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第六章 辺境の島に国を作る
49.王子、今頃自己紹介をする
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「えっ、お兄様ってそんなに強かったんですか?」
フィンガーフリックに驚いたメアリーは自分の指と僕の指を交互に見ていた。
「僕が唯一戦えるのはこれしかないからね?」
実際に一回使っただけで、倦怠感に襲われてしまう。それだけ諸刃の剣に近い物理魔法だ。
物理なのか、魔法なのかもはっきりしない。
「でもエルダートレントの体がバキバキ言ってたよ?」
せっかく家の柱にでも使ってやろうと思ったのに、ボロボロになっていたら使えないだろうな。
『アドルー! あいつ死んでいたぞ!』
飛んで行ったと思われる場所にコボスケとヒツジはすぐに向かっていた。その手にはたくさんの木と翡翠色の魔石を手にしている。
どうやら僕はエルダートレントを倒したようだ。
きっとダメージが蓄積していたのだろう。
「ひょっとしたら私達の中で、お兄様が一番強かったんじゃない? フェンリルと白虎がビビる――」
「シー! あいつらフェンリルと白虎って気づいてないんだよ!」
メアリーの口を急いで閉じる。僕の言葉を聞いて、大きく目を見開いている。確かに一度も自己紹介をしていないため、何の魔物かもわかっていないだろう。
『そんなに近くてどうしたんだ?』
コボスケは僕とメアリーの間に入ってきた。
ヒツジも尻尾を入れて僕とメアリーの間に壁を作っている。
「いや、そういえば自己紹介をしていないって話になってね?」
僕の言葉に反応してメアリーは頷く。さすが空気を読める妹だ。
一度メアリーのために自己紹介をすることになった。
『じゃあ、拙者からだな! 拙者はコボルトだ』
はい、勘違い一人目です。メアリーもそう思っているのだろう。僕の方をチラチラと見ている。
『ワシはケットシーだ!』
はい、勘違い二人目です。師匠だからか少しショックが大きそう。師匠がボケているって、弟子としては一番見たくない姿だろう。
『オラ達はコウモリだよ!』
はい、勘違い集団発見です。
どこから見てもフェニックスなのはすぐにわかる。メアリーはすでにお腹いっぱいになったのだろう。助けが欲しくてこっちを見ている。
だが、まだまだ個性に溢れる仲間達が存在している。
『私は魚です』
はい、どこから見ても魚ではないです。一番の嘘つきがここにいます。
「いやいや、リザードマンだろ」
「いやいや、ドラゴニュートだよ」
「えっ?」
「えっ?」
僕はメアリーと顔を見合わせる。二人で何の種族か討論会が始まる。
メアリーは体の大きさと背中を見てドラゴニュートだと思ったらしい。確かに背中の鱗に紛れて小さな羽が折りたたまれていた。
ドラゴニュートとリザードマンではだいぶ異なった存在だ。
ドラゴニュートはドラゴンの力を宿していると言われている。火を吐いて魚を食べるところを見たことがあるため、ドラゴンよりドラゴニュートの可能性が高いのかもしれない。
よって話し合いの結果、魚はドラゴニュートとなった。
『次はオイラの番だね。えーっとモグラだよ?』
ここにも勘違いしているやつがいました。自分でも少しモグラなのか疑問に思っているのではないか。
君は立派なアースドラゴンだ。少し体に苔が生えているけどね。
『吾輩はモモンガです』
うん、ここまできたら何でも良くなるよね?
僕もずっとそんな気持ちだった。何が現れても受け入れられる体制ができるからね。
ちなみに尻尾が本体だと伝えると、メアリーはすごく驚いていた。
コカトリスの中で尻尾が本体なのは、ごく稀にしかいないらしい。過去の歴史でも数体しか存在しないと。
そのコカトリスがここではモモンガって言っているから変わった島だよね。
『最後に私よ! 私は乙女よ!』
うん、なぜか一番しっくりくるのがカマバックだ。その言葉を聞いて安心してしまう。
「やっぱりお前は博学で安心するわ」
「いやいや、お兄様? あの方は乙女だけど、アラクネですよ? 蜘蛛型魔物の最強種です」
最強種ってこの世に存在したらいけないと言われている存在だ。
その最強種が僕の目の前で、鼻歌を歌いながらみんなの服を編んでいる。
ちなみにフェンリルと白虎も最強種に当たるらしい。ただの強い魔物と思っていたが、存在してはいけないやつらだとは思いもしなかった。
そんなやつらがゴロゴロといるこの島は辺境じゃなくて魔境だろう。
「ここにいたら世の中どうにでもなりそうだね」
メアリーは全員の自己紹介を聞くと、考えるのを放棄したようだ。
ここの島には変わった動物がたくさんいる。そんな島だと思っていた方が心が楽になる。
ああ、本当に個性が強いな……。
フィンガーフリックに驚いたメアリーは自分の指と僕の指を交互に見ていた。
「僕が唯一戦えるのはこれしかないからね?」
実際に一回使っただけで、倦怠感に襲われてしまう。それだけ諸刃の剣に近い物理魔法だ。
物理なのか、魔法なのかもはっきりしない。
「でもエルダートレントの体がバキバキ言ってたよ?」
せっかく家の柱にでも使ってやろうと思ったのに、ボロボロになっていたら使えないだろうな。
『アドルー! あいつ死んでいたぞ!』
飛んで行ったと思われる場所にコボスケとヒツジはすぐに向かっていた。その手にはたくさんの木と翡翠色の魔石を手にしている。
どうやら僕はエルダートレントを倒したようだ。
きっとダメージが蓄積していたのだろう。
「ひょっとしたら私達の中で、お兄様が一番強かったんじゃない? フェンリルと白虎がビビる――」
「シー! あいつらフェンリルと白虎って気づいてないんだよ!」
メアリーの口を急いで閉じる。僕の言葉を聞いて、大きく目を見開いている。確かに一度も自己紹介をしていないため、何の魔物かもわかっていないだろう。
『そんなに近くてどうしたんだ?』
コボスケは僕とメアリーの間に入ってきた。
ヒツジも尻尾を入れて僕とメアリーの間に壁を作っている。
「いや、そういえば自己紹介をしていないって話になってね?」
僕の言葉に反応してメアリーは頷く。さすが空気を読める妹だ。
一度メアリーのために自己紹介をすることになった。
『じゃあ、拙者からだな! 拙者はコボルトだ』
はい、勘違い一人目です。メアリーもそう思っているのだろう。僕の方をチラチラと見ている。
『ワシはケットシーだ!』
はい、勘違い二人目です。師匠だからか少しショックが大きそう。師匠がボケているって、弟子としては一番見たくない姿だろう。
『オラ達はコウモリだよ!』
はい、勘違い集団発見です。
どこから見てもフェニックスなのはすぐにわかる。メアリーはすでにお腹いっぱいになったのだろう。助けが欲しくてこっちを見ている。
だが、まだまだ個性に溢れる仲間達が存在している。
『私は魚です』
はい、どこから見ても魚ではないです。一番の嘘つきがここにいます。
「いやいや、リザードマンだろ」
「いやいや、ドラゴニュートだよ」
「えっ?」
「えっ?」
僕はメアリーと顔を見合わせる。二人で何の種族か討論会が始まる。
メアリーは体の大きさと背中を見てドラゴニュートだと思ったらしい。確かに背中の鱗に紛れて小さな羽が折りたたまれていた。
ドラゴニュートとリザードマンではだいぶ異なった存在だ。
ドラゴニュートはドラゴンの力を宿していると言われている。火を吐いて魚を食べるところを見たことがあるため、ドラゴンよりドラゴニュートの可能性が高いのかもしれない。
よって話し合いの結果、魚はドラゴニュートとなった。
『次はオイラの番だね。えーっとモグラだよ?』
ここにも勘違いしているやつがいました。自分でも少しモグラなのか疑問に思っているのではないか。
君は立派なアースドラゴンだ。少し体に苔が生えているけどね。
『吾輩はモモンガです』
うん、ここまできたら何でも良くなるよね?
僕もずっとそんな気持ちだった。何が現れても受け入れられる体制ができるからね。
ちなみに尻尾が本体だと伝えると、メアリーはすごく驚いていた。
コカトリスの中で尻尾が本体なのは、ごく稀にしかいないらしい。過去の歴史でも数体しか存在しないと。
そのコカトリスがここではモモンガって言っているから変わった島だよね。
『最後に私よ! 私は乙女よ!』
うん、なぜか一番しっくりくるのがカマバックだ。その言葉を聞いて安心してしまう。
「やっぱりお前は博学で安心するわ」
「いやいや、お兄様? あの方は乙女だけど、アラクネですよ? 蜘蛛型魔物の最強種です」
最強種ってこの世に存在したらいけないと言われている存在だ。
その最強種が僕の目の前で、鼻歌を歌いながらみんなの服を編んでいる。
ちなみにフェンリルと白虎も最強種に当たるらしい。ただの強い魔物と思っていたが、存在してはいけないやつらだとは思いもしなかった。
そんなやつらがゴロゴロといるこの島は辺境じゃなくて魔境だろう。
「ここにいたら世の中どうにでもなりそうだね」
メアリーは全員の自己紹介を聞くと、考えるのを放棄したようだ。
ここの島には変わった動物がたくさんいる。そんな島だと思っていた方が心が楽になる。
ああ、本当に個性が強いな……。
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