無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第四章 衣食住、服を着てオシャレをします

39.王子、布団を完成させる

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『アドル酷いです。拙者何もしてない……ヒイィィ!?』

 額を押さえつけて隣を歩くコボスケを睨みつける。本当に何もしていないと思っているのだろうか。

 僕の心はズタボロだ。

『ワシは巻き込まれ――』

「事の発端はお前だろ?」

『くっ……』

 ヒツジはフィンガーフリックを受けてもまだ反省が足りないようだ。指を何度も曲げ伸ばしすると、尻尾を股に挟んで怯えていた。

 二度も受ければもう悪いことはしないはずだ。

 それにしても以前より魔力の集め方が上手くなったのか、指を弾くとものすごい勢いでコボスケとヒツジは吹き飛んでいった。

 うまいこと蜘蛛が糸を伸ばしたため、捕獲してすぐに呼び戻した。

 またやられると思ったコボスケとヒツジの顔は面白かった。

 糸も布だけではなく、別の使い道があるのだろう。

『アドきゅん私の上はどうかな?』

「ああ、心地良いぞ?」

『ああん♡ そんなに私の上が良いのねー!』

 何か蜘蛛も勘違いをしそうなことを言っているが、単純に僕は蜘蛛の上に乗って移動している。

 森の中を歩かなくても良いのは本当に楽で心地良い。

 ちなみに蜘蛛に名前を聞くと、カマバック・アシナーガーと言っていた。貴族名があるため、有名貴族かと思ったが、有名乙女オネエらしい。

 この森に知らないやつはいないと言っていた。そりゃー、色んな意味で知らないやつはいないだろう。

 あとは、文字で書いたらカマバック・アシナーガーではなく、カマバック♡アシナーガーだと修正もされた。

 点で書くとめちゃくちゃ怒るのだ。

 流石に酸を飛ばして修正されたら、認めるしかないだろう。

 知性があり文字が書けるのは、立派な乙女オネエになるには必須らしい。

 恋する乙女オネエは努力を怠らないのが、乙女オネエ界では基本だと言われているとか。

 彼女もたくさん努力したのだろう。

 そんなことを思っていると、どうやら家に着いたようだ。

「みんなただい……ま?」

 カマバックの上から覗き込むと、困った様子で何かを囲んでいた。

 僕達に気づいていないのだろうか。

 カマバックの背中を滑るように降りていくと、急いでみんなの元へ駆け寄る。

『アドルと似たようなやつなのかな?』

『それにしてはアドルよりもちんちくりんだよ?』

 ここでも僕の下半身事情を話しているのだろうか。

 リザードマンと焼き鳥の間を抜けるように通っていくと、そこには知っている人物がいた。

「メアリー!?」

 倒れていたのは魔法神の申し子と呼ばれている妹のメアリーだった。

 彼女は今魔法学園に通っているはずだ。それなのに、なぜこんな島にいるのだろうか。

 この島は地図にも存在していないため、すぐに来ることは難しいはずだ。

 僕に探知魔法でもかけていたのだろうか。

「とりあえずメアリーを家の中に運ぶから、カマバックはさっき言った布団を作ってもらっていいかな?」

『いやん♡ アドルきゅんの頼みならすぐに作っちゃうわよ』 

 カマバックは糸を出して手で器用に編み込んでいた。どこから出しているか気になって注視していたが、どうやらお尻から出ているようだ。

 僕はカマバックの尻から出た白い物体を体に纏って、寝るつもりだった。

 世の中には知らない方が良いことがたくさんあることを改めて思った。

 それでも痛いよりはマシだろう。それだけ床で寝るのがきついのだ。

 すぐにカマバックが作った布に、今まで溜めておいた少ないフェニックスの羽とコカトリスの羽を入れて布団を作る。

 フェニックスは羽が抜けることは少ないが、コカトリスはシーズン毎に抜け落ちるらしい。

 あとは、糸で縫い付ければ布団の完成だ。

「とりあえず包んで寝かそうか」

 簡易的に作った布団だが、メアリーを包むと心地良さそうに寝ていた。

 目の隈ができているところを見ると、今まであまり寝られなかったのだろう。

 そのままメアリーは寝かせて、仲間たちに話を聞くことにした。


───────────────────
【あとがき】

 ここで衣食住の"衣"が完結しました!
 新しく乙女オネエが仲間になりました!

 そして妹ちゃんが島に来ちゃいました!

 これからスローライフができるのでしょうか。

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 HOTランキング1位に上がりたいよー_(:3 」∠)_
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