無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第四章 衣食住、服を着てオシャレをします

37.王子、恋の手助けをする

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『ちょっとアドルちゃん聞いてるの?』

「ああ、隣のサドンが意識をしてくれないってところだっけ?」

『そうなのー、彼恥ずかしがり屋なのかしらね。それともノンケだからかしら』

 どうやら蜘蛛は隣に住むサドンというやつを好いているらしい。

 中々会えなくて毎日監視をしていると言っていた。

 これが令嬢達が盛り上がるという"恋バナ"というやつだろうか。

 ただ、そのサドンというやつがわからないため恋の応援はできない。

 たくさん話をして思ったが、思ったよりもキャラは濃くなかった。ごく普通の恋する令嬢と同じだ。

『アドルちゃんみたいな子を好きになったら楽だったのかしらね』

 蜘蛛は僕の頬を手で優しく撫でる。その手から何かの液体が出ているのか服が溶けていく。

『きゃあああああ! アドルちゃんハレンチよ! 乙女オネエそんな姿を見せるなんて!』

 決して僕が見せたくて、服を脱いでいるわけではない。目の前にいる蜘蛛が服を溶かしてくるのだ。

『もう、早くこれを着なさいよ!』

 裏でコソコソと手を動かしていると思ったら、糸で作った服を渡される。あの短時間で服を編み込んでしまうその技術に驚いた。

 この技術を逃すわけにはいかない。

「僕のところに来ないかい?」

『きゅん♡』

 また聞いたこともない音のような言葉が聞こえてきた。

『もうアドルちゃんなんなのよ! 乙女オネエをたぶらかして何がしたいのよ!』

「ただ、僕はあなたに来てもらいだけで……」

『きゅん♡』

 なぜか蜘蛛は悶えていた。必死に何かと戦っているのか、木に頭をぶつけている。ここに住む者達はコボスケみたいな行動をするのが当たり前なんだろうか。

「それでどうなんだ?」

『私は好きな人を一途に愛する乙女オネエよ! 流石にアドルちゃんでも付いていけないわ』

「頼んでもダメか?」

 必死に手を合わせて声をかけるが、蜘蛛は一向に頷いてくれなかった。

 むしろ頭が取れそうな勢いで横に大きく振っている。

「それならサドンが一緒ならいいか?」

『私にサドンかアドルちゃんを選べって言う!?』

「いや、そこは僕を選んでよ?」

『きゅん♡』

 説得をすること一時間。どうやらサドンが一緒なら付いてくることになった。





 僕を地面に下ろしてもらうとサドンを探す。どうやらサドンは土の中で寝ているらしい。

 中々会えないもどかしさが、さらに恋心を刺激すると言っていた。

「おーい、サドンいるかー?」

『サドンちゃーん! 私よ! そろそろ出てきてちょうだい!』

 あまりにも出てくる様子がないため、一度蜘蛛には別の方を探してもらい、僕は蜘蛛から離れたところで探すことにした。

 サドンは体が黒くて、すごく逞しい体をしていると言っていた。顔のことについては情報はなく、その体に蜘蛛は惹かれたらしい。

「おーい、サド――」

 声を掛け続けると急に体を引っ張られた。顔を上げるとそこには黒くて光る体に、逞しい甲羅が付いているやつがいた。

『静かにしてくれ! あいつにバレたら捕食されてしまう』

 それは男と女の関係で捕食されるということだろうか。むしろ蜘蛛はそれを望んでいるから問題はないはずだ。

「おい、あいつがお前のことを好きって言ってたぞ?」

 勝手に好きな人をバラすのは良くないと聞いたことはあるが、あいつが言えないなら僕が言うしかない。

『やめてくれ! あいつの姿を見てみろよ!』

 僕を見失ったのか、蜘蛛は必死に周囲をキョロキョロとしている。

『あいつは蜘蛛で俺はダンゴムシだぜ?』

「ダンゴムシ?」

 どうやらサドンは大きなダンゴムシらしい。サドンの言う捕食とは物理的に食べられるという意味だった。
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