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三日月山 その1

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ふとあることを思い出した。


高校生のときに噂になった話だ。


話のきっかけになったのは何なのかは分からない。ただ、女子という生き物はうわさ好きであり、徒党を組むのが好きだ。


ご飯を食べるのも一緒、トイレ
に行くのも一緒。


さらには、移動教室のときだっていつも一緒でなければならない。


それは、必ずしも全員に当てはまると断言できるものではないが、九割がたはその枠組みに入るだろう。


私は、正直、そんな人間関係が煩わしかった。といっても、それらを突っぱねて、一匹狼を貫き、突き通すことができるかというと………


答えはノーである。


それほど強くない。むしろ、自分で自分を殴り付けてやりたいほど弱々しい。


三日月山………


誰もいない夜道でボソリと呟く。


そして、思い出す。高校時代にうわさとなった三日月山のことを。


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