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第二章 衣食住、住居を探します
16.王子、あと少しで家を完成させます
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太陽の明るさに僕は目を覚ました。その後急いでセメントを流して基盤を作った。
粘土を採取するためにできた穴に、さらに葉を敷き詰めそこで寝ることにした。
「コボスケ重いぞ……」
隣で寝ていたはずなのに、今日もコボスケに抱きつかれている。ささみが僕の顔の前にいるため、今日はそこまで獣臭を感じない。
むしろもふもふしているクッションみたいで、昨日よりはよく寝れた。あの唸り声のようないびきも、いびきだと思えば特に気にならなかった。
僕がコボスケのお腹をもふもふし続けると、コボスケは目を覚ます。
『また新人はアドルとの時間を邪魔する気か!』
起きた瞬間にささみの顔があったからか、今日は目覚めが良いようだ。
「おいおい、大きな声出したからささみが鳴いちゃったじゃないか!」
僕は今にも火を吐きそうなささみを抱きかかえる。優しく撫でてやると気持ちよさそうに再び眠りにつくのだ。
『ヌー! またニヤリと笑ったぞ! 絶対そいつわざとだ!』
この可愛いささみの顔がコボスケは気に食わないのかもしれない。
僕達は早速顔を洗ってから、食事を食べて作業に取り掛かる。
わざわざ顔を洗うぐらいなら、水属性魔法でどうにかなることに昨日気づいた。セメントを作る時に魔法を使った時を思い出したのだ。
あの時のコボスケの顔を思い出すとイラッとする。
「今日は上の建物を作る作業を始める」
『拙者得意――』
「うん、やったことないのは知ってるから大丈夫!」
とりあえずコボスケは自分ができるとアピールしたいのだろう。なんでも挑戦することは良いことだが、流石に家を作れる気はしない。
家を作っていたら、あんなに狭い岩の隙間で寝るはずがない。
まずは立派な柱を地面に打ち込む。コボスケがこの木を使うと良いと持ってきたらしいが、確か"世界樹の枝"と言っていた。
流石に中央に大きな木はあるが、世界樹のはずはない。世界樹の葉って伝説のエリクサーを作る材料の一つでもあるからな。
どうせその辺の木を世界樹と呼んでいるのだろう。
フェンリルがコボルトだし、リザードマンが魚だし、フェニックスがコウモリの島だ。
ただ普通の木にしては存在感があり、輝いているのは気にしないでおこう。建物の安定を考えると立派な木の方が良いからね。
柱の間に厚い梁が組み合わされ、建物の骨格を作っていく。
一つ一つの材料が確かにはまり、建物の枠組みが少しずつ姿を現していく。
あとは壁の部分に細い木の棒を交差して配置して、外壁となる木をはめていく。
そうすれば、残るのは天井だけだ。
そんな中、森の方から雄叫びが聞こえてきた。
『ニヤァー!』
どうやら猫が叫んでいるようだ。だが、その声は少しずつ近づいてきているような気がした。
どこか嫌な予感がする。
僕の嫌な予感は思ったよりも当たりやすい。それを引き込んでいるのかと思うほどだ。
「おい、コボスケ! あれは何の声だ?」
『あー、あれは大きいネコですね』
「大きいネコ?」
その大きいという部分が一番の問題だ。せっかくここまでできた家を壊されてしまったら立ち直れないだろう。
「あいつが来ない――」
『見つけたニャー!』
コボスケに近寄らせないように頼もうとしたが、すでに遅かった。大きなネコはコボスケを見つけると、飛びつくように木々の隙間から飛び出してきた。
「えっ……あれが……ネコ?」
そのままコボスケと共にクルクル回ってこっちに近づいてくる。
おい、まさか……。
――ドォーン!
大きい音とともに建物は崩れて落ちて飛んでいく。そして僕の理性も怒りで吹き飛んだ。
粘土を採取するためにできた穴に、さらに葉を敷き詰めそこで寝ることにした。
「コボスケ重いぞ……」
隣で寝ていたはずなのに、今日もコボスケに抱きつかれている。ささみが僕の顔の前にいるため、今日はそこまで獣臭を感じない。
むしろもふもふしているクッションみたいで、昨日よりはよく寝れた。あの唸り声のようないびきも、いびきだと思えば特に気にならなかった。
僕がコボスケのお腹をもふもふし続けると、コボスケは目を覚ます。
『また新人はアドルとの時間を邪魔する気か!』
起きた瞬間にささみの顔があったからか、今日は目覚めが良いようだ。
「おいおい、大きな声出したからささみが鳴いちゃったじゃないか!」
僕は今にも火を吐きそうなささみを抱きかかえる。優しく撫でてやると気持ちよさそうに再び眠りにつくのだ。
『ヌー! またニヤリと笑ったぞ! 絶対そいつわざとだ!』
この可愛いささみの顔がコボスケは気に食わないのかもしれない。
僕達は早速顔を洗ってから、食事を食べて作業に取り掛かる。
わざわざ顔を洗うぐらいなら、水属性魔法でどうにかなることに昨日気づいた。セメントを作る時に魔法を使った時を思い出したのだ。
あの時のコボスケの顔を思い出すとイラッとする。
「今日は上の建物を作る作業を始める」
『拙者得意――』
「うん、やったことないのは知ってるから大丈夫!」
とりあえずコボスケは自分ができるとアピールしたいのだろう。なんでも挑戦することは良いことだが、流石に家を作れる気はしない。
家を作っていたら、あんなに狭い岩の隙間で寝るはずがない。
まずは立派な柱を地面に打ち込む。コボスケがこの木を使うと良いと持ってきたらしいが、確か"世界樹の枝"と言っていた。
流石に中央に大きな木はあるが、世界樹のはずはない。世界樹の葉って伝説のエリクサーを作る材料の一つでもあるからな。
どうせその辺の木を世界樹と呼んでいるのだろう。
フェンリルがコボルトだし、リザードマンが魚だし、フェニックスがコウモリの島だ。
ただ普通の木にしては存在感があり、輝いているのは気にしないでおこう。建物の安定を考えると立派な木の方が良いからね。
柱の間に厚い梁が組み合わされ、建物の骨格を作っていく。
一つ一つの材料が確かにはまり、建物の枠組みが少しずつ姿を現していく。
あとは壁の部分に細い木の棒を交差して配置して、外壁となる木をはめていく。
そうすれば、残るのは天井だけだ。
そんな中、森の方から雄叫びが聞こえてきた。
『ニヤァー!』
どうやら猫が叫んでいるようだ。だが、その声は少しずつ近づいてきているような気がした。
どこか嫌な予感がする。
僕の嫌な予感は思ったよりも当たりやすい。それを引き込んでいるのかと思うほどだ。
「おい、コボスケ! あれは何の声だ?」
『あー、あれは大きいネコですね』
「大きいネコ?」
その大きいという部分が一番の問題だ。せっかくここまでできた家を壊されてしまったら立ち直れないだろう。
「あいつが来ない――」
『見つけたニャー!』
コボスケに近寄らせないように頼もうとしたが、すでに遅かった。大きなネコはコボスケを見つけると、飛びつくように木々の隙間から飛び出してきた。
「えっ……あれが……ネコ?」
そのままコボスケと共にクルクル回ってこっちに近づいてくる。
おい、まさか……。
――ドォーン!
大きい音とともに建物は崩れて落ちて飛んでいく。そして僕の理性も怒りで吹き飛んだ。
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