転生幼児は夢いっぱい

meimei

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掘り出し物市

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今日はひと月に2度の掘り出し物市だ。

街中には貴族も平民も大変にぎわっている。

ゆっくり店先を見ながら歩いているとキラッと何か光ったように見えた。

それに吸い寄せられるようにカシウスはその店の前に立った。

その店だけなぜか路地裏に出店しており、お客さんも誰もいないようだった。



「おや、これは珍しい。この店にお客さんが来るとは。」
店主

あれ??なぜかこの場所はおじぃさんと僕の声しかしない……。

それにマルスがいない……

一緒に来たはずのマルスが後ろにいなかった。

後ろを見て唖然としているとおじいさんが口を開いた。


「大丈夫じゃよ、連れとはまた会える。ここは選ばれた人だけが見付けられる店なんじゃ」ニコッ
おじぃさん


「選ばれた人だけの店……?僕選ばれたの?」
カシウス


カシウスがキョトンとした顔で問いかける。


「あぁ、そうじゃぞ。ここは神の店。神から愛された者だけが買える事の出来る店。ここ数百年ぶりじゃな~」
おじいさん


数百年ぶり…………数百年ぶり………


「え!!!数百年ぶりっておじいさんめちゃくちゃ長生き!!エルフとか長命種族ですか!?」
カシウス


カシウスが目をキラキラさせてまた聞く。



「あはははっ、君は面白いな~そこが気になるか~、神が気に入るわけだ」
おじいさん


おじいさん……神様と知り合いなの?


「あの………」
カシウス



「あぁ、すまんすまん。わしは神の眷属でな~まぁ……うん。神獣に近しい者といえば分かるかな……」
おじいさん


「その姿は本当の姿ではないのですか?」
カシウス

目を見開くおじいさん


「まぁ……誰にも見えないしいっか……」
おじいさん


おじいさんが突然眩しい光に包まれて……光が収まると……

綺麗な顔に……綺麗な白い羽根……


「ええええぇ!!!!おじいさんが天使になったー!!!!!」
カシウス


「あはは、おじいさんは偽の姿だからね?あの方が店主ぽいだろ?」
天使


コクコク頷くカシウス


「さぁ、ここにある者は君が手にしていい物だよ?どれを選ぶ?」
天使


天使が手を差し伸べるのは先程か

ら売り出されていたキラキラした

色々な物だ。

ネックレス、腕輪、指輪、剣、

魔法の杖………。

一番気になるのは……………一番キラキラしていない…一見普通に見えるこの魔法の杖だ。

魔法の杖を手に取ると杖はぱあっと光姿を変えた。

てっぺんには虹色に輝く水晶のような球体が付いていて、持ち手の杖の方は勝利の葉の模様のようなものが彫られていた。

「わあぁぁ……凄い。綺麗な杖」
カシウス



「ほう~~それを選んだか」ニコッ


「?」
カシウス



「君を神が愛するのも分かるよ、その控えめな所も、心が美しいのも。その杖は心が美しいと本来の姿を示す、持ち手を選ぶ杖だ。神具のひとつ、虹の杖だ。生涯君の相棒になるだろう」ニコッ
天使


「あの……値段は…その」
カシウス


「ふふっ、値段なんてないさ。神具に値段がつくわけないだろ?それにこれは神からの導き、すなわちプレゼントだよ、律希」
天使


律希…………りつき。俺忘れてた

それは前世の俺の名前だ。

カシウスの大きな瞳からポロッと一粒涙がこぼれた。

「おや?君達も律希についていくのかい?」
天使

腕輪と指輪が光りながらカシウスの指と腕に装着された。

驚いたカシウスは突然の事に涙が引っ込んだ。

呆然と指輪と腕輪を見つめているカシウス。


「その指輪と腕輪も君を選んだみたいだね、そのこたちも宜しくね。指輪は幸福の指輪、腕輪は癒しの腕輪という名前だよ。使い方は自然とそのこたちが導いてくれる」
天使



「あ、あの……」
目線を指輪と腕輪から天使様に戻すと天使様は笑顔を浮かべて光り輝いていた。


「もうお別れの時間みたいだ~まったく神様も天使使いがあらいよね……じゃ、また会える気がするよ!またねーカシウス!」
天使

ぱあぁぁぁぁと眩い光りと共に
天使さんは消えた。


「なんか……凄い体験をした気がする」
カシウス


それにこの指輪と腕輪は…隠蔽魔法がかかっていて多分他の人からは見えないようだ。


「あっ!!カシウス様!!!探していたんですよ!!!!どれだけ心配したか!」
マルス

マルスが真っ青な顔でカシウスの
袖を掴んだ。


「あ、マルス……ごめんね?」
カシウス


いつもより素直なカシウスに違和感を感じるマルスだけど、とりあえず市場のメインストリートに戻ってきた。



「カシウス様、何かありましたか?」
マルス


「ん?なにもないよ」
カシウス

心なしか心ここにあらずな雰囲気なカシウスを心配するマルス。

カシウスの頭の中ではさっきの出来事がぐるぐるとまわっているのだった。

それほど衝撃だったのだ



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