10 / 72
第二章 衣食住、住居を探します
10.王子、住居を探します
しおりを挟む
まだ何も食べていないことに気づいた僕は一人でブドゥを食べることにした。リザードマンは魚が思ったよりも美味しかったのか、しばらくは海に通うらしい。
お花を摘みに行っていたコボスケと次は住居地を探すことにした。
コボスケはあそこでは不満かと言っていたが、流石に雨や風は耐えられないと思う。
その時だけ隙間に入って寝るのも快適な生活とは言えない。
水辺の近くがダメであれば、今度は雨風が防げる山を削ったような穴や空洞を探す。
どこか思いつく場所があると言っていたが、またリザードマンや変な魚が出てくる可能性があった。
それなら自分で探せば良いと思い山の麓を目指して歩く。せっかくだから探索もして、この辺のことを知っておいた方が良いだろう。
「ここってこんなに果物が多いんだな」
森の中を進むと果物が多く実っていた。ただ、どれも大きいのがこの島の特徴だ。
コボスケの話では大体果物を食べている動物や魔物が多いため、その影響で体が大きくなっているのではないかと言っていた。
果物を食べる動物、その動物を食べる魔物。そうやって食物連鎖がこの島の環境を変えていると推測した。
その話が本当であれば、このままいけば僕も巨人になってしまう。
『あそこに穴があるぞ!』
山の麓にはコボスケが余裕で入れるような穴を見つけた。
流石に中に他の動物がいる可能性もあるため、警戒しながら中に入っていく。
というのか怖いからコボスケを押し込んで中に入る。
割と日は当たらないものの、奥に逃げ隠れできる環境のため、魔物が襲ってきても問題ないだろう。
できるのであればコボスケに追い払ってもらいたいが、コボスケにそれができるのか不安になってしまう。
住むには環境としては良さそうだ。
『こういう穴にはコウモリが住んでいるぞ!』
そういうのは早く言ってもらいたい。コウモリには病原体を持っていると知られている。
さすがにコウモリとの共同生活は無理だ。
この穴での生活を諦めて、道を戻っていこうと思った瞬間、僕は何かにぶつかった。
『オラに当たったやつは誰だ!』
ふわふわな存在に僕は顔をスリスリする。ああ、もふもふしてコボスケより寝やすそうだ。
明らかにコウモリではないのは確かだ。僕は目を凝らして見ていると、突然洞窟内が明るく照らされる。
「くっ……目が痛い」
あまりの明るさに目が開かない。それはコボスケも同じだった。
『くああああ、コウモリはやっぱり眩しいぞ!』
今なんて言った?
コウモリ?
コウモリってあの犬みたいな顔に羽がある動物だよな?
コボスケの言葉に反応して、少し明るさが収まった。
目が慣れてきたのもあり、目の前の生物にクチバシが付いているように見える。確かにこの島には変わった生き物が多いが、流石にコウモリにクチバシはないだろう。
『ごめんごめん。オラ達は基本明るいからね』
少しずつ明るさが落ち着くと、そこにはもふもふとふっくらとした存在がいた。
明らかに僕の知っているコウモリでもないし、そもそも存在しているとは思いもしなかった。
大きな体に赤く鮮やかな鳥。
この鳥を見たら長寿になると言われている。
「なんで神鳥フェニックスがいるんだ?」
『はにゃ?』
『んにゃ?』
この反応は毎回同じパターンのやつだろう。
『こいつはコウモリだぞ?』
『オラはコウモリだぞ?』
いい加減こいつらにちゃんとした知識を与えてくれ。僕はそう思いながらフェニックスから話を聞くことにした。
お花を摘みに行っていたコボスケと次は住居地を探すことにした。
コボスケはあそこでは不満かと言っていたが、流石に雨や風は耐えられないと思う。
その時だけ隙間に入って寝るのも快適な生活とは言えない。
水辺の近くがダメであれば、今度は雨風が防げる山を削ったような穴や空洞を探す。
どこか思いつく場所があると言っていたが、またリザードマンや変な魚が出てくる可能性があった。
それなら自分で探せば良いと思い山の麓を目指して歩く。せっかくだから探索もして、この辺のことを知っておいた方が良いだろう。
「ここってこんなに果物が多いんだな」
森の中を進むと果物が多く実っていた。ただ、どれも大きいのがこの島の特徴だ。
コボスケの話では大体果物を食べている動物や魔物が多いため、その影響で体が大きくなっているのではないかと言っていた。
果物を食べる動物、その動物を食べる魔物。そうやって食物連鎖がこの島の環境を変えていると推測した。
その話が本当であれば、このままいけば僕も巨人になってしまう。
『あそこに穴があるぞ!』
山の麓にはコボスケが余裕で入れるような穴を見つけた。
流石に中に他の動物がいる可能性もあるため、警戒しながら中に入っていく。
というのか怖いからコボスケを押し込んで中に入る。
割と日は当たらないものの、奥に逃げ隠れできる環境のため、魔物が襲ってきても問題ないだろう。
できるのであればコボスケに追い払ってもらいたいが、コボスケにそれができるのか不安になってしまう。
住むには環境としては良さそうだ。
『こういう穴にはコウモリが住んでいるぞ!』
そういうのは早く言ってもらいたい。コウモリには病原体を持っていると知られている。
さすがにコウモリとの共同生活は無理だ。
この穴での生活を諦めて、道を戻っていこうと思った瞬間、僕は何かにぶつかった。
『オラに当たったやつは誰だ!』
ふわふわな存在に僕は顔をスリスリする。ああ、もふもふしてコボスケより寝やすそうだ。
明らかにコウモリではないのは確かだ。僕は目を凝らして見ていると、突然洞窟内が明るく照らされる。
「くっ……目が痛い」
あまりの明るさに目が開かない。それはコボスケも同じだった。
『くああああ、コウモリはやっぱり眩しいぞ!』
今なんて言った?
コウモリ?
コウモリってあの犬みたいな顔に羽がある動物だよな?
コボスケの言葉に反応して、少し明るさが収まった。
目が慣れてきたのもあり、目の前の生物にクチバシが付いているように見える。確かにこの島には変わった生き物が多いが、流石にコウモリにクチバシはないだろう。
『ごめんごめん。オラ達は基本明るいからね』
少しずつ明るさが落ち着くと、そこにはもふもふとふっくらとした存在がいた。
明らかに僕の知っているコウモリでもないし、そもそも存在しているとは思いもしなかった。
大きな体に赤く鮮やかな鳥。
この鳥を見たら長寿になると言われている。
「なんで神鳥フェニックスがいるんだ?」
『はにゃ?』
『んにゃ?』
この反応は毎回同じパターンのやつだろう。
『こいつはコウモリだぞ?』
『オラはコウモリだぞ?』
いい加減こいつらにちゃんとした知識を与えてくれ。僕はそう思いながらフェニックスから話を聞くことにした。
18
お気に入りに追加
1,637
あなたにおすすめの小説
異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。
彩世幻夜
恋愛
エルフの様な超絶美形の神様アグリが管理する異世界、その神界に迷い人として異世界転移してしまった、OLユリ。
壊れかけの世界で、何も無い神界で農園を作って欲しいとお願いされ、野菜に果物を育てて料理に励む。
もふもふ達を飼い、ノアの箱舟の様に神様に保護されたアグリの世界の住人たちと恋愛したり友情を育みながら、スローライフを楽しむ。
これはそんな平穏(……?)な日常の物語。
2021/02/27 完結
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる