無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第三章 衣食住、たらふくご飯を食べます

28.王子、焼肉パーティーを始めました

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 家に帰ってきた僕達は焼肉パーティーの準備にとりかかった。

 用意されたのは肉と野菜。そして、ウニョウニョと動く虫が大量に置かれている。

『オイラお腹空いたよ?』

 今まであまり食べて来なかったからか、さっきからお腹から音が鳴り響いている。しかも、よだれで水溜りができそうな勢いだ。

「虫を食べると腹が痛くなるかもしれないから少し炙ってもいいか?」

『炙る?』

 やはりアースドラゴンは火で焼くことを知らないのだろう。

 ここは我が家の一番の癒しであるささみの出番だ。ささみは家に放置されて怒っていた。

 僕が帰ってくるのを家の前で座って待っていた。

 モコモコふわふわなその姿は癒しでしかない。

 そういえばまた少し大きくなったような気もするが、成長期だから仕方ないのだろう。

 リザードマンには手足が生えていない魚を採ってくるように頼み、その間に焼肉の準備にかかる。

 ヒツジには肉を焼くために必要な焚き火を用意してもらい、コボスケは肉を刺す木を準備してもらっている。

 一方、僕はただひたすら肉と野菜をちょうど良い大きさに切っていく。

『魚はこれで大丈夫ですか?』

 リザードマンのフォークに刺さっているのは体長が2mほどありそうなシャーモンだ。

 鮮やかな色をした身には脂がたくさん乗っており、身がぷりっと引き締まっている。

 綺麗に骨を取り除き切ったリモンと一緒に葉で包む。

 ちなみにヒツジに骨を取って欲しいと頼むと、素早く骨と身を分けてくれた。やはり手先が器用なんだろう。

 優しく撫でて褒めたら尻尾がピーンっと伸びて少しフリフリしている。

 それをチラチラと見ていたコボスケには、アースドラゴンと共に畑を作ってもらうことにした。

 あとは肉をコボスケが作った木に刺していく。思ったよりも大変な作業だったが、リザードマンに頼めば一瞬にして肉に木を刺してくれた。

 フォークで魚を簡単に捕まえれる技術はここでも役立った。

 どこか何も才能がないのは僕だけの気がしてきた。

 あと、問題なのはニョロニョロと動く虫だ。

 触りたくないためどうやって調理しようか迷っていると、リザードマンが一瞬で木を刺してくれた。

 声を出しながら素早く動くその姿はトラウマになりそうだ。

 準備ができたらあとは焚き火の周りに木を刺して肉を焼いていくだけだ。

「おーい、お前達準備ができたぞ!」

 僕の声に反応して急いで集まってきた。アースドラゴンはお腹が減っているのに、どこに行けば良いのかわからずキョロキョロとしている。

――パンパン!

 手を数回叩くと気づいたのか、そのまま土の中を移動してきた。そういえば、コボスケは手を叩けないため家の周辺のほとんどの土が柔らかくなっていた。

 また、土属性魔法でしっかりと固めないとささみが転んじゃうな。

 肉が焼けてきたのか香ばしい匂いが漂う。

『アドル、拙者待ちきれないぞ!』
『ワシは待てるぞ!』
『この魚はそろそろ食べごろですか?』
『肉肉肉肉肉!』

 どうやらみんなも食べたくてもウズウズしているようだ。

 こうやってみんなで集まってご飯を食べるのも久しぶりだろう。僕が大きくなるにつれて、家族で食事を食べる時間も減ってきたからな。

「じゃあ、みんなで手を合わせて」

――パチン!
――ムニュ!

 色んな手を合わせる音が響き、食事の始まりの合図になる。

「いただきます!」

 僕達はようやく腹いっぱいの食事が食べられるようだ。

 そういえば、あの虫を焼いたら皮膚が剥けて、エビのようなプリプリの見た目をしていた。

 そして、一番人気の料理になっていた。

 どこかここでも負けた気分だ。
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