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第五章 スローライフに刺激を

46.王子、復興を決意する

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「おーい、帰ってきた……ぞ?」

 僕達はメアリー達のいる場所まで戻ると、見たこともない物に驚いた。

「お兄ちゃんおかえりー!」

 メアリーは寝ていると思ったが、糸で編み込まれた斜面の上を勢いよく滑る遊具で遊んでいた。

『あら、アドルきゅんおかえり!』

「これはどういう状況?」

 木に寝床を作っているところから偶然発見した遊び方だ。上の方から斜めに傾斜をつけることで、風を感じながら遊べることに気づいたらしい。

 ツルツルと滑りながらメアリーが上から降りてきた。

「カマちゃんが遊んでくれてたの」

 やはり心配で休めなかったのか、それまで気分転換をしていたらしい。

「私が全て壊してごめんなさい」

『ああ』

 メアリーは必死にヒツジに謝っていた。今となってはヒツジも特に気にしていない。

 ツンツンしているのは通常と変わりない。

「これからも魔法のコントロールがうまくできるように――」

『ワシが教えてやる』

「へっ?」

『だからワシが魔法を教えてやるって言ってるんだ!』

 ヒツジは確かに魔法のコントロールが一際上手だ。生活の一部に魔法を使っているからか、普段から家財を作っている時は、同時に作業をしながら何種類かの魔法を使っている。

 ツンデレヒツジは素直に助けてあげると言えないのだろう。

「へへへ、私に魔法のお師匠様ができた」

 メアリーは小さい時から魔法の才能が開花していた。そのため、レベルが高いメアリーに魔法を教えてくれる教師はおらず全て独学で勉強していた。

 唯一教えてくれたのは兄のアーサーぐらいだった。

 その時に使えるようになったのが闇属性魔法。教えることのできる人がいないからこそ、コントロールが必要になるのだろう。

「あれ? ヒツジって何の魔法が使えるんだ?」

『言ってなかったか? ワシは全属性使えるぞ』

 ああ、こいつはヒツジという名前だが、本当は白虎だった。

 魔法は基本の属性として、火・水・土・風が存在し、大体はこの属性の中で数種類使えるようになる。

 珍しい属性として闇・光があり、基本属性の上位に炎・氷・木・雷で計十種類あると言われている。

 火の属性に特化している人が炎も使えるようになるってことだ。

 闇と光属性にも上位魔法があるのではないかと研究されているが、そもそも闇と光属性を使える人が少ないからわからないらしい。

 ちなみに魔法省で働くアーサーは闇と光以外使えるというとんでもない兄だ。

 しかも、その魔法を使わずに生活を楽にできるように研究している。

 彼は魔法だけに頼る生き方はしたくないと言っていた。

 本当に僕だけ何も才能がないことがすぐにわかるほどだ。

「さっきコボスケとヒツジで話し合ったけど、せっかく開いた土地ができたなら、また大きな家を建てないか?」

 反対するものは誰一人おらず、賛成しているようだ。ちょうど木材の確保もすでに済んでいる。

『アドルはすぐに友達を増やすからね』

 その言い方だと友達が多い人みたいじゃないか。僕にはここにいるやつらしか友達はいない。

 いつ仲間が増えるかわからない状況のため、大きな家で問題はないらしい。

「この際、ここに国を作っちゃえば良いんじゃないの?」

 メアリーの言葉にみんなの目が合う。国ってあの国のことを言っているのだろうか。

 そもそも国って簡単に作れるものではない。

「だってカマちゃんのこの糸一つ見ても、すごく高級品だよ?」

 確かにカマバックの服は着心地が良い。さらさらして手触りも最高だ。

「それに私がいるからお兄様よりは、女性については詳しいはずだよ」

 うん、それは一理ある。女性のことなんて何も知らないからな。

 話しかけても逃げていかなかったのは、カンチーガイ伯爵令嬢だけだった。

 それだけ僕は同世代の女性に嫌われていた。

「じゃあ、次の目標は国を作ることで決定だね!」

『もちろん王様は?』

『アドルー!』

 みんなの声が森の中に響いた。どうやら僕はこの島の王様になるらしい。

 あれ?

 そういえば、メアリーはこの島に残るのだろうか。


───────────────────
【あとがき】

 第五章はこれで終わりです!
 せっかく整えた衣食住を全て破壊しました笑

 次は建国?編になります(*´꒳`*)

 そういえば、HOTランキング一位になりました!
 皆様のおかげです!

 これからもよろしくお願いします!

 お気に入り登録、感想お待ちしております(*´꒳`*)
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感想 13

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