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桜色

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「お父様、少しおりいったお話があるのですが」
エル

執務中のナサルは珍しい来客に目を見開いた。仕事中にエルが来るのは珍しいからだ。


「エルが仕事中に来るなんて珍しいな…何があった?丁度目が疲れてきた所だからお茶にしよう。」
ナサル

側近に目配せをしてメイドにお茶を頼んだ。

目の前にはいれたての珈琲の香りが部屋中に包まれた。とてもいい香りだ。


「実は今日ピュリが王都に出掛けたようなのですが」
エル


「あぁ、許可したよ」
ナサル


「その際、書店である人物に会い……どうやらとても気に入ったようなのです…」
エル


「ほう……お前はどんな人物か知っているのか?」
ナサル


既にナサルの眉間には皺が……

皆ピュリを溺愛しているのである。


「はい……。私の親友のキリアーノでした。」
エル


「ん???キリアーノとは公爵家のか?」
ナサル


「ええ…そのキリアーノです。」


「ほうーー。」
ナサル


「それで、護りを固める為にも公爵家と婚約を結んではと思うのですがお父様はどう考えます?」
エル

一息ついたナサルは少し考えてから話し出す。


「私は婚約いいと思うが……父上とルナルにも話さないとだな。保護者はルナルだからな」
ナサル


「ですね……お父様、お祖父様とルナル叔父上に話をしてみて貰えますか?」
エル


「あぁ分かった」
ナサル


「ありがとうございます。宜しくお願い致します」
エル

エルはナサルに一礼してから執務室を後にした。

キリアーノ君は利発だし、性格も誠実だ。なかなかいい男だと思うからルナルも許可をするだろう。

しかしあの王太子も頭はきれるはずなのに……残念なやつだよな。従兄弟ながら情けない……
いつもツメが甘いんだよな。

ぎぃぃと椅子の背もたれを斜めにしながらため息をつく。
あれだけマリシアに惚れ込みながらなんであんな女に嵌められたんだか……情けない。しかも
愛しい娘の存在も愛しい女が亡くなった事も知らずに未だに探し続けている。なんだか哀れなやつだよな。
ピュリはそんな父親でも会いたいと思うのだろうか。まぁ今は
魔術師団長のルナルが父親だし
既に親子のように仲がいいからな…今更会いたいとは思わないだろう。

翌日、ルミエール公爵家に、

クレール公爵家の当主夫婦、キリアーノが訪れた。その場には
ミサル、ルナル、ナサル、
エルニルがいた。


「今回驚いたぞ……いつの間に娘が出来たんだ?」
カッテ.クレール現当主

カッテとナサルは腐れ縁で昔からの親友である。その中にはかつては王太子のあいつもいて三人だったのだがね。


「俺の娘ではない。ルナルの娘だ」
ナサル

その言葉にカッテが目を見開いた。今だかつてルナルは魔法馬鹿という……女はまったく興味を示さなかったからである。


「いつの間に娘が?」
エリッタ.クレール現公爵夫人

エリッタもシンシアも故マリシアとは親友だ。


「ふふやっぱりエリッタも驚くわよね」
シンシア


「……………」
ルナル


「それにどうしてここにピュリニーネ様はいらっしゃらないの?」
エリッタ


「ある程度話が纏まってから呼びに行かせる予定だ」
ナサル


「話が纏まるも何も私はピュリニーネ様と婚約を結べるなんてとても光栄で嬉しく想います。あんなに美しい姫と……」
キリアーノ


「…………」
ルナル


「あら、キリアーノ様はうちの姫様と会ったことが?」
シンシア


「ええ、先日書店で。ふふハニーブロンドのとても美しい姫でした」
キリアーノ


「「「「「……」」」」」
シンシア、ナサル、ルナル、ミナル、エルニル


ハニーブロンド……。そう王都に行くから変装として髪色を魔法でかえていたのである。


「ん?どうかしたのですか?」
キリアーノ


「まぁ……会えば分かるだろう」
ナサル


「そうだな」
ミナル


「隔世遺伝だからな」
ルナル


「隔世遺伝????」
カッテ


「あぁ、ピュリニーネは父上に似ている…」
ナサル

王弟に????

隔世遺伝?????
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