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第四章 衣食住、服を着てオシャレをします
35.王子、布を探す
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羽問題は解決したが、次の問題が残っていた。
「ずっと同じ服を着ているよな」
それは"布"がないことだ。そろそろ僕が着ている服もボロボロになってきている。
流石にみんな服を着ていないから全裸でも良いだろうが、コボスケ達みたいに毛や鱗があるわけではない。
しかも、その状況で人間に会うことがあったら確実に変質者扱いになるだろう。
そのためにも服が必要になってくる。結局布団も羽が少しずつ増えてきているが、包むものがなければ意味がない。
「そこで布になりそうな物を探して来ようと思うが良い素材はあるか?」
『布ですか?』
『ワシは布なぞいらんぞ?』
コボスケとヒツジは布の存在を知らないらしい。確かに良質な毛があれば問題はない。
『私も布は知りませんね?』
『オイラ目が見えないから意味ないよね』
ドラゴン達のリザードマンもアースドラゴンもわからないと言っていた。アースドラゴンは自分が使えない存在だと思っていたのか、少し落ち込んでいた。
食料があるのはアースドラゴンのおかげだから、一番重要な存在だと伝えたら、泣いて畑に行ってしまった。
『オラも布は知らないな?』
『吾輩も飛ぶことに真剣で何も知らないです』
『オラも飛べないから気にしなくていいよ』
鳥達はお互いに飛べない同士で慰めあっていた。フェニックスとコカトリスなのに、飛べないのはこの島特有の何かがあるのだろうか。
結局は布になる糸をどうやって手に入れれば良いのかわからなかった。
「糸があればどうにかなるんだけどな」
『拙者、糸のある場所なら知ってるぞ?』
『ワシも布は知らないが、糸は知っている』
どうやら僕が"布"のことを聞いたから知らなかったようだ。
いつもなら張り合って取ってくると言うが、どうやら今日はその一言もない。
この間の焼き鳥達のことを気にしているのだろうか。
『あー、私は一緒に行けないですよ?』
『オイラは畑の警備があるので!』
ドラゴン達は糸の話をしたら、すぐに逃げて行った。
『オラも子育てがあるので……』
『吾輩も空を飛べるまでは……』
『オラ達はたぶん一生飛べないぞ?』
焼き鳥は飛ぶことを諦めているらしい。ただ、飛ぼうとしているやつに直接伝えるのは可哀想だぞ。
コカスケはそれでも必死に足を速く動かす練習をしていた。
それはすでに飛ぶことを諦めているようだ。
コボスケが師匠なら弟子も従うしかないしな。それで本人が満足しているなら良いのだろう。
「それでお前達のところに来た」
『拙者、今日は忙しいので――』
『ワシも家具作りを――』
「あっ、そういうことですか。友達が誘いに来たのに来ないんですね。ああ、そうですか」
僕は一人で森に向かうことにした。初めから来てくれる雰囲気はしなかったから仕方ないですよ。
「はぁー、お前達が一番僕の友達……いや、親友だと思ったのにな……」
『くっ……親友とは何という良い言葉なんだ』
『別に行きたくないとは行ってないぞ?』
チラチラと振り返るとコボスケとヒツジはゆっくりと付いてきていた。
「まぁ、僕は嫌われているから仕方ないよな」
嫌われているのは事実だ。好かれていたら今頃この島には来てなかっただろう。
『あー、拙者が付いていくぞ!』
『だからワシは行きたくないとは言ってないからな!』
どうやら一緒に来てくれるようだ。
「作戦成功」
僕は一人でニヤリと笑った。
「ずっと同じ服を着ているよな」
それは"布"がないことだ。そろそろ僕が着ている服もボロボロになってきている。
流石にみんな服を着ていないから全裸でも良いだろうが、コボスケ達みたいに毛や鱗があるわけではない。
しかも、その状況で人間に会うことがあったら確実に変質者扱いになるだろう。
そのためにも服が必要になってくる。結局布団も羽が少しずつ増えてきているが、包むものがなければ意味がない。
「そこで布になりそうな物を探して来ようと思うが良い素材はあるか?」
『布ですか?』
『ワシは布なぞいらんぞ?』
コボスケとヒツジは布の存在を知らないらしい。確かに良質な毛があれば問題はない。
『私も布は知りませんね?』
『オイラ目が見えないから意味ないよね』
ドラゴン達のリザードマンもアースドラゴンもわからないと言っていた。アースドラゴンは自分が使えない存在だと思っていたのか、少し落ち込んでいた。
食料があるのはアースドラゴンのおかげだから、一番重要な存在だと伝えたら、泣いて畑に行ってしまった。
『オラも布は知らないな?』
『吾輩も飛ぶことに真剣で何も知らないです』
『オラも飛べないから気にしなくていいよ』
鳥達はお互いに飛べない同士で慰めあっていた。フェニックスとコカトリスなのに、飛べないのはこの島特有の何かがあるのだろうか。
結局は布になる糸をどうやって手に入れれば良いのかわからなかった。
「糸があればどうにかなるんだけどな」
『拙者、糸のある場所なら知ってるぞ?』
『ワシも布は知らないが、糸は知っている』
どうやら僕が"布"のことを聞いたから知らなかったようだ。
いつもなら張り合って取ってくると言うが、どうやら今日はその一言もない。
この間の焼き鳥達のことを気にしているのだろうか。
『あー、私は一緒に行けないですよ?』
『オイラは畑の警備があるので!』
ドラゴン達は糸の話をしたら、すぐに逃げて行った。
『オラも子育てがあるので……』
『吾輩も空を飛べるまでは……』
『オラ達はたぶん一生飛べないぞ?』
焼き鳥は飛ぶことを諦めているらしい。ただ、飛ぼうとしているやつに直接伝えるのは可哀想だぞ。
コカスケはそれでも必死に足を速く動かす練習をしていた。
それはすでに飛ぶことを諦めているようだ。
コボスケが師匠なら弟子も従うしかないしな。それで本人が満足しているなら良いのだろう。
「それでお前達のところに来た」
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『ワシも家具作りを――』
「あっ、そういうことですか。友達が誘いに来たのに来ないんですね。ああ、そうですか」
僕は一人で森に向かうことにした。初めから来てくれる雰囲気はしなかったから仕方ないですよ。
「はぁー、お前達が一番僕の友達……いや、親友だと思ったのにな……」
『くっ……親友とは何という良い言葉なんだ』
『別に行きたくないとは行ってないぞ?』
チラチラと振り返るとコボスケとヒツジはゆっくりと付いてきていた。
「まぁ、僕は嫌われているから仕方ないよな」
嫌われているのは事実だ。好かれていたら今頃この島には来てなかっただろう。
『あー、拙者が付いていくぞ!』
『だからワシは行きたくないとは言ってないからな!』
どうやら一緒に来てくれるようだ。
「作戦成功」
僕は一人でニヤリと笑った。
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