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第六章 辺境の島に国を作る
54.王子、ダンジョン探査をする
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「えっ? 今ダンジョンって言ったか?」
『はにゃ? ダンジョンって知ってるか?』
『いや、ワシも知らない』
どうやらコボスケ達はダンジョンを知らないらしい。
ダンジョンは突然できた迷宮で、中には魔物がたくさん棲息している。
ダンジョンには様々なトラップやボスと呼ばれる強敵な魔物が存在しており、倒すとアイテムをドロップする。
倒した魔物は勝手にダンジョンに吸収され消えていくため、片付ける心配もない便利な場所でもある。
アイテムを売って生活する人達もいるぐらい、別名"資材の宝庫"と言われている。
「ダンジョンに来たからには、生活に必要な資材を手に入れることができるってことか」
僕達が生活に使っている鍋や武器なども、ダンジョンから手に入れる鉄などが使われている。
壁には鉄が埋まっていたり、魔物からは兄のアーサーが作った魔道具のエネルギー源である魔石も簡単に手に入れることができる。
ちなみにこの間倒したエルダートレントの魔石は家の中に飾ってある。
せっかくだからお爺ちゃんの遺影として忘れないようにしている。
本音は魔石の使い道なんて僕には知らないからね。
『ここは拙者の出番ですね』
『ワシも負けないぞ!』
コボスケとヒツジは様々な資材が手に入ると教えたら、勢いよく探しに行った。
ん?
ちょっと待てよ。
ダンジョンに僕は一人で残されたら生きていける気がしないぞ。
僕は急いでコボスケ達を追いかける。戦う才能がない僕がダンジョンに残されたら命取りだ。
フィンガーフリックも一日に数発しか使えない。
そもそも一緒に行動すると思い、説明しながらだいぶ奥まで進んでしまったのだ。一人で帰ることもできない。
「おい、ちょっとお前ら待てよ!」
僕はダンジョンを一人で移動することになった。
ただ、あいつらってフェンリルと白虎だから二足走行でもめちゃくちゃ速いんだよな……。
♢
「おーい、お前達どこに行ったんだー?」
ダンジョンは思ったよりも魔物は出現せず、トラップも見当たらなかった。コボスケ達が今頃トラップに引っかかりながらも魔物を倒しているのだろう。
そうじゃないと明らかに何も出てこないのがおかしい。
ただ、今はそんなことよりも重要なことがある。
それは――。
「ここはどこなんだよー!」
僕は迷子になっていた。しっかりと目印をつけながら歩いていたはずが、その目印までどこにつけたのか忘れてしまった。
基本的に地面や壁に書いていたはずなのに、どこにも見当たらないのだ。
途方に暮れていたら、曲がり角を見つけた。
「本当にあいつらどこに行った……」
そのまま角を曲がるとそこには突然扉が現れた。
「ボス部屋か」
きっとこれがボス部屋と言われているところなんだろう。
ダンジョンには様々な地形が存在しており、昔から有名なダンジョンは階層毎に環境が異なると言われている。
その階層を移動するときに存在するのが、ボス部屋と言われる次の階層を守護する魔物だ。
普通の魔物よりもドロップ品が高価で価値が高いため、たくさんのパーティーでチームを組んでボス討伐に当たると言われている。
僕はその場で引き返そうとしたが、ダンジョンを知らないコボスケ達がボス部屋に入った可能性も捨てきれないでいた。
角を曲がったところにあるからここに来る可能性も高い。
最強種であるあいつらならあっさりボスを倒して、違う階層にいたら見つけられるはずがない。
ボス部屋は基本的に無機質で何もない空間と言われている。そのため休憩するにも丁度良いだろう。
何かに怯えなくて待てるなら、そこでコボスケ達を待てばいいだけだ。
一度入ったらボスを倒すまで出れないと言われているボス部屋。
少しだけ覗いて、まだボスがいたらすぐに閉じればいいだけだ。
中に入らなければ良い。
僕はゆっくりと扉を開けて中を覗く。
『えっ?』
「あっ?」
僕はダンジョンの中にいるやつと目が合ってしまった。
『お風呂場を覗くなんて変態! スケベ! エッチ!』
ボス部屋の中には体を洗っている女性がいた。
『はにゃ? ダンジョンって知ってるか?』
『いや、ワシも知らない』
どうやらコボスケ達はダンジョンを知らないらしい。
ダンジョンは突然できた迷宮で、中には魔物がたくさん棲息している。
ダンジョンには様々なトラップやボスと呼ばれる強敵な魔物が存在しており、倒すとアイテムをドロップする。
倒した魔物は勝手にダンジョンに吸収され消えていくため、片付ける心配もない便利な場所でもある。
アイテムを売って生活する人達もいるぐらい、別名"資材の宝庫"と言われている。
「ダンジョンに来たからには、生活に必要な資材を手に入れることができるってことか」
僕達が生活に使っている鍋や武器なども、ダンジョンから手に入れる鉄などが使われている。
壁には鉄が埋まっていたり、魔物からは兄のアーサーが作った魔道具のエネルギー源である魔石も簡単に手に入れることができる。
ちなみにこの間倒したエルダートレントの魔石は家の中に飾ってある。
せっかくだからお爺ちゃんの遺影として忘れないようにしている。
本音は魔石の使い道なんて僕には知らないからね。
『ここは拙者の出番ですね』
『ワシも負けないぞ!』
コボスケとヒツジは様々な資材が手に入ると教えたら、勢いよく探しに行った。
ん?
ちょっと待てよ。
ダンジョンに僕は一人で残されたら生きていける気がしないぞ。
僕は急いでコボスケ達を追いかける。戦う才能がない僕がダンジョンに残されたら命取りだ。
フィンガーフリックも一日に数発しか使えない。
そもそも一緒に行動すると思い、説明しながらだいぶ奥まで進んでしまったのだ。一人で帰ることもできない。
「おい、ちょっとお前ら待てよ!」
僕はダンジョンを一人で移動することになった。
ただ、あいつらってフェンリルと白虎だから二足走行でもめちゃくちゃ速いんだよな……。
♢
「おーい、お前達どこに行ったんだー?」
ダンジョンは思ったよりも魔物は出現せず、トラップも見当たらなかった。コボスケ達が今頃トラップに引っかかりながらも魔物を倒しているのだろう。
そうじゃないと明らかに何も出てこないのがおかしい。
ただ、今はそんなことよりも重要なことがある。
それは――。
「ここはどこなんだよー!」
僕は迷子になっていた。しっかりと目印をつけながら歩いていたはずが、その目印までどこにつけたのか忘れてしまった。
基本的に地面や壁に書いていたはずなのに、どこにも見当たらないのだ。
途方に暮れていたら、曲がり角を見つけた。
「本当にあいつらどこに行った……」
そのまま角を曲がるとそこには突然扉が現れた。
「ボス部屋か」
きっとこれがボス部屋と言われているところなんだろう。
ダンジョンには様々な地形が存在しており、昔から有名なダンジョンは階層毎に環境が異なると言われている。
その階層を移動するときに存在するのが、ボス部屋と言われる次の階層を守護する魔物だ。
普通の魔物よりもドロップ品が高価で価値が高いため、たくさんのパーティーでチームを組んでボス討伐に当たると言われている。
僕はその場で引き返そうとしたが、ダンジョンを知らないコボスケ達がボス部屋に入った可能性も捨てきれないでいた。
角を曲がったところにあるからここに来る可能性も高い。
最強種であるあいつらならあっさりボスを倒して、違う階層にいたら見つけられるはずがない。
ボス部屋は基本的に無機質で何もない空間と言われている。そのため休憩するにも丁度良いだろう。
何かに怯えなくて待てるなら、そこでコボスケ達を待てばいいだけだ。
一度入ったらボスを倒すまで出れないと言われているボス部屋。
少しだけ覗いて、まだボスがいたらすぐに閉じればいいだけだ。
中に入らなければ良い。
僕はゆっくりと扉を開けて中を覗く。
『えっ?』
「あっ?」
僕はダンジョンの中にいるやつと目が合ってしまった。
『お風呂場を覗くなんて変態! スケベ! エッチ!』
ボス部屋の中には体を洗っている女性がいた。
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