのダンジョンってあの子がいるところかしら』
「カマちゃん知ってるの?」
『直接会ったことはないけど、友達がいるらしいのよ。乙女界って世間狭いのよ』
カマちゃんの知り合いが管理しているダンジョンなら、いざとなった時に対処しやすいだろう。
「みんなに迷惑かけてごめんね」
『仕方ないわよ! アドルきゅんもモテるから罪な男よね』
本当にアドル兄様は誰からもモテる。本人は自覚していないから良いが、気づいたら絶対に遊び人になるだろう。
しかも、性別関係なしにモテるから選ばなくても良い。
貴腐人会では別の意味でアドル兄様がモテてると聞いたことがある。
アドル兄様のような人が王になったら、一番上手く回りそうな気もするが、本人はそれを望んでいない。
レオン兄様はいつもアドル兄様を王にした方が良いとぼやいていたぐらいだ。
「それにしてもダンジョンなのに、トラップも魔物も見当たらないね」
ダンジョンといえばトラップか魔物で命を落とすと言われている。この島にあるダンジョンなら確実に死ぬ可能性が高いと思ったからカマちゃんと来たようなものだ。
それなのに何もないのは、やはりお兄様が行くために管理されているのだろうか。
『メアリーあそこに扉があるけどどうする?』
私はダンジョンにあるボス部屋の前に来た。安全地帯とも言われているボス部屋なら、女性がいるかもしれない。
最悪ここではなかったとしても、戦う準備をしていれば問題ない。これでも魔法神の申し子と呼ばれた私だ。
カマちゃんに比べたら弱いかもしれないけど、囮になる魔法ぐらい使える。
「お兄様を誑かしたアバズレはここか!」
勢いよく扉を開けるとそこには可愛い物に溢れていた。ダンジョンから現れた真逆の世界に困惑してしまう。
『あっ、お客さんが来たのにこんなことしてすみません』
お人形のような少女が人形を作っていた。どこから見てもアドル兄様を誑かすような人ではなさそうだ。
でも、そういう人に限って遊んでいる人も多いからね。私がしっかり品定めをしておく必要がある。
「あなたがアドルお兄様を誑かしたアバズレね?」
『アバズレですか? ぼくどこもズレてないですよ?』
うん、きっとこの子じゃない気がしてきた。しかも、自分のことをぼくって言っている。
『あら、あなたはダンジョンのカクレコね! この子も乙女仲間で男の娘なのよ!』
「あっ、そうなの?」
カマちゃんが言う乙女という言葉はいまいちわからないが、仲間なら特に心配することもなさそうだ。
むしろ、今までの発言を考えると私が失礼な人になってしまう。
「あああ、さっきはすみませんでした!」
急いで謝るとカクレコは特に気にしていないようだ。
私はアドルお兄様のことになると、興奮しちゃう癖を直さないといけないね。
すぐに血が頭に登って、相手を呪い殺したくなっちゃうの。
『よかったらお茶していきませんか? 美味しいみたらし団子を作ったんです』
テーブルに置かれたトロッとした見たこともない甘味に、私はすっかり怒っていたことも忘れてしまった。
絶対カクレコって良い子よ!
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