8 / 72
第二章 衣食住、住居を探します
8.王子、溺れる
しおりを挟む
流石に沼で顔は洗えないと思った僕は海に向かう。
『なぜ、拙者らに付いてくるんだ?』
『私も食生活を改めようと思いまして……』
なぜかコボスケの後ろをリザードマンもペタペタと歩いて付いてくる。
コボスケに何を食べているのか確認をしたら、それを聞いていたリザードマンも教えてもらいたかったのだろう。
そもそもこの島に何が存在しているのか僕はわからない。見たのはブドゥとウニョウニョとした虫だけだ。
コボスケの聞いた話だとほとんど果物と便秘の時に虫しか食べていなかった。
フェンリルなら肉を食え! 肉を!
海までは思ったよりも遠く、森の中を歩くのは一苦労だった。
昨日はコボスケの肩に乗っていたため、あまり遠く感じなかった。だが、実際はかなり距離があって遠かった。
改めてこの島自体の大きさを痛感する。
「コボスケも顔を洗って歯を磨けよ」
『拙者の牙は磨かなくても丈夫だぞ?』
「せめてうがいはしろよ」
さすがに当事者に向かって口臭が気になるからとは言えない。渋々、コボスケは海に向かうと海水を口に入れてうがいをする。
『アドル、口がしょっぱいぞ!』
「あっ、忘れ――」
『グルルルルル』
「口の嫌なねばつきは取れるだろ?」
海水が塩辛いことを忘れていた。また唸り出したからすぐに言い換えたが、大丈夫だったのか微妙なラインだ。
『グルルルルル……ぺっ!』
いや、これは唸っているんではなくて、うがいをしていた。一つ一つの動きが紛らわしいぞ。
ちなみにリザードマンはすでに沼で顔を洗ってきたらしい。一際肌艶がいいのはリザードマンだからではなく、泥による影響だと言っていた。
リザードマンが自然泥パックってどこかの貴族令嬢のようだ。
僕も顔を洗うために海に近づく。
あれ、なんか思ったよりも海水の色が黒いぞ。
『アドルあぶない!』
海の底から突然手が現れて僕の顔を掴む。あまりにも急な出来事に逃げることもできずに、そのまま引き込まれてしまった。
『アドルを離すんだ!』
コボスケが足を掴み、必死に海から引き上げようとする。ただ、顔面を掴まれて海に入っているため息苦しい。
『魚手伝うんだ!』
『私海に入れないんです』
はい、リザードマンはドラゴン確定です!
あいつは絶対リザードマンなんかじゃない。
リザードマンに見せかけたただのドラゴンだ!
そんなリザードマンも持っているフォークを何度も海に引き込もうとしているやつを目掛けて刺していた。
じわじわとダメージが蓄積されているのか、だんだんと引っ張る力が弱まっていく。その隙に僕は陸へ上がる。
「ゴホッ! ゴホッ!」
少し海水を飲んでしまったようだ。確かに塩辛い気がした。
コボスケは僕の周りをクルクル周り必死に考えている。
『溺れた時は人工呼吸か!? いや、犬呼吸か?』
犬呼吸とはなんだろう。少し気にはなるが、近づいてくる口臭野郎の顔を手で押さえる。
「大丈夫だ」
『アドル心配したぞー!』
コボスケは僕に抱きついてきた。心配かけたのは間違いない。僕は優しく撫でると、尻尾を大きく振っていた。
うん、たまに犬に見えるのはなんでだろう。
『これは食べれますか?』
「あっ、魚なら……いや、これは無理だろう」
リザードマンが持ってきたのは、魚に手足が生えた謎の物体だった。さっき海に引き込もうとしていたやつはこいつだ。
分厚い唇に口がぱかぱかとしていたのを覚えている。
「いやん♡優しくし・て・ね?」
殺意が湧いたのか、リザードマンはフォークを何度も魚に突き刺していた。
『なぜ、拙者らに付いてくるんだ?』
『私も食生活を改めようと思いまして……』
なぜかコボスケの後ろをリザードマンもペタペタと歩いて付いてくる。
コボスケに何を食べているのか確認をしたら、それを聞いていたリザードマンも教えてもらいたかったのだろう。
そもそもこの島に何が存在しているのか僕はわからない。見たのはブドゥとウニョウニョとした虫だけだ。
コボスケの聞いた話だとほとんど果物と便秘の時に虫しか食べていなかった。
フェンリルなら肉を食え! 肉を!
海までは思ったよりも遠く、森の中を歩くのは一苦労だった。
昨日はコボスケの肩に乗っていたため、あまり遠く感じなかった。だが、実際はかなり距離があって遠かった。
改めてこの島自体の大きさを痛感する。
「コボスケも顔を洗って歯を磨けよ」
『拙者の牙は磨かなくても丈夫だぞ?』
「せめてうがいはしろよ」
さすがに当事者に向かって口臭が気になるからとは言えない。渋々、コボスケは海に向かうと海水を口に入れてうがいをする。
『アドル、口がしょっぱいぞ!』
「あっ、忘れ――」
『グルルルルル』
「口の嫌なねばつきは取れるだろ?」
海水が塩辛いことを忘れていた。また唸り出したからすぐに言い換えたが、大丈夫だったのか微妙なラインだ。
『グルルルルル……ぺっ!』
いや、これは唸っているんではなくて、うがいをしていた。一つ一つの動きが紛らわしいぞ。
ちなみにリザードマンはすでに沼で顔を洗ってきたらしい。一際肌艶がいいのはリザードマンだからではなく、泥による影響だと言っていた。
リザードマンが自然泥パックってどこかの貴族令嬢のようだ。
僕も顔を洗うために海に近づく。
あれ、なんか思ったよりも海水の色が黒いぞ。
『アドルあぶない!』
海の底から突然手が現れて僕の顔を掴む。あまりにも急な出来事に逃げることもできずに、そのまま引き込まれてしまった。
『アドルを離すんだ!』
コボスケが足を掴み、必死に海から引き上げようとする。ただ、顔面を掴まれて海に入っているため息苦しい。
『魚手伝うんだ!』
『私海に入れないんです』
はい、リザードマンはドラゴン確定です!
あいつは絶対リザードマンなんかじゃない。
リザードマンに見せかけたただのドラゴンだ!
そんなリザードマンも持っているフォークを何度も海に引き込もうとしているやつを目掛けて刺していた。
じわじわとダメージが蓄積されているのか、だんだんと引っ張る力が弱まっていく。その隙に僕は陸へ上がる。
「ゴホッ! ゴホッ!」
少し海水を飲んでしまったようだ。確かに塩辛い気がした。
コボスケは僕の周りをクルクル周り必死に考えている。
『溺れた時は人工呼吸か!? いや、犬呼吸か?』
犬呼吸とはなんだろう。少し気にはなるが、近づいてくる口臭野郎の顔を手で押さえる。
「大丈夫だ」
『アドル心配したぞー!』
コボスケは僕に抱きついてきた。心配かけたのは間違いない。僕は優しく撫でると、尻尾を大きく振っていた。
うん、たまに犬に見えるのはなんでだろう。
『これは食べれますか?』
「あっ、魚なら……いや、これは無理だろう」
リザードマンが持ってきたのは、魚に手足が生えた謎の物体だった。さっき海に引き込もうとしていたやつはこいつだ。
分厚い唇に口がぱかぱかとしていたのを覚えている。
「いやん♡優しくし・て・ね?」
殺意が湧いたのか、リザードマンはフォークを何度も魚に突き刺していた。
32
お気に入りに追加
1,631
あなたにおすすめの小説
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる