9 / 28
九話
しおりを挟む
「人に嫌がることをするんだよ」
「僕たちは小さい頃から『人が喜ぶことをしよう』って習ったよ」
「僕たちは『人様に迷惑をかけてはいけません』
って習ったよ」
「『してはいけません』と『しましょう』と真反対だね。でも同じことのような気がする」
「迷惑をかけてはいけないと思うから話しかけないようにすることは多いね」
「そうなの?」
優希はこの会話でお金のない世界をイメージした。
「小さい頃から人の喜びをしようって言ったよね」
「うん」
「今思い出したんだけどね僕も小さい頃お父さんやお母さんのお手伝いをしたくてね、喜んでくれる笑顔を見るのが嬉しかったよ」
「僕たちもそれを大切にしようと習ったよ」
「やっぱりね。ご褒美はお金じゃないんだね」
「自分が役に立つと思ったらすっごく嬉しいね」
子どもたちが通う学校での助け合いの学びは社会に出てからも充分活かされる教育であった。
その晩は稔はたくさんお話して疲れて熟睡した。
翌日健司と妻の声で目が覚めた。
「大雪じゃないか。今日は山には行けないよ」
「また~?」
「これじゃあ世間も困るんじゃないか?」
「世間より我が家でしょう? 収入激減よ」
「・・・・・」
レストランの経営者の健司は唯一の収入源であるレストランにお客が来ないことが死活問題だった。
稔は目をこすりながら優希と二階から降りてきた。
「おはようございます」
稔は夫婦の困った顔を見ながら聞いてみた。
「どうしたんですか?」
「大雪が降ってるんだよ」
「何か困るんですか?」
「これじゃあレストランにお客が来ないよ」
「ゆっくり休めて良いじゃないですか」
「休んでいたんじゃお金にならないじゃないか」
「あ~。そうでしたね。すみません」
「稔君が誤ることじゃないけどね(笑)」
「僕たちは小さい頃から『人が喜ぶことをしよう』って習ったよ」
「僕たちは『人様に迷惑をかけてはいけません』
って習ったよ」
「『してはいけません』と『しましょう』と真反対だね。でも同じことのような気がする」
「迷惑をかけてはいけないと思うから話しかけないようにすることは多いね」
「そうなの?」
優希はこの会話でお金のない世界をイメージした。
「小さい頃から人の喜びをしようって言ったよね」
「うん」
「今思い出したんだけどね僕も小さい頃お父さんやお母さんのお手伝いをしたくてね、喜んでくれる笑顔を見るのが嬉しかったよ」
「僕たちもそれを大切にしようと習ったよ」
「やっぱりね。ご褒美はお金じゃないんだね」
「自分が役に立つと思ったらすっごく嬉しいね」
子どもたちが通う学校での助け合いの学びは社会に出てからも充分活かされる教育であった。
その晩は稔はたくさんお話して疲れて熟睡した。
翌日健司と妻の声で目が覚めた。
「大雪じゃないか。今日は山には行けないよ」
「また~?」
「これじゃあ世間も困るんじゃないか?」
「世間より我が家でしょう? 収入激減よ」
「・・・・・」
レストランの経営者の健司は唯一の収入源であるレストランにお客が来ないことが死活問題だった。
稔は目をこすりながら優希と二階から降りてきた。
「おはようございます」
稔は夫婦の困った顔を見ながら聞いてみた。
「どうしたんですか?」
「大雪が降ってるんだよ」
「何か困るんですか?」
「これじゃあレストランにお客が来ないよ」
「ゆっくり休めて良いじゃないですか」
「休んでいたんじゃお金にならないじゃないか」
「あ~。そうでしたね。すみません」
「稔君が誤ることじゃないけどね(笑)」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる