無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第三章 衣食住、たらふくご飯を食べます

25.王子、モグラに出会う

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 歩いても歩いても一向にモグラに出会わない。すぐ近くにいるから、大丈夫だと言っていたがどこにいるのだろうか。

 まさかリザードマンに騙されたのだろうか。

 友達ってすぐ裏切ってくるからな。通っていた学園のやつらも急によそよそしくなって、話しても無視するようになった。

 どこか鼻息が荒かったのは、そんなに話しかけて欲しくないという合図なんだろう。

『ああいう時は話しかけない方がいいぞ?』

『なんかピリピリしているもんな』

 才能がないだけでそんなに離れていかなくてもいいだろう。

 考えただけでイライラしてくる。

 つい地面をドンドンと何度も蹴ってしまった。すると、突然床がボコッと動き出す。

「うぇっ!?」

 地面が浮かび上がってきた。急な出来事に僕の体は反応できないでいる。

『アドル!』
『アドル!』

 それに気づいたコボスケとヒツジは飛んできた。ただ、お互いに体を引っ張るため取り合いになっている。

「おいおい、どっちでもいいからここから逃げるぞ!」

 声に反応して半分ずつ僕を運ぶことになった。何というか惨めな姿で空中を跳んでいる。

 下を見たらかなりの高さに股間が締め付けられる思いだ。だが、地面から飛び出たところに明らかに僕の知らないモグラがキョロキョロとしていた。

『うぉーい! 肉はどこだ!?』

 うん、あれは完全にアースドラゴンだろう。少し知っているアースドラゴンとは違うが、体に苔をつけているだけだ。

 地面に降り立つとアースドラゴンに話しかけてみる。しっかり隣にはコボスケとヒツジが守るように構えている。

「アースドラゴンさん?」

『ん? オイラを呼ぶのは誰だ? ってかどこにいるんだ?』

 どうやら目が悪くて見えないらしい。確かモグラは視力が悪く、ほとんど音と振動で感知していると聞いたことがある。

 あの家庭教師は本当になぜ僕にこの知識を教えたのかわからないが、今になっては少し役に立っている。

 ちなみに嗅覚も悪いため、本当にどこにいるのかわからないはずだ。

 僕は近づきながら手を叩く。

 これで音と振動が伝わってどこにいるかわかるだろう。

「ここにいるけどわかるか?」

『おおお! オイラのことをよくわかっているんだな』

 こっちを見ようとギロっとするが、リザードマンよりも明らかに顔つきがイカついため少しヒヤッとしてしまう。

『おい、拙者の友達に威嚇するとはぶっ殺されたいのか!』

『血祭りにあげたろかー!』

 隣にいるやつがめちゃくちゃ物騒だ。これも誰かが教えたのだろうか。

 コボスケとヒツジは尻尾をピーンと伸ばしている。

「オイラの血は美味しくないよ?」

 それに反応するアースドラゴンもどこか抜けている気がした。

 どうやらまた変わったやつに出会ってしまったようだ。

「肉をあげるから土について教えてくれないか?」

『土? オイラそんなに土には詳しくないぞ?』

 あれ?

 リザードマンはやっぱり嘘つきなのか?

 そういえば、モグラがいたとは言っていたが、土に詳しいとは言ってないような気もする。

 騙されたと思ったが、勘違いしていたのは僕の方だ。

 勝手に疑って申し訳ない。

「わかった。教えてくれてありがとう」

 僕はアースドラゴンに血抜きをした動物を目の前に置くが、全く食べる様子もなく反応もない。

 肉にもちゃんと好みがあるのだろうか。

 アースドラゴンだから好きな肉ばかり食べている可能性も考えられる。

『これ肉じゃないぞ?』

「えっ?」

 どこからどう見ても肉だ。僕が焼いて食べたいぐらいの見た目をしている。

 実は今日はこの肉を使って焼肉パーティーをするつもりだった。

『オイラの言う肉は柔らかい土のところにいるよ!』

 柔らかい土?

 まさかあの沼のはずはないよな?

 ただ、コボスケとヒツジが肉の存在を知らなかったため、僕の知っているあいつの可能性も考えられる。

 もう二度と会いたくないと思っていたやつ――。

「ひょっとして――」

『肉はウニョウニョ動いているぞ?』

「やっぱりあの気持ち悪い虫かぁー!」

 どうやらここに住むやつらは、虫を肉と勘違いしているらしい。

 はぁ、またあの虫を取りにいくのか。
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