無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第三章 衣食住、たらふくご飯を食べます

27.王子、ナンパをする

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 リザードマンから食生活の話を聞くと、あのニョロニョロがいかに栄養価が高いのかわかる。ただ、お腹を壊すのは仕方ないのだろうか。

 これでアースドラゴンも軟便なら、火を通して食べれば変わるのかもしれない。

 僕は決して食べる気ないけどな!

「あっ、モグラが土には詳しくないって言ってたけど――」

 これで僕の勘違いかリザードマンの嘘かわかるだろう。

 今後の関係にも関わってくるため、しっかりとどっちの間違いなのかはっきりしておかないとダメだろう。

『あー、きっと詳しくはないと思いますよ?』

 おっ、これはリザードマンが嘘をついていたのか?

『だって目が見えていないので、気づいてないですからね』

 ん?

 それは目が見えないからアースドラゴンはわかっていないだけで、無自覚に土に詳しいって思わせるほどの何かをしているということか?

 僕は急いでアースドラゴンに地面に潜ってもらい、その土を確認する。

「思った通りだ」

『モグラが通ったところだけ、なぜか土が柔らかくふかふかするんですよ』

 これがリザードマンがアースドラゴンが土に詳しいと言っていた理由だった。

 農作物に適しているのは"肥沃ひよくな土"と呼ばれている。

 植物が成長するために必要な栄養を適切な量で含んでいる。

 植物の根がしっかりと広がり、養分を吸収しやすい状態のため、野菜にとってはパラダイスである土と言える。

 保水性が高く、同時に排水性も良いため、土自体の手触りも良いのだ。

 ひょっとしたらこの島の野菜はアースドラゴンが虫を探すためにできたのかもしれない。

 ここは畑担当として誘わない手はないだろう。

「もし、モグラが良ければうちの畑に来ないか?」

『なぁ!?』

 コボスケとヒツジはどこか焦っているようだ。別にお前達の仕事がなくなるわけではないのに。

 ただ、アースドラゴンには畑の周辺を潜ってもらえば良いだけだ。

「ここの沼から近いから、頑張って肉を探さなくても僕が協力してあげれるよ?」 

 正確にいえばリザードマンが虫を持ってくるけどな。

『それなら私も行っても良いですか?』

『お前もか!?』

 どうやらリザードマンも引っ越しをしたいらしい。

 沼での生活ではなくなるがそれでも良いのだろうか。

『魚さんはどこでも生活ができるんですか?』

『はい、私は肌が乾燥しなければどこでも大丈夫です』

 それなら水がある環境であれば良いということになるだろう。

『アドルってこんなにナンパするやつだったのか?』

『拙者も知らなかったぞ。拙者達がいるのに次々とたらし込んで――』

「お前達躾が必要なのかな?」

『ヒイィィィィィ!?』

 良からぬことを言っている奴らにはフィンガーフリックの刑は決定だ。指を曲げるだけで顎をガクガクと鳴らしている。

『オイラ美味しい肉が食べれるなら付いて行くぞ!』

 アースドラゴンも家に来ても良いと決まればさっそく今日は焼肉パーティーだな。

 ただ、こいつら何を食べるかわからない。

 まずはちゃんとした食生活を指導しつつ、こいつらにあった物を食べさせてあげよう。

 僕達は手を叩きながら家に帰ることにした。

『にくにく、にっくにくー♪』

「おいしい、お肉が食べたいなー!」

『にくにく、にっくにくー♪』

「たらふく肉が食べたいなー!」

『にくにく、にっくにくー♪』

『ニョロニョロにっくにくー♪』

 今日も森の中は愉快な歌と手拍子が響いていた。

 魚のリザードマンとモグラのアースドラゴンが仲間になった。
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