無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第二章 衣食住、住居を探します

10.王子、住居を探します

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 まだ何も食べていないことに気づいた僕は一人でブドゥを食べることにした。リザードマンは魚が思ったよりも美味しかったのか、しばらくは海に通うらしい。

 お花を摘みに行っていたコボスケと次は住居地を探すことにした。

 コボスケはあそこでは不満かと言っていたが、流石に雨や風は耐えられないと思う。

 その時だけ隙間に入って寝るのも快適な生活とは言えない。

 水辺の近くがダメであれば、今度は雨風が防げる山を削ったような穴や空洞を探す。

 どこか思いつく場所があると言っていたが、またリザードマンや変な魚が出てくる可能性があった。

 それなら自分で探せば良いと思い山の麓を目指して歩く。せっかくだから探索もして、この辺のことを知っておいた方が良いだろう。

「ここってこんなに果物が多いんだな」

 森の中を進むと果物が多く実っていた。ただ、どれも大きいのがこの島の特徴だ。

 コボスケの話では大体果物を食べている動物や魔物が多いため、その影響で体が大きくなっているのではないかと言っていた。

 果物を食べる動物、その動物を食べる魔物。そうやって食物連鎖がこの島の環境を変えていると推測した。

 その話が本当であれば、このままいけば僕も巨人になってしまう。

『あそこに穴があるぞ!』

 山の麓にはコボスケが余裕で入れるような穴を見つけた。

 流石に中に他の動物がいる可能性もあるため、警戒しながら中に入っていく。

 というのか怖いからコボスケを押し込んで中に入る。

 割と日は当たらないものの、奥に逃げ隠れできる環境のため、魔物が襲ってきても問題ないだろう。

 できるのであればコボスケに追い払ってもらいたいが、コボスケにそれができるのか不安になってしまう。

 住むには環境としては良さそうだ。

『こういう穴にはコウモリが住んでいるぞ!』

 そういうのは早く言ってもらいたい。コウモリには病原体を持っていると知られている。

 さすがにコウモリとの共同生活は無理だ。

 この穴での生活を諦めて、道を戻っていこうと思った瞬間、僕は何かにぶつかった。

『オラに当たったやつは誰だ!』

 ふわふわな存在に僕は顔をスリスリする。ああ、もふもふしてコボスケより寝やすそうだ。

 明らかにコウモリではないのは確かだ。僕は目を凝らして見ていると、突然洞窟内が明るく照らされる。

「くっ……目が痛い」

 あまりの明るさに目が開かない。それはコボスケも同じだった。

『くああああ、コウモリはやっぱり眩しいぞ!』

 今なんて言った?

 コウモリ?

 コウモリってあの犬みたいな顔に羽がある動物だよな?

 コボスケの言葉に反応して、少し明るさが収まった。

 目が慣れてきたのもあり、目の前の生物にクチバシが付いているように見える。確かにこの島には変わった生き物が多いが、流石にコウモリにクチバシはないだろう。

『ごめんごめん。オラ達は基本明るいからね』

 少しずつ明るさが落ち着くと、そこにはもふもふとふっくらとした存在がいた。

 明らかに僕の知っているコウモリでもないし、そもそも存在しているとは思いもしなかった。

 大きな体に赤く鮮やかな鳥。

 この鳥を見たら長寿になると言われている。

「なんで神鳥フェニックスがいるんだ?」

『はにゃ?』
『んにゃ?』

 この反応は毎回同じパターンのやつだろう。

『こいつはコウモリだぞ?』
『オラはコウモリだぞ?』

 いい加減こいつらにちゃんとした知識を与えてくれ。僕はそう思いながらフェニックスから話を聞くことにした。
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