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第五章 スローライフに刺激を
45.王子、親友と語る
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『バカネコついに本当のバカになったのか?』
僕はコボスケと共に木の影に隠れながら様子を伺っている。ヒツジは雄叫びを上げながら木を薙ぎ倒していた。
『チクショー! チクショー! チクショー!』
どうすることもできない気持ちを木にぶつけることしかできないのだろう。
周囲にある木は全て中心部分から穴が空いているか、折れ曲がっている。
『あれはアドルのために作ったやつだ! ワシがアドルのために――』
ん?
ひょっとして僕のために作った家がなくなったことに怒っているのだろうか。
コボスケを見ると彼もニヤリと笑っていた。きっと同じ気持ちなんだろう。
『おうおう、こんなところで何してるんだ?』
「僕達を置いていくとは困ったやつだな!」
『はぁ……はぁ……なんで来たんだ!』
息を荒くしているヒツジは白虎そのものだった。それでもいつもと変わらないツンツンしたヒツジだ。
ただ、怒っている内容を知っていたら、すごい優しくて可愛いやつにしか見えないだろう。
「なんでって……」
『言われてもね?』
「僕達親友だからな!」
『拙者達親友だからな!』
コボスケはヒツジに肩を組むが、身長が足りない僕は必死に背伸びをする。
こいつらが四足なら手は届くが、二足だと全く届かないのだ。
「おい、コボスケだけずるいだろ!」
『それはアドルが小さいから――』
「ほぉ、それは僕のフィンガーフリックを――」
『すみませんでした』
コボスケはすぐに頭を地面につけて謝っていた。今の僕に小さいという言葉はタブーだからな。
この間散々怒られたのに、コボスケはすぐに忘れてしまうバカのようだ。
『くくく、本当にバカイヌはバカだな』
ヒツジも同じことを思ったのだろう。少し落ち着いたのかヒツジは笑っていた。
「元気になったか?」
『ワシは元々元気だ』
『アドル聞いた? バカネコが強がっているぞ?』
『てめぇ!』
コボスケはヒツジを見てニヤニヤと笑っている。そんなコボスケの首を絞めるヒツジ。
きっと大事な物を壊された気持ちは本人しかわからない。
ただ、今ある大事な物を見失ってしまったら一生後悔することになるだろう。
それは僕も同じだ。家は何回でも建てられるし、畑も作ることができる。
でもこの時間やこの関係は絶対失ってはいけないものだ。
友達がいなかった時間が長かったからこそ、コボスケとヒツジの存在が僕を支えてくれている。
あれだけどうにか帰ろうと思っていた気持ちも今は全くない。きっと僕が戻っても、あの国には居場所がない。そんな気がしている。
僕はこれからもこいつらと楽しく過ごせるように願うだけだ。
「せっかくだからここの木を使って、今度は大きい家を建てようか!」
きっとあの場所は大きく開けた土地になっているだろう。
たくさんの仲間が増えたから、今度はみんなが住める新しい家を建てれば問題ない。
「だからヒツジはまた僕に大きな家をプレゼントしてね!」
『くっ……さてはお前ら聞いてたな!』
どうやら僕達が覗いていたことがバレたようだ。
『くくく、やっぱりバカネコだな』
「コボスケ逃げるぞー!」
僕とコボスケは全速力で逃げることにした。
『お前ら許さんぞ!!!』
そうしないと今にも食べそうな顔でヒツジが追いかけてくるからな。
僕はコボスケと共に木の影に隠れながら様子を伺っている。ヒツジは雄叫びを上げながら木を薙ぎ倒していた。
『チクショー! チクショー! チクショー!』
どうすることもできない気持ちを木にぶつけることしかできないのだろう。
周囲にある木は全て中心部分から穴が空いているか、折れ曲がっている。
『あれはアドルのために作ったやつだ! ワシがアドルのために――』
ん?
ひょっとして僕のために作った家がなくなったことに怒っているのだろうか。
コボスケを見ると彼もニヤリと笑っていた。きっと同じ気持ちなんだろう。
『おうおう、こんなところで何してるんだ?』
「僕達を置いていくとは困ったやつだな!」
『はぁ……はぁ……なんで来たんだ!』
息を荒くしているヒツジは白虎そのものだった。それでもいつもと変わらないツンツンしたヒツジだ。
ただ、怒っている内容を知っていたら、すごい優しくて可愛いやつにしか見えないだろう。
「なんでって……」
『言われてもね?』
「僕達親友だからな!」
『拙者達親友だからな!』
コボスケはヒツジに肩を組むが、身長が足りない僕は必死に背伸びをする。
こいつらが四足なら手は届くが、二足だと全く届かないのだ。
「おい、コボスケだけずるいだろ!」
『それはアドルが小さいから――』
「ほぉ、それは僕のフィンガーフリックを――」
『すみませんでした』
コボスケはすぐに頭を地面につけて謝っていた。今の僕に小さいという言葉はタブーだからな。
この間散々怒られたのに、コボスケはすぐに忘れてしまうバカのようだ。
『くくく、本当にバカイヌはバカだな』
ヒツジも同じことを思ったのだろう。少し落ち着いたのかヒツジは笑っていた。
「元気になったか?」
『ワシは元々元気だ』
『アドル聞いた? バカネコが強がっているぞ?』
『てめぇ!』
コボスケはヒツジを見てニヤニヤと笑っている。そんなコボスケの首を絞めるヒツジ。
きっと大事な物を壊された気持ちは本人しかわからない。
ただ、今ある大事な物を見失ってしまったら一生後悔することになるだろう。
それは僕も同じだ。家は何回でも建てられるし、畑も作ることができる。
でもこの時間やこの関係は絶対失ってはいけないものだ。
友達がいなかった時間が長かったからこそ、コボスケとヒツジの存在が僕を支えてくれている。
あれだけどうにか帰ろうと思っていた気持ちも今は全くない。きっと僕が戻っても、あの国には居場所がない。そんな気がしている。
僕はこれからもこいつらと楽しく過ごせるように願うだけだ。
「せっかくだからここの木を使って、今度は大きい家を建てようか!」
きっとあの場所は大きく開けた土地になっているだろう。
たくさんの仲間が増えたから、今度はみんなが住める新しい家を建てれば問題ない。
「だからヒツジはまた僕に大きな家をプレゼントしてね!」
『くっ……さてはお前ら聞いてたな!』
どうやら僕達が覗いていたことがバレたようだ。
『くくく、やっぱりバカネコだな』
「コボスケ逃げるぞー!」
僕とコボスケは全速力で逃げることにした。
『お前ら許さんぞ!!!』
そうしないと今にも食べそうな顔でヒツジが追いかけてくるからな。
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