無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

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第二章 衣食住、住居を探します

7.王子、魚に出会う

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 世の中の魚ってこんな見た目をしているのだろうか。

 その後、コボスケに案内されるがまま川に着くと、寝ていた穴のすぐ近くにあった。自然と水場の近くで生活をした方が楽なんだろう。

 ただ、その川が問題だった。

「ここって川なのか?」

『拙者、川と聞いたらここしか思いつかないぞ?』

 これが川なら僕が知っている川は海なんだろうか。

「コボスケ? これは沼っていうやつだぞ」

『沼? 沼って足を入れたら抜けなくなるやつだぞ?』

 どうやら沼のことは知っているらしい。

 コボスケは川に入ると、足をバタバタと動かす。足が高速に動いて沼に落ちていかないのか、少し浮いているようにも見える。

 きっとフェンリルのコボスケだからできる技なんだろう。

「それに川なら魚がいるぞ?」

『魚? 魚ならあそこにいるぞ?』

 沼からひょっこりと顔を出す謎の生物に僕は腰が抜けた。その姿に驚かない人間はいないだろう。

 沼からギョロリと覗くその目はあの生物しかいない。しかも、右手には短槍を持っている。

 ああ、これは殺されるやつだ。

『あっ、どうも魚です』

「いや、お前はリザードマンだろ!」

 もう突っ込まずにはいられなかった。しかも、槍だと思ったら少し大きめのフォークだった。

 そのフォークは何に使うのだろうか。

『いや、あれは魚だぞ』

『私は魚です』

『ほら! 本人も魚って言ってるぞ!』

 自分で魚と言っているなら、こっちは認めるしかない。

 ここに住む奴らはどこか頭がおかしい奴しかいない。

「それでそのフォークは何に使うんだ?」

にいる虫を刺して、火に炙ってから食べています』

 どうやらリザードマンも沼を川だと思っているのだろう。

 虫を食べているって聞いたら、本当に魚なのかもしれないと思ってしまう。しかも、炙ってからしか食べていないらしい。

 生で食べるとお腹を壊すと言っていたが、リザードマンって思ったよりもお腹が弱いのだろう。

『一度食べてみますか?』

「えっ?」

 リザードマンは沼に戻ると、フォークに何かを刺して戻ってきた。

 フォークの先には足が何本も生えており、ウニョウニョと動く生物が付いている。

「いや……それは腹壊すだろ」
 
『魚はこういう虫を食べるのが常識です』

 やはりこの魚も誰かわからない人に変な知識を入れられたのだろう。

『拙者もたまに食べたけど大丈夫だったぞ? むしろ便秘が治るから――』

「おいおい、お前も食べてたんかい!」

 誰もがそんな虫を食べていたら腹を壊すのは確実だ。

 むしろフェンリルが便秘だったことに驚きだ。あの口臭を改善させるには食生活から見直さないといけないのだろう。

 ああ、本当にこの島にはおかしな奴しかいないな。
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