無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第四章 衣食住、服を着てオシャレをします

32.王子、新しい住人が増える

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 起きた焼き鳥とももの食欲はすごかった。一瞬にして準備していた食事をすぐに平らげたのだ。しかも、今まで食べたことないぐらい美味しいと言っていた。

 焼き鳥達は普段は何を食べていたのだろうか。そもそも、なぜこんなに痩せ細るほど食事を食べていないのだろうか。

 料理の才能はないが、褒められたら嬉しいのはみんな同じなんだろう。ゲラゲラと笑っている。

『オラ達はいつも近場の野菜や果物を食べていました。ただ、前よりも少なくなって――』

「少なくなって食べる量が減ったってことか?」

 僕の言葉に焼き鳥は頷いていた。さっきまで笑っていたのに急に真顔になっている。

 どこかに逃げようとしているコボスケとヒツジの姿が見えた。

「お座り!」

『ヒャイ!』

 すぐにその場に座ってチラチラと僕の顔を見ていた。

『それから蓄えていた食料も何者かに取られて――』

「お前達がやったのか?」

『それは拙者ではないぞ!』
『ワシも知らぬ!』

 どうやら食料を盗んだのはコボスケとヒツジではないが、周囲の食べ物を根こそぎ取ってきたのは変わらないようだ。

 犯人は後ろにいるこいつらってことだな。

「僕達のせいで焼き鳥とももを酷い目に合わせてすまない!」

 僕は頭を下げて謝罪をする。きっとあいつらのことだから、僕を喜ばそうとしてたくさん食料を持ってきたのは想像がつく。

 畑が少しずつ大きくなっているので、そこに埋める野菜を持ってくる必要があった。

 だから、代表として謝るのは仕方ない。

『アド……ル……』

 その後も続けるようにコボスケ、ヒツジ、リザードマンとゾロゾロと頭を下げいく。その様子を見ていた焼き鳥は戸惑っていた。

『皆さん頭を上げてください! それならオラのお願いを聞いて貰ってもいいですか?』 

 僕達は頷く。さっきまで命が危なかったのだ。できる範囲なら叶えてあげよう。

『オラ達を一緒に住ませてください』

 それぐらいなら特に問題はない。僕は引き受けることにした。

「それぐらいなら――」

 だが、コボスケとヒツジはそうではなかった。僕の口を大きな的で封じる。

『ここにはささみだけで十分だ』

『ワシらが毎朝洞窟まで食料を持っていくぞ!』

『ああ、それは良い考えだな。そうするが良い』

 そんなに焼き鳥とももが一緒に住むのが嫌なんだろうか。もふもふが増えれば、その分羽を手に入れることが増える。

 憧れのフェニックスの掛け布団を作るせっかくのチャンスだ。

 だが、話せないように口を塞いでいるため伝えることができない。

 僕はコボスケとヒツジに見えるように指を曲げる。

「ヒィ!?」

 一瞬にして手を離し地面に座る。実際にはやるつもりはないが、効果てきめんのようだ。

「これからもよろしくな!」

 焼き鳥とももが仲間になった。
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